息抜きはしてよい
Re受験は約1年にもわたる長期戦です。その1年間、勉強に注力するというのは、なかなかハードなものです。
「たまには気分転換したいよ。。」
と思うことは、もちろんあります。
しかし、“勉強”こそがRe受験生の本分であるため、
「息抜きなんてしてもいいのか?」
と、勉強以外のことをして息抜きすることに、罪悪感や引け目を感じてしまう人もいるでしょう。
まずはじめに、「Re受験生って息抜きしていいの?」という疑問に答えたいと思います。
結論から言うと、「息抜きはしてよい」です。
もちろん、息抜きのしすぎは問題となってきますが、適度な息抜きなら大丈夫ですし、むしろ適切に息抜きをするとよい効果があらわれることも分かっています。
したがって、
「Re受験中なのに休憩してしまった。自分は怠け者だ。」
というように罪悪感を抱く必要もないですし、
「趣味を再開するのは、絶対にRe受験終わってからだ!!」
と、勉強以外のことに時間を費やすことを頑なに拒否する必要もありません。
(もちろん、「Re受験終了後に自分の好きなことができる」ということを励みにして頑張るのもよいことです。)
社会に出たとして考えてみてください。
普段は仕事をしているわけですが、1日という単位で見ると、こまめな休憩もあれば、退社後は余暇として、娯楽や勉強などの自己投資や、仕事以外のことに自由に時間を使うことができます。
1週間という単位で見ると、仕事内容にもよりますが基本的には土日が休みで、この日は仕事以外のことに1日まるまる費やすことができます。
1年という単位で見ると、例えばお盆や年末年始、ゴールデンウイークなど、長期的に休めるタイミングがあります。
このオンとオフのバランスが取れることで、仕事でもパフォーマンスが発揮されるのです。
そのように考えると、Re受験期間によい息抜きの仕方を身に付けることができれば、それは今後の人生でも活かすことができるといえます。
「息抜きをする=怠けている」ではありませんし、「息抜きをする=サボっている」ではありません。
そう思っている人は、
「息抜きをする=勉強に集中し、Re受験を乗り越えるための準備をしている」
と、認識を改めてみてください。
「息抜きをしてもよい」ということを強調したうえで、息抜きの必要性や、息抜きの注意点、おすすめの息抜き方法について触れながら、Re受験生の息抜きについて見てみましょう。

息抜きの必要性
まず、息抜きの必要性について見てみましょう。
集中できる
勉強するのに際して、当たり前のことですが、集中力が必要になります。
この“集中”できる状態をもたらしてくれるのが、息抜きなのです。
勉強で、もしくは仕事なり他のことにも当てはまりますが、大切なことは、
「量より質だ」
ということです。
例えば、2時間頭が冴えないなか勉強するよりも、1時間集中して勉強に取り組む方が、結果的な勉強成果は大きいです。
効果的に息抜きをすることで、勉強効率を高めることができるのです。
ここで“集中”について、話を深掘りします。
人間の集中状態の持続時間については、これまでさまざまな実験や研究が行われてきました。
「なら、私たち人間がどれくらいの時間続けて集中できるのか、知りたい!」
と気になるかと思いますが、実は、人間の集中の持続時間については見解がいろいろあるのです。
平均的な集中継続時間が、子供の場合は約30分、大人の場合は45~50分程度、最大でも約90分、というような見解もあれば、
なんと、「(条件が揃えばですが、)集中の継続時間に制限はない」という見解もあります。
「そんなバカな」と思われる人もいるかもしれませんが、思い返していただければ、「友達とゲームをしていたら、気づいたら3時間も経っていた」というような経験があるのではないでしょうか。
例えば、お医者さんともなると、10時間から15時間、手術に取り掛かるなどということもあります。
ある実験では、「集中力に限界はない」と伝えられた被験者の方が、「集中力には限界がある」と伝えられた被験者よりも、作業の効率が向上したという結果も得られたそうです。
科学はますます発展しているわけですが、人間を含めて世の中の全てを解明しきっている万能なものではまだありません。
このページでは、集中力の継続時間には限界があるものとして、それに関する情報も共有しますが、必要に迫られたら、「集中力に限界はない!」と信じ込むようにするとよいでしょう。
ちなみに、思い込むことで能力がアップしたり、効率が向上したりすることを実証する実験もあります。(代表例:「プラシーボ効果」)
「思い込みの力」については、当サイト『Re受験バイブル』の「科学的勉強テクニック」のページでも紹介しているので、ぜひご覧ください。
以上を踏まえたうえで、適度に休憩(息抜き)をすることで学習効率が上がったという実験結果を簡単にご紹介します。
株式会社ベネッセコーポレーションと、東京大学の池谷裕二教授が行った実証実験では、長時間続けて勉強するよりも、小刻みに勉強する方が、総合計勉強時間が少なかったとしても、学習成果が大きかったという結果が得られたそうです。
具体的には、
グループ①は60分×1セットの時間勉強。
グループ②は45分×1セットの時間勉強。
グループ③は15分×3セット=45分の勉強と、7.5分×2=15分の休憩
という時間割りで勉強しました。
その後、当日、翌日、1週間後とテストを実施しました。
そうしたところ、グループ③が一番学習が定着していたという結果が出たそうです。
そして、脳波計をつけて脳波を計測したところ、小刻みに休憩を入れることで、集中力に関係するガンマ波のパワーが回復していることも確認できたそうです。
休憩(息抜き)を小刻みに入れた方が、集中力も上がり、学習効果も上がる可能性があるという結果が、この実験で得られたのです。
ストレスを発散できる
Re受験中は、想像を越えるような大きなストレスを抱えがちです。
大多数の人は、Re受験の結果が思わしくなかったとしても、2回目のRe受験にチャレンジできず、「この1回のRe受験で成功しないといけない」というプレッシャーを抱えることになります。
そうしたなか、模試やテストで自分の望ましくない成績を視覚化されたり、すでに大学生活を謳歌している同期の姿を見たり、メンタル面にストレスをかけてくる要因は、日常のいたるところに散らばっています。
心身のストレスが原因で起こる異常は、皆さんが想像しているよりも多いかもしれません。
いくつか列挙すると、
- 頭痛
- めまい
- 胃痛、下痢、便秘
- 高血圧
- 心臓病
- うつ病
- 摂食障害
- 強迫性障害
などなど
ストレスを抱えていては、勉強に集中できないですし、そもそも勉強ができなくなるような心身の状態に追い込まれる危険性があります。
実際、息抜きせずに勉強にだけ注力していた人が、突如として精神崩壊を起こして勉強できなくなってしまうケースもあるそうです。
そこで、息抜きはストレスの発散につながります。Re受験生にとって、ひいては人間にとって、息抜きは必要不可欠なのです。

メリハリをつけられる
息抜きを適度に入れることで、勉強漬けの日々にメリハリをつけることができます。同様のことを、『Re受験バイブル』の「Re受験期のアルバイト」のページでも紹介していますが、ここでも再度紹介します。
先ほどの「集中」についての話と似通った内容ですが、ここでは特に、小刻みな息抜きではなく、「よし、午後は遊ぶぞ!」や「よし、この日は遊ぶぞ!」というような比較的大きな時間単位での息抜きの重要性について強調します。
Re受験生は、全時間を勉強に費やすことができます。一方裏を返せば、時間がありすぎるためにだらだらとしてしまい、勉強の効率が落ちてしまうケースもあるのです。
そこで、息抜きの時間を設けることで、勉強に費やせない時間をあえてつくることができ、これが危機感のようなものに転じて、その結果勉強に集中できるようになり、学習効果が上がりやすくなるのです。
実際、ビジネスの現場では、「パーキンソンの第一法則*」という上記に関連するような事柄が語られています。
*パーキンソンはイギリスの政治学者・歴史学者
「パーキンソンの第一法則」とは、「ある仕事と、それを遂行するための時間が与えられたとき、人はその時間全てをかけて、仕事を完結させる」というものです。分かりやすい例でいうと、「締め切りまで余裕があったのに、結局締め切り直前になってやっと仕事が終わる」ということです。
勉強で考えてみても、「テスト前日に一夜漬けで勉強する」というような経験をした人もいるかと思いますが、そのときに普段では考えられないくらい集中できたという人も多いのではないでしょうか。
この、「締め切りギリギリになるまで、やるべきことを終わらせることができない」、言い換えると、「締め切りが近くないと作業効率が落ちる」という人間の法則を逆手に取り、適度な息抜きをあえて入れることで勉強効率を高めることは、よい方策なのです。
息抜きの注意点
息抜きを“計画的に”するようにしましょう。
「なんとなく勉強していて、なんとなく息抜きしている」という状況では、息抜きの効果を最大限得ることができません。
最悪のケースでは、
「気づいたらスマホ見始めて、もう1時間以上もSNSを見ていた。。」
みたいなこともあるでしょう。これでは、罪悪感も抱きやすく、余計なストレスになりえます。
また、息抜きの時間をあらかじめ設定するから、「よし、次の息抜きまでの時間は勉強に本気で集中するぞ!」という、「パーキンソンの第一法則」のような効果が得られるのです。
“罪悪感”の話に再度触れますが、勉強に本気で取り組めないなか息抜きに進んでしまうと、それもまた罪悪感につながりやすく、息抜きしたとしても、息抜きのメリットがなくなってしまいかねません。
ちなみにですが、息抜きの内容を変更できる柔軟さをもってください。
例えば、
「あと1時間でカラオケに行こうと思ってたけど、あまり勉強に集中できていないし、かといって勉強にこれ以上連続して集中できないから、15分昼寝しよう」
という感じで、状況や自分の心持ちに合わせて、息抜きの仕方を工夫しましょう。これはただの具体例ですが、この事例では、罪悪感を抱かず、でも集中力を回復させるための息抜きがしっかり取れています。
いざ、本気で勉強に集中できたあとに息抜きに入れたとしても、「予定以上に息抜きしてしまった」というような話はよくあります。
息抜きする際には、「15分散歩に行こう」みたいに、どれだけの時間息抜きをするのか、これもあらかじめ決めるようにしましょう。
再度言いますが、
「息抜きをする=勉強に集中し、Re受験を乗り越えるための準備をしている」
です。
この認識を忘れないようにして、息抜きを日常のなかに計画的に盛り込んでいきましょう。
ストレスを解消しにくい息抜きがある
一見ストレスが解消されるように感じても、実はそれが一種の錯覚で、ストレスが解消されにくいものがいくつかあります。
アメリカ心理学会(American Psychological Association)の調査によると、
- パチンコや競馬などのギャンブル、タバコ、酒(20歳未満はしてはいけません)
- ショッピング
- やけ食い
- ゲーム
- ネットサーフィン
- テレビ、映画を見る
などの行為は、ストレス解消の効果が低いと認められたそうです。
「気分が良くなる=ストレスが解消されている」というわけではないのです。
とは言いつつ、やりたいことを我慢しすぎてストレスが溜まることもありますし、以下におすすめする息抜き方法と上手く組み合わせられるのであれば、上記の息抜き方法は「絶対にしてはいけない」というものでもないと思います。
「息抜きしているのに、ストレスが解消されているとなかなか感じないな」
と思うような節があれば、上記の息抜き方法が過多になっていないか、疑ってみてください。
もちろん、どの息抜き方法がどれくらいストレスを解消できるのかは、個人差があると思いますので、いろいろ試しながら、よい息抜きの仕方を探ってみてください。

息抜き中は勉強のことを考えない
Re受験に取り組んでいると、息抜き中にどうしても勉強のことを考えてしまうとしても、不思議なことではありません。
しかし、息抜き中は一切勉強のことを考えないようにしてください。
そうでないと、息抜きの効果が薄まる、またはなくなってしまいます。息抜きのメリットの一つが、勉強への集中力を上げることでしたが、息抜き中も勉強のことを考えていると、勉強への切り替えがおろそかになり、結局その後の勉強が中途半端になりがちです。
「勉強するときは全力で勉強する。そして、息抜きをするときは全力で息抜きをする。」
ということを強く意識してください。
おすすめの息抜き
それでは、おすすめの息抜きについて紹介します。
軽い運動
軽い運動は、ストレス解消法として筆頭に挙げられます。
厚生労働省の運営するウェブサイトでも、
「運動には、ネガティブな気分を発散させたり、こころと体をリラックスさせ、睡眠リズムを整える作用があります。」
と記載がある通り、運動はストレス解消に効果的です。
実際、運動をすることで、「幸せホルモン」などと呼ばれたりする、エンドルフィン、セロトニン、ドーパミンといったホルモン、神経伝達物質が分泌されることが知られています。
激しい運動をしてしまうと、疲れ果てて後の勉強に支障が出てしまう可能性もあるので、その点に注意しながら、軽めの運動をすることをおすすめします。
読書
イギリスのサセックス大学の研究によると、6分間読書をするだけで約70%のストレスを解消することができるそうです。
読書をすることで心拍数が下がり、筋肉の緊張が緩和され、ストレスの解消につながるのです。
現実世界から離れることができる「小説」がよりおすすめされます。ただ、勉強を一旦中断して集中力を回復したいという目的であれば、その他のジャンルでも一定の効果はあると思います。
また、読書をすることは息抜きとしての効果があるわけですが、新しい知識や新しい考え方が身についたり、想像力のトレーニングなどにもつながるので、メリットが多いです。
音楽を聴く
音楽を聴くこともストレス解消に有効です。音楽のストレス解消効果についても、多くの実験で報告されています。
一般的には、クラシック音楽や自然音がよいとされていますが、自分の好きな曲や、またそのときの自分の感情や気分に合った曲を聴くのも有効です。
歌う
音楽を聴くだけでなく、例えばカラオケなどに行って、歌うというのもよい息抜き方法です。
実際、ストレス物質であるコルチゾールが、歌うことによって減少するという事象が、実験により報告されています。
また興味深いのが、「カラオケが嫌い」という人であっても、歌った後はストレスが軽減されるという結果が、実験で得られたそうです。

家族や友人と話す
関係性にもよりますが、よい関係であれば、家族や友人と時間を過ごし、話をすることもよい息抜きになります。
Re受験期には、人との会話が減ってしまう人も多く、そのこともストレスにつながりやすいです。
特に友人と話して息抜きができれば、人とのコミュニケーションが増えることでストレス解消につながりますし、他にもRe受験への不安を軽減できたり、お互いに鼓舞し合えたりと、よいメリットがあります。
意識的に人とのコミュニケーションを増やせる息抜きもおすすめです。
自然に触れる
『Frontiers in Psychology』という科学メディアに掲載された論文によると、自然と20分間触れ合うとストレスホルモンが軽減されたという結果が、ある実験から得られたそうです。
また、家で勉強していようが塾や予備校で勉強していようが、屋内では空気が淀んでしまい、勉強に集中できないという経験をしたことがある人もいるでしょう。
自然が近くになくても、一旦屋外に出て外の空気を吸うことは、よいリフレッシュになります。
仮眠をとる
勉強をしていると、どうしても眠たくなってくることもあるでしょう。
そのときに、寝てしまわないように踏ん張る人もいますが、いっそのこと仮眠をとってしまうことをおすすめします。
パワーナップ(Power nap)と呼ばれる、15分から30分程度、横にならないで机に伏した状態で睡眠をとる仮眠法も提唱されており、NASAもこのパワーナップの効果について、科学的根拠を見出しているそうです。
眠気があるのでしたら、それに抗わないで、眠ってしまい息抜きすることも、効果的です。
まとめ
以上、Re受験生の息抜きについて見てきました。
すでに述べましたが、どの息抜き方法がフィットするのかは人それぞれですので、いろいろな息抜きを試しながら、勉強の効率が最大化できる息抜きの方法と息抜きの仕方を探してみてください。
「息抜きをする=勉強に集中し、Re受験を乗り越えるための準備をしている」
です。
そしてこれも繰り返しになりますが、息抜きは大学、社会に出ても必要となります。
適切な息抜きをできることで、パフォーマンスを発揮したいところで最大限のパフォーマンスが出せるのです。
「人生を生き抜くための訓練だ」という視点もぜひ持ってください。
効果的な息抜きを駆使して、Re受験を乗り越えてください!