
受験生にとって何よりも大切なのは勉強です。しかし、ただやみくもに勉強していてはその効率は悪くなってしまいます。
せっかく努力して勉強しているのに、効率が悪くて学力が上がらなければ悲しいですよね。
「勉強を頑張っているのに全然成績が上がらない」
「やる気はあるけど、何から始めれば良いか分からない」
「効率的な勉強方法が知りたい」
こういった悩みは、勉強に励む受験生のあるあるであり、ずっと悩んでいる方もいるかもしれません。
そこで、「スケジュール」という観点から工夫をしてみると、こういった悩みが多少なりとも解決できることがあります。
この記事では、自宅Re受験の経験もしたうえで志望校合格を果たした筆者が、勉強の効率を上げる方法の中でも、「スケジューリング方法」について解説します。
私は受験生時代、勉強の効率の上げ方について常に考えていましたが、行き着いた正解の1つが、「正しく計画を立てて正しく進めていくこと」です。
実際、私は志望校合格を果たすことができましたし、塾や家庭教師で指導する際、生徒にはまず最初に正しいスケジューリングの話をします。
皆さんも、この記事を読んで正しく計画を立てて勉強を進めていくことで、合格に近付くことができましたら幸いです。
大学合格に向けた時間管理の重要性

まず、皆さんは時間管理の重要性を理解しているでしょうか?
「計画を立てている暇があったら勉強したらいいのではないか」と思う人がたまにいますがそれは大間違いです。
計画を立て、できるだけその通りに進むことこそが、合格への近道なのです。
例えば、どこかに向かうときにマップでルートを検索したり、地図で道順を調べたりしますよね。方角だけ調べて「とにかく北へ行こう」と進む人はなかなかいないと思います。そんなことをしていたら目的地に辿り着かないでしょう。
勉強もこれと全く同じです。
計画をちゃんと立てずに勉強をしていると、気付かない内にあらぬ方向へと進んでいき、試験直前になって「あれもしていない、これもしていない」と気付いて焦った挙げ句、時間が足りずうまくいかなかった、なんてことになります。
心当たりのある人もいるのではないでしょうか。
受験というのは時間が本当にありません。限られた時間の中で、志望校合格に必要な学力をつけていかなければならないのです。
何をすべきなのかを全て把握して、できる限り綿密な計画を立てることでそれが可能になります。
またスケジューリングを上手くできると、志望校合格までの道のりのなかで、今自分がどれくらいの立ち位置にあるのかがすぐに分かり、遅れている遅れていないの判断ができ細かな軌道修正が可能です。
また、取り組むことが明確になっていると勉強のモチベーションにもつながります。
米国の心理学者エドウィン・ロック氏が提唱した「目標設定理論」によると、具体的な目標の方がモチベーションを高め、高い成果をあげるとされています。
参考:目標設定理論とは――意味と例をわかりやすく解説 – 『日本の人事部』
スケジューリング能力は大学生になっても、社会人になっても役に立ちます。スケジューリングをあまり意識していなかった人も、これを機にチャレンジしてみましょう。
効果的な勉強スケジュールの立て方

では具体的にスケジュールの立て方を述べていきます。
スケジュールを立ててもその通りに進められなければ元も子もないのですが、スケジュールの立て方にも正しい手順、意識すべきことがあります。
正しいスケジュール管理を知ったうえで実践していきましょう。
目標設定
まずは目標設定をしましょう。目標を設定する際には、まず大きい目標を決めてから、そのためにはどうすればよいのかを「抽象から具体」をイメージしながら立てていきましょう。
大きい目標から始めて、そのためには〜 、そしてそのためには~~、とだんだん細かくしていくイメージです。
例えばですが、
目標:◯◯大学に受かりたい
→そのためには、偏差値をそれぞれ英語〜〜、数学〜〜、国語〜〜ずつ上げる必要がある
→そのためには、英語は、単語数をもっと増やす、文法ももう少し頑張らないといけない、長文読解は得意だけど精読はもう少し力をつけたいな、英作文はかなり頑張らないといけないな。
数学は~~~~
国語は~~~~
→そのためには、(英語の例の続きで、具体例をいくつか挙げます)
単語:・単語数を◯◯に増やす。
・単語帳『~~』を完璧にする
・この単語帳を完璧にしたうえで、長文問題で出てきた単語も覚えていく
文法:・文法問題集『~~』を完璧にする
・この問題集にでてきた文法に関しては問題を解くだけではなく、文法書を参考にして周辺知識もきちんと暗記していく。
・苦手な“現在完了”だけはもう少しレベルの低い問題集に取り組む。
長文:・パラグラフリーディングをまず重点的にやる。
・実力が落ちないようにする目的で、長文読解の問題集『~~』を毎 日1題だけ解くようにする。
・レベルの高い問題集『~~』を3日に1題解く。
など
と、このようにだんだん具体的にしていきます。
このとき各科目に関して、できるだけ細かく範囲を分けたうえで、「理解できている」・「理解不十分」を自己分析できていることが望ましいです。
例えば、数学であればⅠ,A,Ⅱ,B,Ⅲ、どれがどのくらい理解できているのか、理解が足りていないのか、さらに数学Ⅰを例にとると「数と式」「2次関数」「図形と計量」「データ分析」どれがどこまで理解できているのか、理解が足りていないのか、さらには「2次関数」を例にとると、グラフは書けるのか、最大値・最小値問題は解けるのか、区間付きでも最大値・最小値問題は解けるのか、区間が変化する場合最大値・最小値問題は解けるのか、などなど、できる限り細かい部分まで自己分析してください。
細部まで自己分析することによって、自分の課題がより正確かつ明瞭になります。
課題が正確に分かっていることで、より効果的な対策を打ちやすくなり、スケジューリングの際にも細部まで自分に適した計画を立てることができます。
課題が明瞭であることでこの先で述べる“こなすべき課題の設定”もしやすくなります。
現段階でそこまで分からない方は、問題を解くときや模試の結果を見るときに自分が何をどこまで理解していて理解していないのか意識するようにしてみてください。
こなすべき課題の設定
目標を立てられたら次は、こなすべき課題を設定しましょう。
基本的には、教科書や参考書、問題集がこれに該当するでしょう。オンライン講座や動画講義なども人によってはあるかもしれません。
各科目・各分野において「この参考書・問題集などをマスターできれば目標のレベルまで到達できそう」というものを設定してください。
到達でき“そう”で構わないですし、「これの後にこれをやる」のように複数あっても構いません。
参考書や問題集の知識があまりない場合は、友達や先生に聞いたり、ネットで検索してみてください。YouTubeやSNSで調べてみるのも良いでしょう。
ここでの注意点としては、
- 自分の実力から乖離していないレベルの教材を選ぶ
- 1つの教材につき何周かはする必要がある
の2点を意識することが大切だと考えています。
勉強において何より大事なのは基礎です。
もしかすると、自分の学力的に周りの人が使っている教材よりもレベルを下げたものを使う方がよい場合もあるかもしれません。
しかし、基礎がしっかりとしていないのに難しい問題にチャレンジしていくのは、効果的とはいえないでしょう。自分の現状の学力に目を向けないで、基礎をおざなりにしたまま勉強を進めるのは典型的な失敗例です。
そして同じぐらい重要なのが、1つの教材につき何周かはする必要があることです。
問題集を1周しただけでたくさんの種類の参考書や問題集に手を出す人がいますが、それはおすすめできません。
すでに1周した問題集をもう一度解いてみると、まだまだ完璧でないということがあると思います。また、他の問題集に手を出してみたところ、同じような問題で毎回つまずくということに身に覚えがある人もいるのではないでしょうか。
ただ問題をこなしていくのでは、実力がついたことにはなりません。
1冊1冊を完璧にしていくために、教材を何周かすることを念頭において、課題設定をしましょう。
優先順位の設定
こなすべき課題が決まった後は、課題の優先順位をつけていきましょう。
理想的なスケジュールを立てても、思い通りいかないことが多いです。
そのような場合にも優先順位の高いものはできるだけ確実にこなせるように、あらかじめ優先順位をつけておきます。
目標を設定するときに挙げた科目・分野の中で、苦手なものの順位を高く設定すると良いでしょう。
また、上記でも触れたような基礎的な部分の学習や、例えば数学など理解に時間がかかるようなもの(暗記するだけでは結果が出にくいもの)も優先度を上げた方がよいです。
他にも、目標の大学が決まっているのであれば、科目ごとの配点割合なども優先順位を考えるうえで考慮する必要があるでしょう。
時間割の設定
次に、「1日にどの教科をいつからいつまでするのか」の時間割の設定をします。
まずは、受験当日まで自分に残された時間(何ヶ月、何週間、何日)がどれくらいあるのかを確認します。
そして、いつまでに基礎固めを終えるべきなのか、いつから演習系の問題に取り組むのか、いつから2次試験の過去問対策に入るのか、いつから大学入学共通テストの対策に入るのかなど、大まかなスケジュールを立てます。
そのうえで、月単位で、先程決めたこなすべき課題をどれくらいずつ進めていけばよいのか逆算します。
(例えば、ある科目において、
「◯◯月までに参考書A、△△月までに参考書Aの2周目と参考書Bの半分まで」
というような感じです。)
月単位でするべきことを決めたら、次は1週間にするべきことを確認します。
1ヶ月を4週間として、単純に4等分などで大丈夫です。4等分する際は、ページ数かテーマ数で分けるのが良いと思います。
これは個人の好みですが、私はページ数だときりが悪くなり勉強がしにくいので、テーマ数で割るようにしていました。また、個々のテーマによって分量にかなり差がでてしまう場合は、分量が少ないテーマは2つで1つのカウントにするとか、多いテーマは2つに分けるなどして臨機応変に対応していました。
1週間でしなければいけないことが分かったあとは、最後に1日単位でスケジューリングしていきます。
学校の授業や部活、土日など休日の日なのか、テスト期間なのか、などなどを考慮して、その日ごとにだいたい勉強に使える時間が決まってくると思います。
その使える時間に合わせて、1日でしなければいけない分量を決めます。分量を決めたら、どの時間に何をするのかを割り振っていきます。
ほぼ確実に勉強できる時間に優先順位の高いものを割り振るとよいでしょう。
無理なく継続できるように
スケジュールを立てるとき、無理のないように、またできるだけ確実に達成できるようにする工夫も大切です。
あまりかつかつに予定を立ててしまうと、こなすのがしんどくなってしまいます。
また、全然スケジュール通りいかない日が続くと、やる気がなくなってしまう原因となります。
スケジュールを立てるときはやる気がある場合が多く、オーバーワーク気味のスケジュールになりがちなので注意が必要です。
また、嫌いな科目と好きな科目の比率も考えましょう。嫌いな科目ばかり勉強するのは気分的にしんどく、勉強が継続しにくい要因になります。嫌いな科目しか勉強しないような日はできるだけ作らないようにしましょう。
勉強以外のことを予定に組み込むのも重要です。計画的に遊びや息抜きの予定を入れることで、だらだらしなくて済むような効率的な息抜きをしやすくなります。ただし、入れすぎには気を付けましょう。
スケジュール管理とうまく付き合うコツ

スケジュールを守れず、イライラしたり、計画倒れしてしまっては本末転倒です。そうならないためのコツをいくつか紹介していきます。
休憩を適度にとる
休憩をとることは非常に重要です。
「休憩を取る時間なんてない」と焦る人もいるかもしれませんが、適度に休憩を取りながらの方が結果的に多く、そして効率的に勉強できます。充分な休憩を取らずにずっと勉強しているとだんだん脳が疲れて集中力が落ち、効率も悪くなってしまうのです。
人間の集中力は意外と続かないといわれています。あるテストの結果、15分が集中の限界と言っている人もいるほどです。
参考:勉強の集中力は“15分”が限界? 脳科学の専門家に聞く「集中」のコツ|学習と健康・成長
スケジューリングの段階でリフレッシュできるものを組み込んでおくのも良いですし、疲れてきたら無理せず適度に息抜きをしましょう。
息抜きについては、下記も参考にしてみてください。
Re受験生の息抜き | Re受験バイブル “浪人”あらため“Re受験”へ。受験の再挑戦を応援。
進捗を見直す
計画とは、基本的には想定通りいかないものです。意外と時間がかかったり、逆に早く終わったり、理解に時間を要してしまったり、息抜きをしたり、体調が悪くなってしまったりと、予定を狂わせる要因は数え切れないほどあります。
「じゃあそもそも計画なんて立てなくていいんじゃないの?」と思う人もいるかもしれませんが、それは違います。
この記事で紹介したような方法で計画をあらかじめ立てておくことで、自分の進捗を確認でき、細かに軌道修正できるためです。
スケジュールと実際の進捗にズレが生じてきたときは、冷静に進捗を見直して修正を加えたスケジュールを立て直しましょう。
また、たくさんスケジュールの修正を重ねていく内に、だんだん要領を得てきて実際とのズレも少なくなっていきます。
それでも完璧に計画通りいくことは本当に稀です。そのことを頭の片隅に置いておき、スケジュール通りいかなくても落ち込むことなく、都度軌道修正しながら勉強を進めていきましょう。
週に1日予備日を作る(その週にできなかった勉強をする日)
週に1日程度予備日を設けましょう。
その週にできなかったことをするための日を1日とっておくことで、計画通りに進められなかったときの予防線となります。
“計画通りなんてなかなかいかないもの”とは分かっていても、実際に遅れだすと焦りの気持ちが出てくるかもしれませんが、予備日を設けておくことで心の余裕が生まれやすくなります。
また、週ごとに予備日を設ければ、勉強に遅れが生じた際にすぐに取り返すことができ、より細かに修正を加えながら勉強を進めることができます。
「スケジュール通りいけたときは、予備日は思いっきり遊ぶ」などと決めれば、日々の勉強のモチベーションにもつながります。
フレキシブルな対応をする
スケジュール管理とうまく付き合うにあたり、不測の事態に対して柔軟に対応することも大切です。
例えば体調が悪かったり、急用が入ったり、その他諸々で予定が狂いそうなときは、スケジュールにこだわりすぎず臨機応変に対応しましょう。
特に体調を崩したときなどは無理をするとあとに響いてしまい、余計にスケジュール通りいかなくなってしまう恐れがあります。
こうした不測の事態に備えて予備日を設けることが重要ですし、立てたスケジュールを軽んじてよいわけではもちろんありませんが、状況状況に合わせて柔軟に対応しましょう。
まとめ
本記事では受験勉強におけるスケジュール管理の重要性、手順、上手に付き合う方法について書きました。
目標に向けてスケジュールを立てることの重要性は受験生だった当時はもちろん、現在も私自身ひしひしと感じています。
目標に向かって自分で計画を立てて実行する能力は、受験だけではなくこれから先の人生でも絶対に必要となってきます。
今回紹介したスケジューリング方法を参考に、自分に合ったやり方を模索し取り入れながら、受験勉強をより効率的に進めていってもらえれば幸いです。
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