集中して勉強したいのに、気がつくと眠くなってしまう……。
受験勉強や資格取得、定期テストに向けた勉強中に「眠気」との戦いに悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
本記事では、なぜ勉強中に眠くなるのか、その原因を医学的・生活習慣的な側面から解説します。さらに、眠気に襲われたときの対処法や、眠くならないための予防策も紹介します。
読み終えるころには、自分に合った眠気対策がきっと見つかるはずです。
なぜ勉強中に眠くなる?
「やる気はあるのに、気がつけばウトウト……」
勉強中に眠くなってしまう経験は、受験生や資格取得を目指す社会人なら一度はあるはずです。
眠気の原因は単に「寝不足だから」だけではありません。睡眠、食事、脳の働き、環境など、さまざまな要因が複雑に関係して眠気を引き起こしているのです。
ここでは、代表的な3つの原因を詳しく解説していきます。
寝不足による慢性的な疲労
まず第一に挙げられるのが、「睡眠不足による脳の疲労」です。
人間の脳は日中の活動で蓄積された情報やストレスを、睡眠中に整理・回復します。特に、ノンレム睡眠中には脳の老廃物が洗い流されるという研究結果もあります。
しかし、夜更かしやスマホの見すぎ、受験勉強の追い込みなどで睡眠時間が足りないと、脳の疲労が抜けず、翌日の学習時に集中力が低下して眠気が出てしまうのです。
睡眠不足セルフチェック(目安)※診断ではありません。該当項目が続く場合は医師にご相談ください。
- 朝、目覚ましが鳴っても起きられない
- 勉強中にまぶたが重くなる
- 寝ても疲れが取れていないと感じる
これらは、体が十分な休息を求めているサインです。
参考:Sleep Drives Metabolite Clearance from the Adult Brain
参考:青山・表参道睡眠ストレスクリニック「「朝、起きられない」のは概日リズム睡眠障害(睡眠相後退症候群)か起立性調節障害か?」
参考:大正健康ナビ「疲労度チェック」
参考:西川株式会社「朝起きられない原因は?目覚ましで起きれない人でも改善する対策方法を解説!」
単調な作業による脳の退屈
勉強中に眠くなる原因の一つに、「作業の単調さ」があります。
例えば、英単語をひたすら暗記したり、教科書を黙々と読み進めたりといった、「自ら問題を解く」というのではない言わば“受け身の学習”を長時間続けていると、脳が刺激を感じず退屈状態に陥ってしまいます。
このような状況では、脳の活動が活発な状態(ベータ波)から、リラックスした状態(アルファ波)へと変化し、やがてまどろみの状態(シータ波)へと移行していきます。つまり、脳が「退屈=安全」と判断し、省エネモードに入ってしまうのです。
眠気を誘う脳波の流れ(勉強時)
| 状態 | 脳波の種類 | 学習状況 |
|---|---|---|
| 高度な集中状態 | ベータ波(14〜30Hz) | 問題演習や記述などの“能動的”学習 |
| リラックス状態 | アルファ波(8〜13Hz) | 暗記や黙読などの単調な反復学習 |
| まどろみ状態 | シータ波(4〜7Hz) | 集中が切れ、眠気を感じる段階 |
このような脳波の変化により、ただ覚えるだけというような自分から何かを考えるわけではない受動的な勉強を続けていると、自然と眠気が襲ってくるというわけです。
さらに、単調な学習は「脳の報酬系(ドーパミン分泌)」が刺激されにくく、やる気も維持しにくくなります。その結果、集中力が低下し、「眠い・やる気が出ない」という負のループに陥る可能性もあります。
対策のヒント
- 「暗記→小テスト形式にする」などインプット+アウトプットの組み合わせに変える
- 作業時間を25分+5分休憩(ポモドーロ・テクニック)に区切る
- 書くだけでなく、声に出して説明する・図にして整理するなどの能動的学習を取り入れる
脳を飽きさせない工夫が、眠気対策には欠かせません。
参考:The effects of different fatigue levels on brain–behavior relationships in driving
参考:Boredom signals deviation from a cognitive homeostatic set point
参考:NeU「脳波とは?ブレインテックの分野でも使われる脳波について簡単にわかりやすく解説」
参考:Chamomile「脳波の種類とは?発生原理や正常・異常脳波の違いについて解説」
血糖値の急上昇・急下降
意外と見落としがちなのが「血糖値の急上昇と急降下」による眠気です。
食事後すぐに眠くなる、という方はこのタイプの原因がある可能性があります。
食事をとり糖質を摂取すると、体内でブドウ糖が生成され血糖値が上昇します。これに反応して分泌される「インスリン」は血糖値を下げる働きがありますが、過剰に働くと血糖値が急激に下がってしまい、その反動で強い眠気が襲ってくるのです。
この現象は「血糖値スパイク」とも呼ばれ、食後30分〜1時間以内に眠気やだるさを感じやすくなります。
特に注意したい食事内容
- 白米・パン・パスタなどの高GI食品
- ジュースや甘いお菓子
- 大量の炭水化物を短時間で食べる習慣
対策としては、野菜やタンパク質を先に食べるなど「食べる順番」を意識したり、他にもジュースや甘いお菓子を避けるなど「食べるものを意識」したり、食後すぐの勉強を避けるのが有効です。
参考:Flash Glucose Monitoring(FGM)時代の血糖値の分類
その他にもある!眠気を引き起こす隠れた要因
他にも以下のような要因が複合的に絡むことで、勉強中の眠気が引き起こされやすくなります。
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| 部屋が暖かすぎる | 体温が上がると副交感神経が優位になり、リラックス状態になって眠くなる |
| 姿勢が悪い | 猫背になると血流が悪くなり、酸素供給が減って脳が疲れやすくなる |
| 夜のスマホの見すぎ | ブルーライトで睡眠リズムが崩れ、日中に眠気が残るようになる |
眠気は、生活リズムと学習環境の乱れの結果として現れる症状ともいえます。次の章では、そんな眠気に襲われたときに「どう乗り切るか?」を具体的に解説していきます。
勉強中眠くなったときの対処法
「勉強中に眠くなったら、どうすればいいのか?」
誰もが一度は悩んだことがあるこの問題。しかし、正しい対処法を知っていれば、眠気をコントロールし、勉強の効率を維持することが可能です。
ここでは、複数の研究で有用性が報告されている対処法を3つ紹介します。どれも手軽にできるものばかりなので、ぜひ今すぐ実践してみましょう。
カフェインを摂取する(コーヒー・緑茶など)
眠気覚ましといえば、まず思い浮かぶのが「カフェイン」の力でしょう。
カフェインは脳内のアデノシン受容体に結合して、アデノシン(眠気を誘う物質)の働きをブロックする作用があります。この働きによって、脳の覚醒状態が維持され、集中力や注意力が向上するのです。
効果的なカフェイン摂取のポイント
- タイミング:眠くなる30分前に飲む(効果発現まで約30分)
- 量:コーヒー1杯(約100mgのカフェイン)が目安
コーヒーを飲むタイミングは、実際に眠くなってからでも問題ありません。ただ、眠くなってから飲んでも、30分程度は眠い状態で勉強をしなければなりませんので、早めのタイミングで飲んでおくことをおすすめします。
また、コーヒーが苦手な人は緑茶(カフェイン+テアニンによるリラックス効果もあり)を選ぶのもおすすめです。
注意点
- 過剰摂取(400mg以上/日)は不眠や動悸を引き起こす可能性があります。
- 胃に負担がかかるため、空腹時の大量摂取は避けましょう。
- 夕方以降の摂取は避ける(夜の睡眠に影響)
15〜20分の仮眠をとる(パワーナップ)
どうしても眠気に勝てないときは、思い切って短時間の仮眠=パワーナップを取るのが効果を感じる人が多いと報告されています。
NASAの研究によると、26分の仮眠で認知能力が34%、注意力が54%向上したという結果も出ています。
ただし、30分以上眠ると深い睡眠に入り、目覚めが悪くなる(睡眠惰性)ため、15〜20分程度の短い仮眠がベストです。
仮眠のポイント
- 場所:机にうつ伏せ、椅子にもたれかかるなど
- 時間:15〜20分以内にセット
- 仮眠前にコーヒーを飲むと◎(起きる頃にカフェインが効き始める)
注意点
- 起きた後は軽いストレッチをして体を覚醒させましょう。
- 夕方以降の仮眠は夜の睡眠に悪影響を与えることも。
パワーナップについてはこちらの記事でも詳しく紹介しているので、気になる方はぜひチェックしておきましょう。
パワーナップで勉強効率UP!科学的に証明された効果ある仮眠テクニックを紹介
参考:パワーナップ(積極的仮眠)で人生のパフォーマンスが上がる
ストレッチや軽い運動をする
机に座りっぱなしで勉強していると、血流が滞り、脳に十分な酸素が届かなくなり、眠気を感じやすくなります。
そんなときに効果的なのが、軽い運動やストレッチです。身体を動かすことで血行が促進され、脳が活性化し、眠気をリセットする効果があります。
すぐできる簡単ストレッチ例
- 首を大きく回す(左右3回ずつ)
- 肩をすくめて一気にストンと下ろす(10回)
- 屈伸運動をする(10回)
- 腕を大きく振りながらその場で足踏み(30秒)
さらに効果を高めるには?
- 外の空気を吸いに軽く散歩する
- 太陽光を浴びる(セロトニン分泌が促され覚醒作用)
体を動かすと眠気が覚めるだけでなく、気分もリフレッシュできるため、再び勉強に向かうモチベーションもアップします。
勉強内容を変える
勉強中に眠くなったら、今やっている勉強を別の内容に変えてみるのも1つの手です。
上記で紹介しているように、単調な勉強をしていると、眠気が誘発される可能性が高くなります。
もしそのような勉強をしていて眠気を感じている場合は、計算問題や読解問題などの、積極的に考えるような勉強に変えてみることをおすすめします。
また、これは筆者の経験談ですが、それでもどうしても眠気を感じてしまう場合は、自分の得意科目の勉強を始めてみるのもおすすめです。
筆者は、勉強中に眠くなったら得意科目である世界史の勉強をするようにしていました。得意で勉強していて楽しかったので、自然と眠気が改善されることが多かったです。
ぜひ参考にしてみてください。
眠くならないための予防策
勉強に集中したいのに、眠くて何も頭に入らない……。
そんな経験、誰にでもあるのではないかと思いますが、実は、勉強中の眠気は事前の「生活習慣」や「学習環境」を整えることで、かなりの部分が予防可能です。
ここでは「眠くならないための予防策」を4つ紹介します。
睡眠時間をしっかり確保する
眠気を予防するうえで最も基本的かつ効果的なのが、「毎日しっかり眠ること」です。
例えば、6時間睡眠で一見問題なく生活できているように感じていても、実は脳の働きには影響が蓄積していることがあります。
実際に、6時間睡眠が2週間続いている人の脳の状態は、2日徹夜している状態と同じだといわれており、脳機能が低下しているかもしれないのです。
中学生〜高校生の場合、1日8〜9時間の睡眠が理想とされており、これに満たない日が続くと注意力や集中力が低下し、日中の眠気を感じやすくなります。
特に夜遅くまでスマートフォンを操作していると、脳が興奮状態になったり、ブルーライトによって体内時計が狂ったりするため、睡眠の質そのものが落ちてしまいます。
参考:6時間睡眠は2日徹夜と同じ?|長時間労働を防ぐ労務管理とは
適度な運動を習慣化する
眠気の予防には「体を動かすこと」も効果的です。特に、日中の軽い有酸素運動は、体内時計をリセットしてくれるため、夜の入眠がスムーズになり、日中の覚醒度が高まります。
有酸素運動といっても、激しいランニング等をする必要はありません。少し歩くだけでも十分な有酸素運動として効果を発揮します。
特に有酸素運動をするタイミングは朝がおすすめです。
朝に有酸素運動をすることで体内時計がリセットされて身体が目覚め、夜にしっかりと眠くなり、高い質の睡眠ができるようになるからです。
また、勉強中に眠くなる理由のひとつに、「座りすぎによる血流低下」があります。
長時間座ったままでいると、脳への酸素供給が不十分になり、脳の活動が鈍って眠気を感じやすくなるのです。
そのため、血流低下を防いで眠気を感じにくくするようにするためにも、適度な運動をすることをおすすめします。
食後の血糖値スパイクを避ける
食事の直後に眠くなる原因は、「血糖値スパイク」にある場合が多いです。
血糖値が急上昇した後、インスリンの働きで急激に下がることで、眠気・倦怠感・集中力の低下を引き起こします。
特に昼食後は眠気が強くなりやすいため、糖質中心の食事を控え、野菜やタンパク質をしっかり摂ることが有効です。
血糖値スパイクについては、眠気以外の健康の観点からも避けるべき現象です。
勉強のストレスなどで糖質中心の食事をしてしまうことがあるかもしれませんが、そこは我慢して、血糖値スパイクを起こさないようにすることが大切です。
勉強環境を整える
意外と見落とされがちなのが、「部屋の環境」です。
眠くなりにくい環境をつくるには、照明・温度・家具などにも気を配る必要があります。
特に、暖かすぎる室温は副交感神経を優位にし、体をリラックスさせてしまうため、眠気を誘います。勉強時には、やや涼しめの20〜22℃を目安にしましょう。
また、机や椅子が合っていないと、姿勢が悪くなり血流が悪化し、脳への酸素供給が減るため、集中力が落ちて眠くなることもあります。
睡眠時間、食事、運動に気をつけてみても眠気が改善されない場合は、勉強部屋の環境に注目してみることをおすすめします。
出典:生産性をあげるには温度と湿度が重要! 学校での授業をより効果的にするには
眠気対策におすすめのアイテム
次に、眠気対策におすすめのアイテムを4つ紹介します。
学生でも使いやすいアイテムなので、ぜひ参考にしてみてください。
カフェイン入り飲料
眠気覚ましの定番といえばカフェイン。コーヒーや緑茶だけでなく、エナジードリンクやカフェイン入りの清涼飲料水も選択肢に入ります。
カフェインには脳内のアデノシン受容体をブロックして眠気を抑える効果があり、摂取後30分ほどで覚醒作用が現れるのが特徴です。
ただし、過剰摂取は不安感や不眠を招くため、1日に400mg以下を目安に適量を守ることが大切です。
おすすめ商品:サントリー ペプシリフレッシュショット
ミント系タブレット・ガム
ミントやメントール系の香りには、嗅覚から脳を刺激する覚醒効果があります。
特にガムやタブレットのように噛む/なめるという行動が加わることで、脳がより活性化し、眠気が軽減されるという研究もあります。
また、咀嚼そのものにも集中力の向上が見られるという報告があり、勉強中に最も手軽に導入しやすいアイテムの一つでしょう。
参考:眠りナビ 眠気をすぐに覚ましたい!即効性のある眠気覚ましの方法を専門家が紹介!
おすすめ商品:ロッテ ブラックブラック
リフレッシュ用アロマ・香りアイテム
香りは脳の「大脳辺縁系(感情や記憶を司る)」に直接作用し、香りにより気分がリフレッシュしやすいと報告されています。
なかでも、ペパーミント、ユーカリ、ローズマリーなどのアロマは覚醒系に働くことが知られています。
机に置いておけるロールオンタイプや、スティック状の芳香剤など、手軽に導入できる形で活用すると良いでしょう。
参考:The Effectiveness of In-vehicle Peppermint Fragrance to Maintain Car Driver’s Alertness
参考:小野里・前田『覚醒作用のあるアロマオイル使用後の自律神経活動と気分の変化』
おすすめ商品:無印良品 アロマストーン
身体を刺激する冷却系アイテム
どうしても眠気が取れないときには、「冷却ジェル」「目元用アイスパック」「冷感シート」などで物理的に体を冷やすのも効果的です。
冷却刺激によって交感神経が優位になり、清涼感で気分転換しやすい場合があります。
特に、首筋やこめかみ、目の周りなどを冷やすと効果が出やすいため、勉強の合間に取り入れるのがおすすめです。
特にメントールが配合されているものを首周りに塗布することで、皮膚の冷感センサーが刺激され、より高い覚醒作用が期待できます。
おすすめ商品:小林製薬 カラダに貼る熱さまシート
まとめ
この記事では、まず「なぜ勉強中に眠くなるのか」という原因、眠くなったときの具体的な対処法、眠気を未然に防ぐための予防策、おすすめの眠気対策アイテムを紹介しました。
眠気の原因は、「睡眠不足」や「脳の疲労」、「単調な学習」など、日常生活や学習スタイルの中に潜んでいます。
しかし、適切な知識と対策を持っていれば、眠気をコントロールし、集中力を維持することは可能です。
眠気と上手に付き合い、効率のよい学習を継続していきましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。診断・治療・購入を勧めるものではありません。体調に不安がある場合は医師など専門家にご相談ください。
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