マインドセットとは
「マインドセット」
こんなワードを聞いたことはありますか?
インターネットで何か調べていたり、SNSを見てたりするときに、見かけたことがある人もいるかもしれませんが、学校ではほとんど聞かない言葉だと思います。
もしかしたら、ここで初めて聞いたなんて人もいるでしょう。
「マインドセット(Mindset)」とは、アメリカのスタンフォード大学の心理学者、キャロル・ドゥエック(Carol Dweck)教授が提唱した、もともとは心理学の用語です。
「マインドセット」の意味は、「人々が行動を起こしたり、言動をとる際の思考パターン」です。平たく言うと、「ものの考え方」です。
その当時、ドゥエック氏が「マインドセット」という言葉を提唱した際には、「Growth mindset」と「Fixed mindset」という二つのマインドセットを対立させるように紹介していました。
「Growth mindset」とは、「自分の能力や性格は、努力することやいい手段をとること、また他者から学ぶことなどを通じて、今よりも向上させられる」と考えている思考のパターンで、一方「Fixed mindset」はその逆、「自分の能力や性格は、向上せず変わらないものだ」と考えている思考のパターンです。
そして「Growth mindset」を持った人の方が、「Fixed mindset」を持った人よりもいいパフォーマンスを発揮することも、実験では確認されました。
現在では、「マインドセット」という言葉はより広い意味で捉えられており、先ほど述べたように「ものの考え方」という意味で広く使われています。
学校ではなかなか教えてくれない「マインドセット」ですが、Re受験を乗り越えるために、そしてそれ以上に、人生を生き抜くために、めちゃくちゃ重要なものです。
このページでは、「マインドセット」の重要性と、皆さんが身に付けるべき「マインドセット」をいくつか紹介します!
このページで皆さんが学ぶことは、Re受験だけでなく、今後の人生にも必ず活きてきます。
マインドセットの重要性
Re受験に取り組む皆さんの目標は、基本的には、志望大学に合格することだと思います。
そのために必要なことは、勉強の成績を上げること。
「勉強の成績を上げたい!」という皆さんが欲しい情報というのは、効率の良い勉強方法や暗記方法に関するものだったり、おすすめの参考書だったり、勉強の成績に直結するようなものなのではないですか?
確かに、いいマインドセットを身に付けたからと言って、ポジティブにはなれるかもしれませんが、それだけで志望大学に合格できるわけではないです。
それでもマインドセットが重要なのは、マインドセットがすべてのもとになっているからなのです。
詳しく見ていきます。
Re受験生の皆さんが目指すのは、「志望大学に合格する」という“結果”です。
その“結果”は何に左右されるかというと、皆さんが取る“行動”です。
それでは、その取られた“行動”は何で左右されるのでしょうか。それこそが、“思考”であり、その思考パターンをマインドセットというわけです!
マインドセットの重要性を分かりやすく説明したある例え話を用いて、「何が事実なのか見極める」ということも下記で説明します。

何が事実なのか見極める
今、あなたの目の前には2人の人がいます。
1人は、ボロボロの服を着てお酒を飲んでいる人です。一見、アルコール中毒のホームレスの人のようです。
そして、もう1人は、パリッとスーツを着こなし、経済新聞を読んでいる人です。一見、成功したビジネスパーソンのように見えます。
あなたは尋ねました。
「なぜ、あなたは今そうなったのですか?」
そうすると、2人は驚くことに同じ回答をしました。
「親がアルコール中毒だったからだよ。」
これは、
「思考が異なれば行動も変わり、結果も変わるんだ」
ということを分かりやすく表現した、たとえ話です。
「親がアルコール中毒だった」という“事実”は同じです。
しかし、一方は「親がアルコール中毒だったから自分も仕方ない」と捉えて、親と同じ道を選び、もう片方は「親がアルコール中毒だったけど、自分はああはならないぞ」と捉えて、親を反面教師に、親とは違う道を選んだわけです。
この行動の違いと、そこから生じた結果の違いを生んだのが、マインドセットなのです。
また、このたとえ話から気付けるもう一つの大切なことは、「事実は何か見極めろ」ということです。
実際世の中には、“事実”と“解釈”をごちゃ混ぜにしてしまったり、「自分の今取っている行動は、ある事実が原因で、仕方なく取っているのだ」と思い込んでしまっていたりするようなことをよく見かけます。
分かりやすくこのたとえ話でいうと、ホームレスになった人は、ホームレスにならないような行動の選択肢が他にもあるわけですが、「親がアルコール中毒だった(因)。だから、自分もアルコール中毒にならざるを得なかった(果)。」という、幻の因果関係に囚われているのかもしれません。
勉強の世界でよく見かける、「事実と解釈が一緒くたになってしまっている」事例は、次のようなものです。
「前回の模試では数学の偏差値が30だった。私は数学が苦手なんだ。。」
事実は、「前回の模試では数学の偏差値が30だった」ということです。
そして、「私は数学が苦手なんだ」というのは、あくまでも解釈です。この解釈は当たっていることもあるかもしれませんが、正確にこの事実を嚙み砕くと次のようになるでしょう。
「前回の模試でわかった、周りの人と比較したときの“現段階での”私の数学理解度は、偏差値でいうと30なのだ。」
なにも、「数学が苦手」というわけではないのです。そして、
「数学が“未来もずっと”苦手」というわけではない!
のです。
それこそ、一心発起して数学の勉強に力を入れれば、次の模試では数学の偏差値が上がるなんてことは、十分あり得るのです。
しかし、一つの解釈にすぎない「私は数学が苦手なんだ」ということを思い込んでしまうと、その苦手意識から数学の勉強を避けるようになってしまうかもしれませんし、数学が入試科目になっている大学を諦めてしまうかもしれません。
さらに悪いケースでは、数学の偏差値が30だったことを受けて、「自分は勉強しても成績が伸びないんだ」なんていう解釈をしてしまい、勉強全体に身が入らない事態にもなってしまいかねないです。
「何が事実なのか見極め」られる力は、Re受験だけに限らず、仕事や、そして人生全般において、とても重要なのです。
事実が何なのかを見極めたうえで、自分が前向きに進めるような考え方(ポジティブなマインドセット)をすればいいのです。
事実が何かを見極められるようになるには、日ごろから「自分が今思っていることは、事実なのか?それとも解釈なのか?」と考えるように意識しましょう。
本当に簡単なものでいいです。
例えば、
「目の前に座っている人の髪の毛は長い。でも、もっと髪の毛が長い人もいるし、この“長い”というのは解釈か。事実は、『目の前に座っている人の髪の毛の長さは30㎝くらい』かな。」
「去年の共通テストは難しかったな。いや、でも、解けている人もいる。“難しかった”というのは解釈で、事実は、『去年の共通テストの平均点は450点だった』か。」
というような具合です。
言い換えると、自分の思っていることが、主観的なものなのか、客観的なものなのか、意識して考えるようにしましょう。

マインドセットの
身に付け方
思考が変われば、行動が変わり、最終的に結果が変わる、という理屈を理解できたかと思います。
「でも、マインドセットなんて変えられるの?」
「生まれつき決まっているんでしょ?」
と思っている人もいるのではないでしょうか?
結論から言うと、マインドセットは変えることができます!
冒頭でGrowth mindsetの人とFixed mindsetの人がいるという話はしましたが、それは、人々を生まれつき2種類のマインドセットに分けられるという話ではありません。Growth mindsetでいる人の方が、いい成果を出せるという話であり、誰でもGrowth mindsetを持つことはできます。
考え方を変えることは、今すぐにできます。ただし、それを身に付けるとなると時間は少しかかってしまうかもしれません。
「マインドセット」とは、考え方の癖とも言えます。癖を変えるのに時間がかかることは、自分の経験から理解できるのではないでしょうか。しかし、癖というのは気づいたそばから直すことはできます。
ここで、顕在意識と潜在意識という概念を簡単に紹介します。顕在意識とは、人が自覚できる意識であり、潜在意識とは、その反対で、人が自覚できていない意識です。
「癖」というのは、人が自覚しないでやっていることで、潜在意識でやっていることです。
例えば、「貧乏ゆすり」という癖を直すとします。これは「癖」なので、自覚なしに貧乏ゆすりをしており、潜在意識でやっています。実際、「よし、貧乏ゆすりをやってやろう」と思って貧乏ゆすりしている人は、少ないんじゃないかと思います。
そこで、貧乏ゆすりしている自分に気づくと、
「貧乏ゆすりをしている自分がいる!?」
と自覚できるので、「貧乏ゆすり」が顕在意識の領域に入ります。一度、顕在意識の領域に持ち込むことができると、自分の意志で貧乏ゆすりを止めることができます。
(止められないとしたら、それは痙攣かもしれません。。)
すぐには、貧乏ゆすりの“癖”は直らないかもしれませんが、「気づいたらやめて、気づいたらやめて」ということを繰り返すことによって、いつしか貧乏ゆすりをしなくなります。
潜在意識(貧乏ゆすり)→顕在意識(貧乏ゆすりを止める)→潜在意識(貧乏ゆすり)→顕在意識(貧乏ゆすりを止める)→潜在意識(貧乏ゆすり)→顕在意識(貧乏ゆすりを止める)→・・・→潜在意識(貧乏ゆすりをしていない)
というプロセスです。
分かりやすく、目に見える癖をなくすことを例にしましたが、考え方の癖、つまりマインドセットを身に付けるプロセスも同じです。
後ほど紹介する一つのマインドセット、「まだできない。どうすればできるか。」というのを例にとってみましょう。
人はできないことに直面した際、大きく分けると、できない理由(言い訳)を考える人と、どうすればできるかを考える人がいます。
ゴールに近づくマインドセットは、言うまでもなく、「どうすればできるかを考える」です。
あなたがもし、自分ができないことにぶち当たったとき、まずできない理由を考えたり、「自分にはできないから」と諦めている人(潜在意識)だとしたら、まず反射的にそうしたことを考えてしまっている自分に気づきます(顕在意識へ)。
次に、「いや、こういうときは、『まだできない。どうすればできるか。』を考えるんだ!」と、自分に言い聞かせて、実際、その言葉の通り考えてください。
これを、できないことにぶち当たるたびに繰り返すことで、マインドセット(考え方の癖)を整えていくのです。
もう一度言いますが、マインドセットを変えるのには時間がかかります。
「自分にはマインドセットを変えられない!」
とめげてしまうこともあるでしょう。
しかし、そう思っていたら本当に変えられるものも変えられません。
「“まだ”できてないけど、未来の自分はいいマインドセットを身に付けている」と信じて、マインドセットを変え、成長していってください。

身に付けるべき
マインドセット
それでは、実際に身に付けるべきマインドセットをいくつか紹介します。
Re受験はもちろんのこと、人生を通じて活きてくるマインドセットだと思うので、この機会に是非身に付けてください。
「まだできない。どうすればできるか。」と考える
先ほど具体例として紹介した考え方です。
Re受験中に限らず、人生を通じて、自分ができない何かに直面することはよくあります。
「英単語が覚えられない。」
「カフェでは勉強に集中できない。。」
「料理ができない。。。」
「筋トレしようとするけど続けることができない。。。。」
「朝起きられない。。。。。」
そういうときは、「まだできない。では、どうすればできるのか?」と考えてみてください。
まず、単に「できない」というだけでなく、“まだ”というワードを付け足してください。そうすることで、できない状態が固定されているものというイメージから、「未来にはできる可能性がある」という期待が生まれるようになります。
そして、この「どうすれば?」というのは、魔法の問いです。
「~できない」のあとに続きやすい言葉は、「だって」というできない理由を言うときの接続詞ではないですか?
しかし、「どうすれば?」と聞かれると、脳は勝手に、できるための方法を探し始めます。
ちなみにですが、言い訳をしてしまうのは、人間として自然なことです。
人間はあくまでも動物です。そして、動物の第一の目的は生存と繁栄です。
命を奪われるようなことはないと思いますが、言い訳をするというのは、自分を守る行為であり、言い訳をしてしまうのは動物として当たり前と言えます。
しかし、言い訳をしたところで、今の自分の気は紛らわすことができるかもしれませんが、ゴールの達成には近づきません。
できないことや、難しそうなことに出会ったら、「どうすればできるか?」と考える癖(マインドセット)を身に付けてください。
ORではなく、ANDで考える
「まだできない。どうすればできるか。」と重複したところもありますが、よく人々が陥りやすい思考パターンなので紹介します。
人はよく、「どれか一つしかできない」と考えがちです。
「勉強か部活かどちらをとるか。」
「仕事か家族かどちらをとるか。」
「数学の勉強か英語の勉強かどちらをとるか。」
確かに、「二兎を追うものは一兎をも得ず」ということわざもあるように、自分ができる範囲を超えるくらいいろいろなことに手を出すと、結果的に一つも成果を得られないなんてことはあるかもしれません。
しかし、最初から「2つのことはできない」と考えるのはもったいないです。
これも思考の癖で、両立できる方法を考えもせずに、自覚なしに「1つのことしかできない」と考え選ぼうとします。そうすると、可能性の幅が狭まってしまいます。
例えば、数学も英語も理解度合いが志望校に対して足りていないという状況があったとして、
「数学の対策をしようか、それとも英語の対策をしようか。。」
と二者択一で考えるのではなく、まずは「両方をどう対策できるか」と考えてみてください。
(もちろん、残り期間などを考慮すると、片方に絞らなければいけない状況もあるかもしれませんが、初めから片方を切り捨てようとしないでください!)
まずは、「どう両立できるか?」とANDの思考で考えてみてください。このマインドセットも、大学や社会で活きる時が必ずあります。
「選んだ道を正解にする」という考え方
人生においてももちろんですが、Re受験に関しては、選択に悩むことが必ず出てきます。
「Re受験するべきか?しない方がいいのか?」
「どの大学を志望しよう?どの学部を志望しよう?」
「Re受験しながらアルバイトをするべきなのか?」
「一人暮らししながらRe受験に挑んでいいのか?」
「予備校には通わなくていいかな?やっぱ、予備校に通った方がいいのかな?」
“人生”と、“学校での基本的な勉強”と、大きく違うことがあります。
それは、「人生に正解はない」ということです。
だから、「自分が選んだ道を正解にする」しかないのです。
とは言っても、考えたり調べたりせずに、やみくもに行動することを勧めるわけではありません。
例えば、「Re受験するかしないか」というテーマでいうと、Re受験することにはメリットがありますし、一方デメリットもあります。そうした要素を調べ、念頭に置き、Re受験するのに何が必要か考え、Re受験しないならどういう人生になるか考え、そして最終的には正解がないところに、一歩を踏み出すのです。
一歩を踏み出したあとは、その道を正解にするために全力を尽くします。
人生において悩む人は多いと思いますが、正解がないところに正解を見つけようとして悩んでいる人がたくさんいます。
決心がつかないときは、「選んだ道を正解にするんだ」という考えをしてみてください。

「失敗した」ではなく、「学べた!」と考える
Re受験中もそうですし、人生において失敗をしてしまう人はたくさんいます。
しかし、ここで考えてみてください。
「失敗」とは何でしょうか。
実は、「失敗」は見方を変えると、「学び」のはずです。
誰もが知っている発明家のエジソンは次のように言いました。
I have not failed. I’ve just found 10,000 ways that won’t work.
(私は失敗したことがない。ただ10,000回の上手く行かない方法を見つけただけだ。)
諦めなければ、一見「失敗」に思えたものは、成功への道のりになるのです。
模試などで望ましくない成績を取った際に、自分に言ってみてください。
「おお!学べた!」
と。
また、もし受験の結果、自分が望んでいた結果が得られなければ、自分に言ってみてください。
「おお!学べた!」
と。
「受験で“失敗”したら終わりじゃないの?」と思う人もいるかもしれませんが、“人生”という大きな時間軸で見れば、受験は1ステップに過ぎません。
この“失敗”に思える経験から何かを学んで、人生に活かせばいいのです。
「うわっ、失敗した!」と思ったら、「いやいや、自分は学んだんだ。次に活かそう。」と思うようにしてください。
「~しかない」ではなく、「~もある」と考える
“Glass half full” / “Glass half empty”
直訳すると、1つ目が「半分まで入ったコップ」で、2つ目が「半分空っぽのコップ」という意味ですね。
実はこれ、1つ目が「楽観的な」、2つ目が「悲観的な」という意味で使われたりするんです。
事実は同じで、コップの半分のところまで水か何か液体が入っています
(以下では「水」ということにしましょう。)
しかし、これを「水が半分しかない」という人もいれば、「水が半分もある」という人もいるわけです。
「~しか」と考えるよりも、「~も」と考えることは事実を肯定的に受け取っており、前に進むマインドセットになります。
足りていない部分にしかフォーカスしていない自分に気づいたら、「~も」という助詞を意識的に使い、前向きに考えるように努めましょう。
マインドセットを変えると精神面でいい効果がある
気づいた方もいるかもしれませんが、マインドセットを変えると、ポジティブに考えるようになり、精神的な辛さが軽減されます。
「『~しかない』ではなく、『~もある』と考える」というマインドセットは、それが顕著だと思います。
自分のできていない部分に目を向けるのではなく、自分のできている部分に目を向けることができれば、それは精神的にも楽になります。
もちろん、現状に甘んじて必要な努力を怠れば、目標を達成することはできません。
現状を肯定しながら、さらにゴールに近づけるにはどうすればいいのか前向きに考え、Re受験を乗り越えてください。
まとめ
以上、マインドセットについて見てきました。
ここで紹介したマインドセット以外にも、皆さんの役に立つマインドセットは世の中にあると思いますので、ご自身でも調べてみてください。
Re受験で成功するために、マインドセットは非常に重要なものです。そして再三述べているように、ここに挙げたマインドセットは人生全般において重要となってきます。
マインドセットを変えることは、比較的時間がかかりますが、必ず変えることはできるので、めげずに続けてください。
お金には換算することができないような、皆さんにとっての財産になると思います。
適切なマインドセットを身に付けて、Re受験を乗り越えてください!