
海外就職はアメリカやオーストラリアなど海外企業の求人に応募し、現地勤務を前提として採用される働き方です。
インターネット・SNSや国際交流システムが発達したおかげで、海外企業へコンタクトが取りやすくなったこともあり、海外就職は新卒の進路における一つの選択肢になりつつあります。
本記事では新卒で海外就職したい受験生は知っておきたいステップについて解説します。
海外就職のメリット・デメリットなど、基礎的な情報も解説しますので、大学にすでに進学している人も含めて、将来海外で働きたいと考えている人はぜひ最後までご覧ください。
海外就職のメリットとデメリット

海外就職するうえで「グローバルな舞台で自分を成長させたい」など、目標や理想を持つことは大事です。
しかし、海外就職を成功させるには目標や理想だけでなく、海外で働くとどのようなメリット・デメリットがあるのかを把握しなければなりません。
新卒で海外就職を考えている受験生は以下のメリット・デメリットを参考にして、自分にとってメリットが大きい選択肢であるか、デメリットをカバーできる方法はないか考えてみてはいかがでしょうか。
海外就職のメリット
まず、海外就職の主なメリットを紹介します。
価値観や文化が異なることから、日本の企業では得られないメリットも多いです。
理想の将来設計図を実現するため、海外就職が良い手段かどうか考える参考にしてください。
実践的な外国語が身につく
海外就職すると、業務中はもちろんのこと、日常でも英語など現地の言葉を使うことになるので、実践的な外国語スキルが学べます。
英会話スクールなど日本でも外国語を学べますが、学生として授業を通じて学ぶようなシチュエーションであることがほとんどであるため、ビジネス上や実生活の中でのニュアンスが身につきにくい傾向があります。
海外就職すると、現地の人の話すニュアンスや言い回しを業務上や日常の中で聞けるため、実践的な外国語をインプット・アウトプットしやすい環境に身を投じることが可能となります。
貴重な交友関係を築ける
海外就職では同じ職場の仲間として海外のビジネスマンと関係を持てます。留学で得られる交友関係はプライベートなものに終わってしまうことも多く、仕事にまで活かせることは稀かもしれません。そういう点で、海外就職では留学では得られないような貴重な交友関係を築けます。
ビジネスで生まれた関係は、たとえ他の企業に転職しても、自分の価値を高めてくれるコネクションとして活かせることも珍しくありません。
特に日本の就職市場において、海外就職をしている人の人数は少ないため、他の求職者との差別点として、グローバルな人脈を持っていることは企業によっては有効なアピールポイントになるでしょう。
グローバルな視点を持って活躍していきたい人にとって貴重な存在になるのはもちろんのことですし、自分と異なる文化的背景を持つ人とのつながりは、自分の価値観を広げるきっかけにもなるでしょう。
キャリアアップしやすい
海外企業のほうが日本企業よりも実力主義を重視している傾向が強いです。
そのため、海外就職したほうが若い年代から給料をアップできたり、昇進できたりキャリアアップしやすいといえるでしょう。
また、日本企業の転職市場において海外就職で得た経験は高く評価されます。
日本企業でキャリアアップする場合でも、海外就職の経験は大きな武器になるので、若い世代からキャリアアップを目標にしている受験生におすすめです。
海外就職のデメリット
次に、海外就職の主なデメリットを紹介します。
海外就職を考えている就活生は必ず以下のデメリットを確認し、そのデメリットを補えるか、カバーできるか検討してみましょう。
リストラされることもある
海外企業の多くが実力主義を重視している社風であるため、キャリアアップがしやすい反面、結果を残せないとリストラされることも少なくありません。
日本では企業が従業員を定年まで雇用する「終身雇用制度」を採用していることが多いです。勤めている企業が経営不振の場合や、従業員が犯罪を犯してしまった場合など、リストラされる原因には特殊な事情が絡んでいることが多いです。
そういう点から、日本の方が、従業員がより守られているといえるでしょう。
しかし、海外では企業経営にメリットが残せていないとリストラされてしまう可能性が高いので、仕事に対する姿勢をよりシビアに持つ必要があります。
研修制度がないことも珍しくない
海外企業では仕事に必要なスキルを持っている前提で採用することが多いので、研修制度がない企業が多いです。
そのため、海外就職ではわからないことは自発的に聞きにいったり、自己投資して学んだりする積極性を持っていることが、成功の大きな要因となります。
受け身の姿勢でいると業務を円滑にこなすことが難しくなってしまうので、自発的に行動したり自己研鑽したりする必要が国内就職以上にあることを理解しておきましょう。
参考:海外就職のメリットとデメリット10選!海外で働くために知るべきこと | Gabby (gabbyacademy.com)
参考:海外で働くメリット・デメリット5選を紹介!海外就職の方法についても解説 – Leverages Career Mexico (lc-mexico.com)
参考:海外から日本に転職するには?必要な準備や注意点をまとめてご紹介 | Apex(エイペックス)
新卒で海外就職するためのステップ

新卒で海外就職をするには、受験生の時から計画性を持って行動することが大切です。
海外就職はまだ新卒の選択肢として広く浸透していない働き方であり、目標に向かって意識して行動しないと実現のハードルは高いでしょう。
早くから行動することが海外就職成功のカギになるので、以下の行動ステップを参考にしてみてください。
進学先の大学選び
海外就職を有利に進める方法として、グローバルでも通用する内容や、国際的なビジネス領域を学べる大学を選ぶことが挙げられます。
勤めたい企業が明確に決まっている場合は、その企業で使用されている言語やその事業領域に関係ある学問を学べる大学を選ぶと良いでしょう。
上智大学では外国語による授業は874科目を開講していたり、東京大学では授業を英語で行う「東京大学グローバルリーダー育成プログラム(GLP-GEfIL)」など、日本にいながら国際色豊かな環境に身を置ける大学もあります。
また、留学プログラムや交換留学生を積極的に受け入れている大学もあるため、留学制度や外国語に関する専攻があるかなど、海外就職で役立つ制度が整えられているかチェックすることをおすすめします。
海外就職では従業員の血縁者や友人など、自分や周囲の人物とのコネクションをもとに人物を採用することも珍しくありません。
留学プログラムや交換留学生などの制度を活用して、さまざまな場所でコネクションを築くことで、思わぬ接点から海外就職が実現することがあります。
例えば、神田外語大学の公式サイトでは海外就職を実現させた卒業生のコラムを確認できたりしますが、同じような海外就職の成功談を調べてみて大学選択の参考にするのもよいでしょう。
参考:海外で就活するために必要なこと|日本との違いやポイントを紹介
参考:【人事が選ぶ】「海外就職」に有利だと思う大学ランキングTOP16! 1位は「東京大学」【2022年最新調査結果】(1/5) | 大学 ねとらぼリサーチ
参考:海外営業を目指せる大学・短期大学(短大)一覧(146校)【スタディサプリ 進路】 (shingakunet.com)
参考:留学先でそのまま就職成功の秘訣!3つの絶対ルールとは!?
参考:世界就職|受験生応援サイト“THE WORLD GATE”|神田外語大学
エージェントを活用
ビジネスや企業の国際化にともない、海外企業のコネクションを扱う転職エージェントも増えてきています。
転職エージェントの中には新卒向けのサポートを充実しているものもあり、そうしたエージェントのうち海外とのコネクションもあるものを活用できれば、新卒での海外就職活動を効率的に進められます。
エージェントによって自分が働きたい国の求人案件を持っているかどうか変わってきますので、いろいろ比較して自分の望む海外就職を実現させられそうなエージェントがないか探してみましょう。
参考:新卒での海外就活を実現させよう! 国別の違いと就活サイトも紹介 | キャリアパーク就職エージェント (careerpark-agent.jp)
海外求人情報を探す
以下のようなサイトは海外企業の求人情報を取り扱っているため、自分に合った企業があるかどうか確認してみるとよいでしょう。
また、日本企業によっては営業職などで「海外駐在員」を募集している場合もあります。
海外駐在員は海外で働く代わりに、手当や福利厚生が充実している特徴があるので、通常の職種よりも収入が多いことも珍しくありません。
企業を探す際には海外企業だけを見るのではなく、グローバルに活躍している日本企業を確認することもおすすめします。
参考:新卒での海外就活を実現させよう! 国別の違いと就活サイトも紹介 | キャリアパーク就職エージェント (careerpark-agent.jp)
参考:海外就職・転職サイトおすすめ10選【場合別】 | Kredo IT留学 / オンラインキャンプ
留学中に海外で就活する
ビザの種類によっては留学中に就職活動やインターンに挑戦し、そのまま海外就職に移行することも可能です。
インターンやアルバイトなどの就労が許可されているビザは以下のとおりです。
- COOPビザ
- ワーキングホリデービザ
- 卒業ビザ(PGWP)
なお、ビザの制度は国ごとによって異なります。海外就職したいといっても国を限定していないなら、留学先の国選びも重要になるかもしれません。
こうしたルートもあるので、上述した内容と少し被りますが、海外留学の制度が充実した大学に進学することも、海外就職を成功させるよい手段でしょう。
参考:留学先でそのまま就職成功の秘訣!3つの絶対ルールとは!? | ココア留学 (55a.info)
海外就職に必要な資格とスキル

海外就職を成功させるには資格やスキルを充実させて、企業にとって採用するメリットが高い人材であることをアピールすることが重要です。
ここでは、海外就職に役立つ資格とスキルを紹介します。
語学力
当たり前のことかもしれませんが、海外就職を成功させるためには、高い語学力が必須です。
海外就職を経て語学を学ぶことももちろん可能ですが、あくまでもビジネスパーソンで採用する以上、業務に支障をきたさない程度の語学力が必要になります。
なかでも、やはり世界的な公用語という認識がある英語はできた方がよいでしょう。
海外就職で必要な英語力の目安は以下のようにいわれています。
- TOEIC:820点以上
- IELTS(エルツ):6.5以上
- TOEFL:575以上
なお、TOEICは海外での知名度が低い傾向にあるので、履歴書に記載しても評価がされにくいです。あくまでも、自身の英語力の目安を図る意味で活用するとよいでしょう。
英語の受験勉強で英語の基礎力を身につけることは、TOEICやIELTSの点数を上げることにもつながってきます。海外就職を目指している受験生は英語の受験勉強により注力して取り組むとよいでしょう。
参考:海外就職に必要なことを経験者が解説|メリット・英語力・スキル・成功の秘訣 | Gabby (gabbyacademy.com)
参考:IELTS/ケンブリッジ/TOEFL/TOEIC/英検スコア換算表 | ニュージーランド留学センター
業界ごとの専門資格
海外就職では即戦力になる人材が求められているため、就活時に自分が持っているスキルや能力の証明が成功のカギになります。
ここでは分野ごとに国際的に効果がある資格をまとめています。
志望する職種が明確になっている受験生は、大学に合格したのちに資格獲得に向けて計画を立てることをおすすめします。
また、ここで紹介しているもの以外にも海外就職に役立つ資格はあるので、興味がある方は調べてみてください。
経理・会計に有効な資格
- 経営学修士(MBA)
- 米国公認会計士(USCPA)
- 国際会計検定(BATIC)
IT系に有効な資格
- 認定情報技術者(CITP)
- Microsoft認定資格プログラム(MCP)
- 情報処理技術者試験
接客・サービス業系に有効な資格
- サービス接遇検定
- 観光英語検定
参考:海外で働きたい日本人におすすめの資格9選 – 海外キャリア図鑑 (careerzukan.com)
参考:海外で仕事が見つかる!オススメの資格21選を紹介 – Leverages Career Mexico (lc-mexico.com)
入学後早いうちからしておくべきこと

海外就職を成功させるには、早いうちから準備していくことが大切です。
海外就職を考えている受験生であれば、準備している期間が長ければ長いほど海外就職を有利に戦えるので、大学に合格した瞬間から海外就職に向けて何ができるか考えてみることをおすすめします。
ここでは、海外就職に向けて入学後早いうちからやっておくべき主なことを紹介します。
海外就職を検討している人はぜひ実践してみてください。
語学を勉強する
海外就職において語学力の向上は必要不可欠になりますので、使用する語学の勉強をコツコツと積み重ねましょう。
語学は一朝一夕で培えるものではないので、特に早め早めに取り組むことが大切です。
とくに留学システムに力を入れている大学が増えてきていますので、言語だけでなく異国の文化や価値観を実感するためにも、積極的に留学に挑戦すると良いでしょう。
留学をする
先述したことと被るところもありますが、海外就職を検討している人は在学中に海外留学を経験できるとよいでしょう。
まず語学を磨くのにおすすめです。大学の授業も外国語で実施されるうえ、日常も外国語に囲まれた環境で生活できるので、日常会話レベルやリスニング能力を効率よく向上できます。
異国の文化や価値観に実際に触れながら生活できるため、海外就職(生活)が自分に本当に合っているかどうかも検討できるでしょう。
さらに、海外の大学に通っている間学生向けのインターシップや志望している企業のアルバイトをすることもできれば、就職活動に活かせる人脈を築けたり、海外就活を有利に進めることができるようになるかもしれません。
企業研究に取り組む
海外就職においても日本の就職活動同様、志望する業界や企業を絞り、企業研究に取り組むことが重要です。
企業研究をすることで志望している企業がどのような人材を欲しているか、自分のスキルや経験をどのようにして活かせるか、そもそも在学中にどのようなスキルや経験を積んでいかないといけないかを明確にできます。
とくに海外企業は採用するにあたって、その人が企業にどのようにメリットをもたらしてくれるかをよりシビアにみられます。
効果的に自己をアピールできるためにも、企業研究にしっかりと取り組みましょう。
求人情報を常に確認する
求人情報は常に変化するので、早いうちからこまめに確認するクセをつけておきましょう。
卒業が近づいてきてから求人情報を確認しているようでは、準備が不足し遅いかもしれません。
一般的に海外企業は基本的に通年で採用活動を実施しているため、日本の企業のように新卒採用シーズンがないことには注意が必要です。
また、海外企業はインターンシップ経験を重要視している傾向が強いので、求人情報とともにインターンシップ募集情報にも目を通しておくことをおすすめします。志望している企業と同業界のインターンシップ経験であれば、より有効なアピールとなるでしょう。
参考:新卒での海外就活を実現させよう! 国別の違いと就活サイトも紹介 | キャリアパーク就職エージェント (careerpark-agent.jp)
まとめ
本記事では、新卒で海外就職したい人は知っておきたいことについて解説しました。
海外企業は、新卒一斉採用のような日本の採用文化がなく、日本の就職市場のように新卒のカードが優位に働くことは一般的ではない点に注意が必要です。
海外の企業が評価してくれるような実力をつけるべく、早め早めに準備していきましょう。
新卒で海外就職しなくとも、一旦国内の企業に勤めて実績や能力を獲得してから、海外就職にチャレンジすることもできます。
新卒での海外就職を考えている人は、本記事の情報をもとに計画を組み立ててみてください。
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