
個人の事情や家庭の事情、留学などで学業を一時的に休みたい場合、大学では必要な手続きをすることで大学に在籍したまま休むことができる休学制度が存在します。
しかし、休学を検討するにあたって、
「休学したら大学に戻ったときに勉強についていけるかな?」
「休学が就職に影響しないか不安」
このような悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では大学休学を経験した筆者が、大学休学について学費や就職への影響など、メリットやデメリットを紹介します。
これから休学を検討している方必見の内容です。ぜひ最後までご覧ください。
休学とは?

はじめに休学制度について概要を解説していきます。
休学制度とは、大学に在籍したまま何らかの理由で一時的に学業を中断できる制度です。休学理由は家庭の経済事情、病気や怪我、留学、長期インターン、起業など人によってさまざまです。
休学中でも大学に在籍している状態ですので、大学生の身分のまま自由な時間を確保することができます。
休学する人の割合は?
身の回りに休学をしている人が少ない方もいるかもしれませんが、実際に休学をしている人はどのくらいいるのでしょうか。
休学する人は毎年一定数います。文部科学省の調査によると令和5年度は全体の2.68%(72,325人)の人が休学しています。令和3年は2.19%(65,143人)で、増加傾向にあります。
特に令和になってから、コロナの影響で大学に思うように通えなかったこともあり休学者は多くなってきています。
参考:令和5年度 学生の中途退学者・休学者数の調査結果について
参考:学生の修学状況(中退者・休学者)等に関する調査(令和3年度末時点)
休学するのに必要な手続きは?
休学をするには休学届を提出する必要があります。大学によっては休学する理由に基づいた証明書(怪我や病気の診断書や留学先の受入許可書、企業の雇用契約書など)が必要な大学もあります。
例えば、早稲田大学では証明書の提出が義務付けられており、規定の理由以外での休学は認められていません。
証明書が必要かどうかは大学によって異なりますが、多くの大学が休学に理由を求めており、休学届に記載することになっています。
大学側としてもなんとなく休学をして復学することなく中退することになってしまう学生を作らないように、休学をする前に意思を確認する必要があるからでしょう。
休学届の受け取り方は大学によって異なりますが、学生窓口に相談に行って書類を受け取る場合と、Webサイトから書類をダウンロードする場合の2つのパターンが多いです。
休学をする場合は休学届を入手し、休学理由を休学届に記載したうえで必要に応じて証明書を用意し、大学側に提出しましょう。
参考:休学手続きについて
学費はどうなる?

休学期間中の学費はどのような扱いになるのでしょうか。
休学中は当然授業がなくなるので授業料が掛からなくなります。ただし大学によっては休学費がかかる場合があります。
休学にかかる費用は大学によって異なりますが、基本的な私立大学の相場は半年で5万円から10万円程度になっています。国公立の大学は基本的に無料です。
参考に私立大学と国公立大学から一校ずつ具体例を見ていきましょう。
私立大学の例として立教大学の休学制度を見ていきます。
立教大学では休学をする場合、半年ごとに在籍料として60,000円を支払う必要があります。一年間では120,000円かかるという計算です。もし春学期から半年間の休学をして秋学期から復学をする場合は、1年間では春学期分の在籍料60,000円と秋学期分の学費を支払うということになります。
参考:休学制度について
国公立の例として、東京大学を取り上げます。東京大学では休学の際にかかる費用は原則としてありません。休学届を提出する時期によっては一部学費を払わなくてはならなくなる場合もあるそうです。
参考:休学に関するFAQ
また奨学金を受け取っている方も、日本学生支援機構に申請を出し認めてもらえれば奨学金を一旦中止し、2年以内に復学をする場合奨学金の受け取りを再開することができます。ただし2年以上休学をしてしまうと多くの場合受け取りを再開できなくなってしまいます。
参考:休学後も奨学金はもらえる?休止・復活の方法や手続きまで解説!
就職への影響は?

休学をすることで就職活動に影響はあるのでしょうか?
休学をすること自体は必ずしも就職活動に悪い影響があるとは限りません。ただし休学した理由によっては、悪い印象を抱かれかねないので、注意する必要があります。
また、休学中に得た資格やスキル、語学などがあればむしろ就職に有利になることもあるので、そうしたものの取得を目指してもよいでしょう。取得できたら、その点も企業にうまく伝わるように工夫しましょう。
面接の際に休学について質問されたときのために、休学した正当な理由を準備し、休学期間をアピールに使えるよう充実したものにできるとよいでしょう。
就職活動と休学の関係については、以下の記事が参考になりますので、より詳しく知りたい方は参考にしてみてください。
参考:休学は就活で不利? 印象を覆す7つの休学理由と伝え方のコツを解説 | キャリアパーク就職エージェント
休学するメリット

休学することが必ずしも就職活動に悪影響を及ぼすわけではないということを説明したうえで、休学するメリットをいくつか挙げていきます。
自由に使える時間が確保できる
大学に通っていると、授業やゼミなどで忙しい日々になり、サークルやアルバイトなどにも取り組むとその他の自由に使える時間というのはなかなか確保できないのが現実だと思います。
休学すると授業やゼミの時間はなくなり、サークルやアルバイトもその人のさじ加減で調整することができるので、長期間の完全な自由時間を確保できます。
大学生活の隙間時間ではできなかった資格取得や留学などにも挑戦できるようになるので、大きく成長できる機会になります。
また病気や怪我を理由に休学する場合も、休学によってまとまった時間を確保することによって治療に専念できます。
ただし、やりたいことや目的もなく休学をしてしまうとせっかくの自由時間を無駄にすることにもなりかねませんので、休学する前にある程度目的を考えておくようにしましょう。
大学では得られない経験ができる
休学をすることで自ずと大学の外で活動することが増え、大学ではできなかった経験ができるというのもメリットの一つです。
留学や長期インターン、起業などで得られる経験は、普段の大学生活ではなかなか得ることができません。
またそのような経験の中では、大学で出会えなかったような自分とは違う価値観の人とも出会うことができます。
例えば留学をすれば同じように留学をしている他大学の学生や、留学先の人々などと新たに出会うこともできるでしょう。
国や世代が違う人々と交流することで新しい価値観に触れることができ、価値観が変わったという人もいます。
大学に行ってそのまま就職するというレールを一度外れて違う価値観に触れてみることによって、生き方の多様性を知ったという意見もありました。
参考に休学経験者の方のインタビュー記事を掲載しますので、興味がある方はぜひご覧ください。
参考:休学のメリットとデメリット経験者8人ですべて出してみた
自分と向き合う時間ができる
休学をすることで自由に使える時間が増えるというメリットを紹介しましたが、その自由な時間を利用して、自分自身と向き合う時間を確保できるというのも休学をした際に筆者が感じたメリットの一つです。
大学生活で忙しい日々を送っていると目の前のやるべきことを消化していくだけで時間がすぎていき、なんとなく日々を送ってしまいがちです。次第に自分のやりたいことについて悩むようになったり、時間に追われて未消化になっている小さな問題(対人関係や学業の問題など)にストレスを感じるようになったりする場合もあります。
自分のやりたいことについて悩むようになったとき、休学をしてゆっくり自分自身と向き合いながら本当に自分のやりたいこと、目指す将来像を見つけることができたという休学経験者の方の経験談もよく耳にします。筆者もそのうちの一人です。「大学卒業後の長い社会人生活をどのように送っていくのかを考えて準備する期間」というように捉えると、休学期間はきっと充実するでしょう。
大学生のままでいることができる
退学ではなく休学という選択肢を使うことによって、大学に在籍をしている状態を維持することができます。
学割も引き続き利用できますし、図書館などの大学の施設も利用することができます。
大学で学んでいることと全く違うことに挑戦したくなり中退を検討している場合でも、休学制度を利用することによって挑戦したことが自分に合わなかった場合に大学に戻ることができますので、休学制度を利用することをおすすめします。
休学するデメリット

休学をすることで得られるメリットはたくさんありますが、デメリットも少なからず存在します。一つずつ見ていきましょう。
社会人になる時期が遅れる
休学をすることで、休学をせずに就職した場合より社会人になる時期が遅れてしまいます。
学生でいられて学割を使える期間が伸びたと思えば良い話に聞こえます。しかし社会人になる時期が遅れるということは、生涯で稼ぐ収入が休学期間分減る可能性があるということでもあります。
もちろん休学中にインターンを行なって収入を得る場合もありますし、休学中に身につけたスキルを利用してより高収入の職につける可能性もありますので、あまり深刻に考えすぎる必要はありません。休学することを決めたら目標達成のために努力しましょう。
ただし、休学した結果社会人になるのが遅れ、捉えようによってはデメリットになり得ることは理解しておきましょう。
同級生と学年がズレる
休学をすることで、同級生と学年がずれてしまうというのもデメリットの一つかもしれません。
選択科目等は休学前と同じように一緒に受けることができるので問題ないかもしれませんが、授業によっては同級生の友人がいない授業も出てきてしまうと思いますので、留意しておく必要があります。
特に、同級生が先に卒業してしまうというのは、人にはよりますが心のどこかで孤独を感じてしまいやすいでしょう。
サークルやゼミ、または授業内などで後輩の友人を作ることができれば、復学後も孤独を感じづらくなり、試験などに関する有益な情報も回ってきやすくなるかもしれないので、人間関係を構築することも意識するとよいでしょう。
同級生と就活の状況を共有できない
休学をして同級生と学年がズレることによって、同級生と就活の状況を共有できないというデメリットも考えられます。
就職活動は受験勉強のように孤独を感じやすいので、友人と状況を共有して切磋琢磨するのがモチベーション維持につながる場合もあると思います。
休学をして同級生と就活の時期がズレると、後輩に友人がいない限り一人で就活を乗り越えなければならなくなります。
逆に自分の志望する企業に同級生が先に入った場合、経験談などを聞ける最高のOGOBになる場合もありますので一長一短ではあります。
同じ年に就活をする後輩に友人がいない場合は、大学のキャリアセンターや先に就活を経験した同級生などに相談するなどして一人で抱え込みすぎないようにしましょう。
費用がかかる
休学をすることで、大学に通っている頃より何かと費用がかかることがあります。
例えば私立大学であれば前述したように一定の休学費用を支払う必要がありますし、休学中に留学や専門学校などに行く場合はそちらの費用もかかってきます。
大学在籍中は生活費を家庭から援助してもらっている場合、休学分家庭の出費が増えることもあるかもしれません。
何の費用がかかるかは所属の大学や休学の理由などによって異なりますが、いずれにせよある程度の費用がかかってくるということは覚悟しておきましょう。
結局は自分次第

ここまで、休学するメリットとデメリットをそれぞれ解説してきました。
休学をすることで就職に不利に影響するとは限りませんが、休学期間を無駄にしてしまうと、就職に不利に影響するでしょう。
目的を持って休学し、休学以前よりスキルアップや経験値を積んだ自分になるために努力しましょう。
「休学した方がいい」
「休学しない方がいい」
というのはありません。
「選んだ道を正解にする」という考え方で進んでいきましょう。
こうした考え方を「マインドセット」といいます。
ほんの一例ですが、例えば留学先で思うように語学力が向上しない場合も、「語学力が上がっていない」という事実を「今話せないから今後も話せない」というネガティブな解釈で捉えず、「努力次第で今後話せるようになる」という考え方(マインドセット)をすることで結果は変わってきます。
マインドセットについては以下のコンテンツでより詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
こうした人生にも役立つマインドセットを培いながら、「休学するならその道を正解にする」、「休学しないならその道を正解にするという」という考え方で道を切り拓いていってください。
まとめ
休学について、メリットやデメリット、就職に影響するのかなど詳しく解説してきました。
休学というもの自体は就職に不利になることはあまりありません。休学期間をより良いものにし、就職に有利に働くようにできるかどうかはあなたの休学中の過ごし方次第です。
休学期間中に大学生活では身につけることのできないスキルや経験を身につけることができれば、その後の人生の可能性も大きく広がるでしょう。
「選んだ道を正解にする」というマインドセットで、進路を検討ください。
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