
大学について調べ物をしていると「Fラン大学」という言葉を目にしたことがあるかもしれません
「どうやら良い意味では使われていない」ということはわかりつつも、具体的にはどのような意味を持っているのか、わからない方も多いでしょう。
一般的に「Fラン大学」という言葉は、偏差値が「ボーダーフリー」である大学(後述しています)のことを指しますが、実際には偏差値関係なく、蔑称として使われていることもあります。
この記事では、Fラン大学について、その概要や通うメリット・デメリットについて紹介します。
Fラン大学とは?

インターネット上を中心に使われている「Fランク大学」という言葉ですが、実は明確な定義はされていません。
一般的にFランク大学とは「合格ラインが判定不能(=ボーダーフリー)」である大学のことを指して使われています。
合格ラインが判定不能とは、募集人数に対して受験者や不合格者が、極度に少ないことを表しています。
受験した人のほとんどが合格できるため「どのラインを越えれば合格できるのか」が設定できないのです。
河合塾では、偏差値が35未満の大学のことを、ボーダーフリーの大学としています。河合塾が運営している「kei-net」にて、偏差値の欄に「BF」と記載されている大学が、いわゆるFランク大学であるといえるでしょう。
参考:偏差値とは何?偏差値の意味と求め方・計算方法をわかりやすく解説!
参考:増加する「Fランク大学」、“ボーダーフリー”時代の大学の選び方
また、偏差値については「大学の偏差値50ってどのくらい?偏差値の仕組みを紹介」という記事でも紹介しているので、偏差値について詳しくは知らないという方はチェックしてみてください。
Fランク大学の特徴

ここでは、Fランク大学の特徴について紹介します。
偏差値が35未満のボーダーフリーの大学や、それに近い大学に進学を検討している方は、必ずチェックしておきましょう。
入学難易度が低い
Fラン大学の特徴の一つは、入学の難易度が低い点です。上記の通り、Fラン大学の偏差値は35未満と低く、募集人数に対する受験者や不合格者がとても少ないため、学力に自信がない学生でも合格しやすい傾向にあります。
例えば、河合塾の偏差値表にて「BF」との記載がある敬愛大学の国際学部の2024年度一般入試は、倍率が1.0倍であり、不合格者が1人もいないことがわかります。
参考:敬愛大学 旺文社パスナビ
同様に、育英館大学の情報メディア学部の2024年度一般入試も、倍率が1.0倍であり、不合格者が1人もいません。
このように、Fランク大学は不合格者が1人も出ないことがよくあるため、入学難易度が低いといわれているのです。
学生の学力・学習意欲が低い傾向にある
Fランク大学に在籍している学生は、学力や学習意欲が低い傾向にあります。
学力が高くて学習意欲の高い学生は、よりレベルの高い教育を受けられる偏差値の高い大学に進学するためです。
実際にFランク大学を卒業している方が執筆している記事「就職できない?意味ない?Fラン大学の実態について詳しく解説!」でも、同様のことが書かれています。
同記事によると、Fランク大学の学生の学力や学習意欲について、以下のようなことが紹介されています。
- Fラン大学生の学力が低いという噂は事実
- 中学生レベルの知識がない学生もいる
- 配られたプリントの漢字が読めない学生がいた
- サークルやバイトに熱中して単位を落とす
- 教授からの授業連絡をブロックしている
参考:就職できない?意味ない?Fラン大学の実態について詳しく解説!
もちろん、全ての学生が上記に該当するわけではありませんが、偏差値の高い大学に比べてそのような学生が多いのは、事実のようです。
就職活動に苦戦する傾向にある
Fランク大学の学生は、就職活動に苦戦する傾向にあります。
特に一部の大企業では「学歴フィルター」と呼ばれるボーダーラインを設けていることがあり、一定レベル以下の大学の学生はエントリーシートの時点で不採用にしていることがあるといわれています。
これは企業側が正式に発表している事実ではないため、あくまでも噂程度の話ですが、事実としてFランク大学の学生は就職活動に苦戦する傾向にあります。
上記の通り、Fランク大学の学生は学習意欲が低めであることが多く、就職活動に関する情報収集や自己分析、業界研究などの意欲も低いことが多いようです。
また、学力も低い傾向にあるため、エントリーシートは問題なかったとしても、筆記試験や適性検査などで不採用にされてしまうことも多いようです。
しかしそれは、Fランク大学の学生だったとしても、高い意欲を持って就職活動に臨み、必要とされる学力や能力を身に付ければ、希望する企業に就職できる可能性があるということでもあります。
そのため「Fランク大学=就職できない」というわけではありません。
Fランク大学進学のメリット

ここでは、Fランク大学に進学するメリットを紹介します。
早慶やGMARCHのような、レベルの高い大学に進学するのとは異なったメリットがあるので、必ずチェックしておきましょう。
大学の入学・卒業が比較的簡単
Fランク大学は、一般的に他の大学と比較して入学難易度が低いとされています。詳しい理由については、上記で紹介している通りです。
入学が比較的容易であるということは、大学進学へのハードルが低いことを意味します。
高校時代に学業に集中できなかった人や、他の活動に力を入れていた人にとって、Fラン大学は進学への道を開いてくれる貴重な選択肢となります。
大学進学をあきらめかけていた人でも、Fラン大学を視野に入れることで、大卒の資格を手に入れたり、大学4年間を有効活用できたりする機会を手に入れられるということです。
さらに、Fラン大学は入学だけではなく卒業も比較的容易な傾向があります。
入学しやすい分、学生の学力が早慶やGMARCH、日東駒専などの大学と比較すると低い傾向にあるため、授業のレベルも低い傾向にあるといわれています。
特に英語の授業は、実際にFラン大学での指導経験がある森田鉄也先生も「基本は中1の英文法までです。中2になったらわからない。」と話しています。
そのため、学習意欲を失わずに授業に取り組めば、卒業に必要な単位を獲得でき、比較的簡単に卒業できるでしょう。
簡単に大卒の資格を手に入れられるのは、大きなメリットです。
企業によっては採用条件に「大卒」を設定しているところも多く、これはFラン大学ももちろん含まれています。Fラン大学であっても大学に進学することで、キャリアの幅が少なからず広がるかもしれないのです。
「高卒かFランか」という議論はありますが、筆者はこのような観点から、Fランでも大学に進学するべきではないかと考えています。
特待生制度・奨学金が給付されやすい
Fラン大学では、特待生制度の適用や、給付型の奨学金をもらいやすいというメリットがあります。
多くの大学では、成績優秀者に対して特待生制度の適用や、奨学金を給付しています。
例えば、敬愛大学では入学試験の成績が優秀な学生に対しては、入学金免除と2年間の学費半額減免がされています。
また、甲子園大学の栄養学部・心理学部では、進級時に学業成績などによって行われる審査に通れば、第一種(授業料全額相当)・第二種(授業料半額相当)の奨学金が給付されています。
参考:甲子園大学 入学金・学費
このような特待生制度や奨学金制度は、Fラン大学に限らずどの大学でも設けられています。
しかし、Fラン大学は学生の学力や授業のレベルが低い傾向にあることから、入試や授業で高い成績を取りやすく、特待生や給付型奨学金の条件を満たしやすいです。
そのため、特待生制度や給付型奨学金を適用して、学費の負担を減らすことを優先している方は、Fラン大学への進学も視野に入れてみることをおすすめします。
自分の時間を確保しやすい
Fラン大学では、学業以外に自分の時間を確保しやすいメリットがあります。
上記の通り、Fラン大学は、一般的に授業のレベルが低い傾向にあります。必修科目の内容も基礎的なものが多く、予習復習に多くの時間を割く必要がない場合もあります。
これは、裏を返せば、自分の時間を自由に使える時間が増えるということです。
大学生活は、学業だけでなく、サークル活動、アルバイト、趣味、旅行など、さまざまな経験ができる貴重な時間です。
Fラン大学では、学業の負担が比較的軽いため、これらの活動に多くの時間を費やすことができます。
自分の興味関心に従って、さまざまな活動に挑戦し、自分自身を成長させることで、将来のキャリアにつながる貴重な経験を積むことができるでしょう。
例えば、プログラミングやデザイン、語学学習など、将来役立つスキルを身につけるための時間を確保することができます。
資格取得の勉強に集中したり、インターンシップに参加したりするなど、キャリアアップに向けた活動にも積極的に取り組むことができるでしょう。
また、サークル活動やボランティア活動を通じて、人脈を広げ、社会貢献活動に参加することも可能です。
自分の時間を有効活用することで、大学生活をより充実したものにできます。
自由な時間が増えるからといって、何もせずに過ごしてしまうのはもったいないです。
貴重な大学4年間をどのように使うかは自分次第です。目的意識を持って大学生活を送ることで、将来の可能性を広げられるようになります。
Fランク大学進学のデメリット

次に、Fラン大学に進学するデメリットを紹介します。
周りの学生に流されてしまう可能性がある
Fラン大学の学生は、学習意欲が低い傾向にあるため、英語やその他の資格学習、就職活動に対しても意欲が低い傾向にあります。
仮に自分が「英語の勉強や就職活動も頑張るぞ!」と意気込んでいたとしても、周りにそのような学生が多いと、流されてしまう可能性が高まります。
『「超」入門 空気の研究』の著者である鈴木博毅さんは「『自分の見方』はやがて乗っ取られる」と述べています。
これは、自分の考えが所属している集団の大多数の考えに流されてしまうことを表しており、これはFラン大学においても同じだと考えられます。
そのため、強い意欲を持ってFラン大学に入学したとしても、周りの意欲が低めの考え方に染まってしまい、最終的に意欲がなくなってしまう危険性もあります。
もちろん、強い意欲を持っている学生全員が周りに流されてしまうわけではありませんが、その可能性があることには注意しなければなりません。
あまり良くないイメージを抱いている人もいる
一般的に「高学歴」とされている早慶やGMARCH、日東駒専とは異なり、Fラン大学は「あまり頭が良くない」というイメージを抱かれていることが多いです。
そのため、Fラン大学を卒業していると聞いた人の中には「あまり勉強を頑張ってこなかったんだな」「もしかしたら全然頭良くないのかな」と思っている人がいる可能性があります。
もちろん、Fラン大学に進学している人の全てが頭が良くないわけではありません。
どうしても特待生や奨学金制度を活用して学費を安く済ませたかった人、家庭の事情で家の近くの大学でないと進学できなかった人など、事情はさまざまです。
しかし、事実としてFラン大学に対して良い印象を抱いていない人がいるのも事実です。
筆者が勤務している個別指導塾でも、保護者の方から「Fランみたいな頭の悪い大学には進学しないで欲しい」などのお話を良く聞きます。
もちろん、自分が進学したFラン大学について周りにどんな印象を持たれても、それをどう捉えるかは自分次第です。
「周りにどう思われるかなんて全然気にしない」と思えば、実際にどう思われていたとしても、デメリットとして気にならないでしょう。
学生の数が少ない
Fラン大学は、他の大学と比較して学生数が少ないというデメリットがあります。
実際に、早稲田大学・立教大学・東洋大学と、敬愛大学・甲子園大学・八戸学院大学の学生数を比較してみると、以下の通りです。
大学名 | 学生数 |
---|---|
早稲田大学 | 38,987人(参考:早稲田大学 2024年度学部学生数) |
立教大学 | 19,621人(参考:立教大学 2024年度[学部学生]在籍者数) |
東洋大学 | 30,810人(参考:東洋大学 基礎データ) |
敬愛大学 | 約1,698人*(参考:敬愛大学 教育情報の公開) |
甲子園大学 | 340人(参考:甲子園大学 大学ポートレート) |
八戸学院大学 | 945人(参考:八戸学院大学 教育情報の公開) |
*全学生数の学生数の公開がなかったため、令和3〜6年度の入学者数より推測。
学生数が少ないと、部活やサークルの数が少なかったり、数があったとしてもその規模が小さい傾向にあります。
株式会社ペンマークが29,749人を対象に行ったアンケートによると、サークルや部活の加入率は63.9%とされています。
それを考慮すると、早稲田大学は約25,000人、東洋大学は約20,000人がサークルや部活に在籍している一方で、敬愛大学は約1,000人、甲子園大学は約210であると推測できます。
そのため、Fラン大学の方が、サークルや部活の規模が小さい傾向にあり、人によっては満足のいく活動ができないかもしれないといえるでしょう。
参考:【Z世代3万人調査】部活・サークルに所属していない学生は約3分の1、コロナ禍から5.6%回復
結局は自分次第

ここまで、Fラン大学について「Fラン大学生は就職活動で苦戦する傾向にある」「あまり良くないイメージを抱いている人がいる」など、デメリットについても触れました。
しかし、Fラン大学に進学するかどうかや、Fラン大学に進学してからどのようなキャリアを歩めるかは、全て自分次第です。
Fラン大学に進学しても、周りの環境に流されることなく勉強や就職活動に力を入れれば、早慶やGMARCHなどのいわゆる高学歴とされている大学に進学した学生よりも、有意義な学生生活を送れるかもしれません。
そのうえで「自分はどんな大学に進学するのが良いんだろう?」と志望校選びに迷っている方は、志望校選びについて解説しているこちらの記事を、ぜひチェックしましょう。
まとめ
この記事では、Fラン大学について詳しく紹介しました。
Fラン大学には、デメリットや悪い面が注目されがちですが、入学・卒業の難易度の低さや特待生・給付型奨学金の利用のしやすさなど、魅力もあります。
一般的には、Fラン大学に対して良いイメージを抱いていない人もいます。
しかし、Fラン大学に進学・卒業したからといって、その後の人生が決まるわけではありません。
今回の記事の内容を参考に、自分にとっての理想的な志望校選びを実現させ、自分の選択を正解にしていくよう邁進していきましょう。
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