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Re受験生の志望校の決め方

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ゴール設定の重要性

「志望校をどこにしようか?」

多くの人が悩むポイントかと思います。

なかなか決められないまま、月日が流れてしまい、受験も間近に迫ってくるなんてこともあるでしょう。

「Re受験は1回しかしない。今年は失敗できない。」

という状況のRe受験生も多いことでしょうし、そうした人にとっては、

「現役のときよりも志望校のレベルをあげてもいいのかな?」

などという疑問も湧いてくるかもしれません。

このページでは、Re受験生の志望校選びにおけるいくつかのポイントを紹介しますが、

「志望校を決める」ということは、「ゴールを決める」ということです。

したがって、

「ゴールを決めるとどんないいことがあるの?」

という、そもそもの本質的なところから見ていきたいと思います。

「とりあえず行きたい大学もないし、志望校はまだ決めないで勉強を続けよう。」

と考えている人もいるでしょう。

しかし、「とりあえずでもいいから志望校を決める」ということは、重要なのです。

すなわち、「ゴールを設定する」ということが重要なのです。

Re受験に挑む皆さんにとっての目下のゴールは、志望大学に合格することだと思いますが、「ゴール設定」という行為は今後の人生でも必ず活きてきますので、「人生に活かす」という視点でもこのページの内容をおさえていただければ幸いです。

必要な情報や知識が入ってくる

Re受験生の皆さんが志望校について考える際、現状の学力や、過去の成績を参考にして、

「今偏差値55くらいだから、それでいける大学はどこかな?」

と考えたりしていませんでしょうか。そういった志望校の決め方も、否定しません。

しかし、人生においてもいえる、大切なことを一つお伝えします。それは、

「未来は、過去ー現在の延長線上にない。」

ということです。

現状や、過去に引っ張られて、未来の目標を決めることはもったいないことだと思います。

実際に、偏差値が低く難関大学への合格が難しいと判定されていた人であっても、努力のすえに偏差値を1年で急上昇させ、結果難関大学に合格したという話もあります。

この事例でいうと、「偏差値が低い」という“現状”から「難関大学に合格する」という“未来”は想像しにくいのではないでしょうか。

しかし、目指すべきゴールを打ち立ててそれに向かって努力すれば、未来がどうなるのかはわかりません

そして、いざゴールを設定すると、そのゴールを達成するために必要な情報や知識が入ってきやすくなります

少々詳しく言い換えると、ゴールを設定することで、脳が「このゴールを達成するために関連する情報は、必要なものなんだ」と認識してくれ、結果的にゴール達成に必要な情報を得やすくなります。

これは、「認知科学」という脳のメカニズムを研究するような学問があるのですが、その分野でもいわれていることです。

「脳は、『自分にとって重要だ』と思っている情報しか集めにくい」

このことは、言われるまで気づかないかもしれませんが、これまでの人生で体感したことがある人も多いはずです。

例えばこんな感じです。

あなたはバスケ部に所属し、バスケが大好きだとします。

ある日、卓球部に所属している卓球好きの友人と一緒に、街中をあるいていました。

その時、バスケットボールの専門店を通り過ぎたときに、あなたはこのショップの存在に気づきましたが、友人は気づきませんでした。

逆に、卓球の大会のポスターが駅に掲載されていましたが、友人はそれに気づいたけど、あなたは気づかずに素通りしました。

それはなぜか、脳のメカニズム的に説明すると、その友人はバスケットボールに興味がなく、脳はバスケットボールに関する情報を重要と認識していないため、視界にバスケットボールのお店が入ったとしても、必要な情報として処理していないのです。

一方、あなたの脳は卓球に関する情報を重要だと思っていないため、視界には卓球大会のポスターが入っているのに、必要な情報として処理されず、情報としてなかったものだとされているのです。

このメカニズムを実感できる簡単な実験があります。

今、自分のスマートフォンを開いて、何個のアプリケーションをダウンロードしているか数えてみてください。

数えたら、スマートフォンを閉じてください。

それでは、質問です。

「現在は何時何分でしょうか?」

多くの人が、この質問に答えられません。機種や設定の仕方で異なることはあるかもしれませんが、一般的には、時間はスマホのどこかに表示されており、視界には入っていたはずです。しかし、何時何分か答えることができません。

それはなぜかというと、脳にとっては「何個のアプリケーションをダウンロードしているか」という問いに関する情報が重要であったのであり、それ以外の情報は重要でないと判断するため、収集しないからです。

ちなみにですが、この「脳が重要でないと判断した情報を排除する」機能を、RAS(ラス、reticular activating system)といいます。

また、こんなことも経験したことがないでしょうか。

ある何か(洋服でも本でもゲームでも何でも)が欲しいと思った途端、電車の中づり広告でも、テレビでも、街中で誰かが話している会話のなかからでも、インターネット上からでも、それに関する情報を見かけたり聞いたりと、入手するのです。

これも全く同じ脳のメカニズムで、「○○が欲しい!」というある種のゴールができた途端、脳はそれに関する情報を重要と認識し、その情報に気づきやすくするのです。

だから「ゴールを設定する」、すなわち「志望校を決める」ことで、その志望校に合格できるための情報を、脳が重要なものだと認識し、必要な情報や知識が入手しやすくなるのです。

志望校を決めると、ただ必要な情報が入手しやすいだけでなく、勉強効率も上がるといえます。それも同じ脳のメカニズムから説明できます。

「とりあえず勉強しよう」という状態では、その勉強内容が脳にとって重要だと認識されていないところを、志望校が決められれば、「この勉強内容は志望校に合格するために必要なんだ」と、脳が「この内容は重要だ」と認識するため、脳に学習内容が定着しやすくなるのです。

必要な情報や知識が入ってくる

最低限達成したいゴールを達成しやすくなる

もし、より学力レベルの高い志望校を目指すとしたら、最低限通いたい大学に合格しやすくなります

具体例としては、

「最低限MARCHレベルの大学に行きたい。だから、東京大学を目指す。」

という具合です。

そうすることで、東京大学を目指して勉強しながら、受験直前で「学力が足りない」となったとしても、「最低限行きたかったMARCHレベルに入れる学力は十分ある」という状況に持ち込みやすくなるのです。

ビジネス領域の話ですが、世界的大企業のコンサルティング(コンサルティングとは、企業の意思決定や、戦略策定をサポートする仕事)を手がけるアメリカ人のHoward Goldman(ハーワード・ゴールドマン)氏が開発した、大きな成果を上げることのできる会議手法があります。そこでも「はるか遠いゴールを設定する」ことが重視されています。

志望校選定だけでなく、例えば、共通テストで600点最低でも必要なところを、「800点を目指す」というゴールをあえて設定することもできます。

少々分かりづらい表現ですが、「『ゴール設定』は『別のあるゴール』を達成しやすくする手段」にもなるのです。

モチベーションが生まれる

ゴール設定のメリットとしてよくいわれることですが、志望校を決めるとモチベーションにつながります。

目的や、やる意味がわからないと、やる気にならないですよね?

また、

「志望校を決めなかったとしても、『どこかの大学に合格する』という目的じゃだめなの?」

という疑問も生じるかもしれませんが、どこか特定の志望校を定めて、よりゴールを具体的にした方がよいのです。

「ゴールはより具体的で明確なものの方がよいということ」は、アメリカの心理学者であるEdwin Locke(エドウィン・ロック)氏が提唱した、「目標設定理論」という理論でもいわれています。

また、よりモチベーションがあがるゴール設定のコツとして、「そのゴールが達成されていたら、自分はどんな生活をできているか」まで想像するとよいです。

例えば、

「東京大学に合格したら、興味のある『映画を分析する授業』を受けて、授業の合間には渋谷に行って遊んで、休みの日は東京観光して~~~」

という具合に、ゴールが達成されたときに自分が過ごしているであろう生活も想像するのです。先ほど述べた「はるか遠くのゴールを設定する」というのと共通するところもあります。

モチベーションがより出やすくなるように、自分がワクワクするようなゴールをつくりあげていきましょう

特にRe受験生、受験生は、志望校をなるべく早く決めた方がよい

ただし、「“とりあえずでもいいから”志望校を決める」とは言いましたが、志望校に関してはなるべく早く決めた方がよいというのが事実です。それは、大学によって出題される問題の傾向が大きく異なるからです。

例えば、東京大学を目指すなら、東京大学の試験に特化して対策しなくてはなりません。慶応義塾大学を目指すなら、慶応義塾大学の試験に特化して対策しなくてはなりません。

一般的なゴール設定の重要性も理解しつつ、「大学によって入試問題の形式が違う」という受験生特有の問題があるので、なるべく早くゴールを設定する(=志望校を決定する)ように努めましょう。

特にRe受験生、受験生は、志望校をなるべく早く決めた方がよい

志望校を決める際に考える
ポイント

「志望校を決める」必要性、ひいては、ゴール設定の必要性についてみてきました。

それでは、どのように考えて志望校を決めていけばよいのか、そのポイントを紹介します。

「自分が将来何をしたいか?」「人生で何をしたいか?」を考える

必ずと言ってもよいほどですが、まずは、

「自分が将来何をしたいか?」

「人生で何をしたいか?」

ということを考えましょう!

すぐには答えが出ないかもしれませんが、まず考えてみることが大事です。

こう考えてみて、「自分はこれがやりたい!」というのが明確にあるのでしたら、その未来が実現できる大学・学部を志望しましょう。

また、将来の展望がまだ見えなかったとしても、興味や好奇心がそそられる分野があれば、それらを探究できる、深く勉強できる大学・学部を志望してよいでしょう。

とりあえずレベルの高い大学を目指す

意外に思われるかもしれませんが、「とりあえずレベルの高い大学を目指す」というのもありです。

一つには、すでに述べたように、より大きなゴールを設定することのメリットが得られるからです。

しかし、別の理由もあります。

先ほど、「自分が将来何をしたいか?」「人生で何をしたいか?」考えてみるように言いましたが、

「そんなの言われたってわからない!」

「見つからないよ。。」

という人も多いと思います。

当然のことです。

皆さんがこれまで得てきた経験には限界があると思います。例えば人によっては、海外に出たこともなければ、地元を出たことがない人もいます。一般的には、社会人経験もありません。

学校の先生や、自分の家族に相談してみて、多少価値観が広がったり、視野が広がったりすることもあるかもしれませんが、非常に限定的です。

そうしたなかで、「自分のやりたいことは何なの?」とか、「何が勉強したいの?」と言われても、

「知らねえよ」

と思うでしょうし、さらに大学に入る前の出願の段階で、学部を決めさせられるところが多いのです。

なかには、東京大学が代表例ですが、入学後に専攻を決められる大学が少なからずありますので、そうした大学を志望するのもよいと思います。

また、レベルの高い大学に行くことができれば、興味深い内容の授業も豊富ですし、図書館や、最新鋭の機械を導入した研究室など、大学の設備も充実しており、これも自分の人生の可能性を広げてくれる要因になるでしょう。

学歴が就活に影響することも事実です。大学入学後入りたい企業がいざ見つかったときに、学歴が理由で入れないこともありえます。もちろん、レベルの高い大学に入ったところで、そうした企業に入れるかどうかは別問題ですが、就職に際してより多くの選択肢を持つことができるのです。

自分のやりたいことや、行きたい大学がはっきりとは見つかっていないのでしたら、とりあえずレベルの高い大学を目指し、その後自分の視野や価値観を広げながら、自分が送りたい人生を描いていくのもよいでしょう。

都市部の大学を目指す

先ほど述べたことと重なりますが、Re受験生、受験生の多くは、視野が限られた世界で生きてきたと思います。

そこで、大学生活中にさまざまな経験をし、そして多種多様な人々に出会うべきです。そうすれば自分の世界観も広がりますし、価値観も柔軟になります。

そして、そうした機会が多いのは、必然と東京や大阪などの都市部になります。

都市部にある大学に通うと、授業の合間や大学終わり、休日などに展覧会や社会人交流会、セミナーなど、社会で開かれるいろいろなイベントに参加することもできます。

「アルバイトやインターンシップをして働いてみたい!」と思ったら、都市部にはたくさんの企業が集まっているので、それだけ機会も豊富です。

大学に入れば、その次は社会に出ていくことになり、人生は先へと続いていくので、それに活かせる経験や出会いは財産になります。

志望校を考える際には、大学の立地も検討にいれてみてください。

都市部の大学を目指す

志望校を決める際の注意点

これまで、志望校を決める際のポイントを見てきました。合わせて、志望校を決める際に注意する点、検討すべきポイントを紹介します。

入試科目が増える可能性がある

志望校によっては、現役のときよりも入試科目が増える可能性があります。

例えばですが、「現役時は私立大学を志望していたけど、Re受験では国公立大学を志望する」というような場合では起こりえます。

「入試科目が増えるような大学を志望校にするべきではない!」ということではありません。

行きたい大学が見つかったのであれば、入試科目が増えようが増えまいが、「どうすれば合格できるか」をまずは考えてほしいです。

一方、入試科目が増えるというのは、結構な負担になりえるので、その点は考慮してください。

Re受験を機に、文転・理転を考える人もいるかもしれませんが、同じく入試科目が変更になるので、ハードルはあります。特に、理転を考えると、不可能ではないと思いますが、新たに勉強すべき分量も多く、簡単ではないです。

もし入試科目が増える場合は、どうすれば乗り越えられるか前向きに考える一方、目的によっては他の大学も志望校としてあるかもしれませんので、両面から考えてみてください。

文転・理転も、簡単ではないですが、すると決めたら、覚悟して挑んでください!

今の偏差値は参考にすぎない

今の偏差値、学力をもとに志望校を決めることはおすすめしません。

これもすでに述べたことですが、努力や新しく得た知識次第では、未来に学力が急上昇することはありえます。

現状から志望校を決めるべきではないですし、今後の人生においても、現状から将来を決め切ってしまう考え方を絶対にしてほしくありません

ただし、受験がいよいよ近づいてきて、それでも成績が振るわず、そこから成績を上げて合格できる“How”も思いつかないようでしたら、現状の学力から志望校を決めてよいと思います。

その場合は、大学に行ってから、人生が豊かなものになるように、生きていきましょう!

オープンキャンパスで判断しない

オープンキャンパスに行って志望校を決めるという人も、いるのではないでしょうか。

「絶対ダメ!」と否定することはしませんが、オープンキャンパスで得られる情報は、全てではありません。

何も大学生の生活とは、大学の講義や施設などの内容で決まるわけではありません。そこで出会う新しい友人たちとの交流、大学外で得られる経験、挙げだしたらきりがないのですが、そうしたたくさんのことが絡み合って、充実した大学生活が形成されていきます

もちろん、オープンキャンパスに行くからこそ得られるような、貴重な情報もあるでしょうし、自分のモチベーションを高めるためにオープンキャンパスに行くことは大賛成です。

ただし、オープンキャンパスだけで志望校を決めるのは、微妙かもしれません。

まとめ

以上、Re受験生の志望校の決め方を見てきました。

繰り返しですが、「志望校を決める」というのは、見方を変えれば「ゴールを設定する」ことです。

そしてこの「ゴール設定」の技術は、人生のさまざまな場面で活かすことができます

ぜひ、そうした長期的な視点ももって、志望校を決めてください。

志望校を決めるのは、迷うと思いますし、簡単なことではないでしょう。

最後は、『Re受験バイブル』の「Re受験に必要なマインドセット」のページでも紹介している、「選んだ道を正解にする」という考え方で、覚悟を決めて進んで行ってほしいと思います。

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