
大学に入った新入生がまず行うことのひとつに「履修登録」があります。
この記事では、そんな履修登録についての説明とコツ、履修登録のよくある方法やおすすめといった定石に加え、履修登録におけるよくある質問について紹介します。
この記事を読んで、満足のいく履修登録を実現しましょう。
履修登録とは?

履修登録とは、大学で授業を受けるために、各自が受講する授業を決定し、所定の方法で大学へ登録する手続きのことです。
大学は高校とは異なり、決められたカリキュラムがなく、自分で受講する科目を選ぶことができます。そのため、自分の興味や将来の進路に合わせて科目を選ぶことが重要です。
しかし、誤った履修をすると進学要件や卒業要件を満たせなくなるようなこともあるため、慎重に選ぶ必要があります。
履修登録のコツ!

履修登録では、大前提として自身の興味がある科目や、進級・卒業に必要な単位が取れる科目を選択します。
しかし、興味のある科目だけを取得したり、進級や卒業に必要な単位取得可能な科目だけを選択するだけでは、受ける科目が偏ってしまったり、科目数の過多といった事態を引き起こしてしまいます。
受ける科目が偏ってしまうと、幅広い学問を学べる機会を逸して、価値観も広がらないことになってしまいかねませんし、また科目数が過多であれば、どの内容も中途半端な学習で終わり活かせないことになってしまうかもしれません。
ここからは、そんな履修登録をうまく行うコツをいくつか紹介します。
進級・卒業要件を把握する
高校まで意識することはほぼないかもしれませんが、自分が所属する学部・学科の進級・卒業要件をしっかりと把握しましょう。
大学においては進級・卒業するために必要な単位数が定められており、必要な単位数が取得できないと、進級・卒業ができません。単位が不足してしまうと、いわゆる留年をしてしまいます。
必要な単位数は進級・卒業要件というかたちで確認することができるため、履修登録の際は必ず目を通しておく必要があるので注意してください。
また、「必修科目」「選択科目」の確認も重要です。
必修科目とは、進級・卒業のために取得が必須になっている科目のことです。この科目が取得できていないと、必要単位数を満たしていても進級・卒業ができません。そのため、履修登録の際は必ず確認しましょう。
在学中に履修すればよい科目であっても、大学では3年次以降はゼミへ加入することが多いため授業が多忙になりがちで、また就職活動や卒業論文の執筆などにも時間が取られてしまうことから、比較的時間の余裕がある1・2年の間に取得しておくのが良かったりします。このように、長期的・全体的に考えた履修をすることも大切になります。
選択科目とは、自由に取得ができる科目のことです。取得が必要な単位数こそ決められているものの、どれを受ける・受けないは個人の自由となっています。そのため、例えば友人と同じ科目を受けたり、自分の興味分野を扱う科目を中心に受けるといった柔軟な選択が可能になっています。
卒業に必要な単位数や必修科目、選択科目などの情報の確認は非常に大事です。これらをせずに履修登録をしようとすると、単位数不足や必修科目の取得漏れなどといった問題につながり、卒業ができない可能性もあります。
そのため、卒業要件をきちんと把握しておくことが大事になるのです。
参考:履修登録とは?必要な手続きや、理想的な授業の選び方 – HATARACTION!
参考:【大学単位】必修と選択科目とは?どちらを落とすとヤバイ? | 大学生のための塾
シラバスを確認する
シラバスの確認をすることも、履修登録のコツの1つです。
シラバスとは、各科目の内容や進行計画が記載された資料です。シラバスを確認することで、授業の内容や目的、年間のスケジュール、授業の形式やコマ数、履修後取得できる単位数などを把握できます。
また、シラバスを見ることで成績の評価方法(試験やレポートの有無、単位取得の際の重視点など)を確認することができます。科目によっては、出席が最重視される場合もあれば、試験やレポートの内容が最重視される場合もあるため、履修登録の際に情報を調べておく必要があります。
なお、シラバスは大学入学後に冊子で配布されることがありますが、最近ではホームページ上で公開し、学生に各自で見てもらう形式にしている大学もあります。
科目を選ぶ際には、シラバスを念入りにチェックして選ぶのが良いでしょう。
参考:履修・シラバス・フル単とは? 大学生のための<大学用語>12選
先輩や口コミから情報を集める
先輩や口コミから情報を集めるのも、履修登録のコツです。
卒業要件の確認やシラバスのチェックをすることで、自身が取得すべき単位や科目の確認はある程度可能です。しかし、実際に履修登録をし授業を受けてみると、想像していた内容と異なる授業が行われている場合もあり、こんなはずでは…と後悔させられることがあります。そんなニアミスを少しでも減らすため、同じ学部の先輩に相談するというのは有効な方法です。
また、シラバスには授業内容は明記されていても、「授業の難易度」までは明記されていません。一方で、すでに授業を受けたことのある先輩であれば、どの科目が簡単でどの科目が難しいといった情報を得ています。さらに、以前受けた試験の過去問題や過去のレポートを保有している場合もあるため、もし相談できれば、単位取得において心強い味方になるはずです。
サークルやゼミ等で知り合った先輩がいるのであれば、履修登録について積極的に相談してみるとよいでしょう。
また、大学内での口コミも貴重な情報源です。口コミでの情報はシラバスに記載されている情報よりもリアルタイム度が高く、また実際に授業を受けた学生目線で語られていることから、より参考になる情報が多いです。
口コミに関しては「みんなの学校情報」や「スタディサプリ」「マナビジョン」などのWebサイトでも記載されていることがあり、口コミサイトにアクセスすれば誰でも見られるようになっていることが多いので、履修登録に関して相談できる相手がいない、もしくは少なかったりする場合は、このような口コミサイトの利用も検討してみましょう。
また、例えば東京大学では「逆評定」と呼ばれるものが存在します。
これは東大内のサークルが学生アンケートをもとに授業、そして教員の評価を定めた大学非公式の読み物のことで、学内で学期初めに売り出されます。
これを購入することで、新入生をはじめとした学生はリアルな授業評価を確認することができ、履修登録に役立てることができます。
それぞれの大学にも似たようなものが存在するかもしれませんので、情報を集めてみましょう。
参考:みんなの学校情報|大学~幼稚園まであらゆる学校の情報(口コミ・偏差値など)が満載! (minkou.jp)
参考:桜美林大学/在校生のキャンパスライフレポート一覧【スタディサプリ 進路】
参考:マナビジョン|Benesseの大学・短期大学・専門学校の受験、進学情報
自分の将来や送りたい大学生活を想定したうえで必要な科目を考える
自分の将来を考えたり、どのような大学生活を送りたいのかを考たうえで、そのために役立つスキルや知識が身につく科目を選ぶことも重要です。
定められている単位数や必修科目を調べて選ぶことも大事ですが、それだけを気にして単位を取得してしまうと、学べるカリキュラムの幅が狭くなってしまい、幅広い学問を学べるという大学の利点を活かすことができません。
そのため、将来自分がなりたいものや、達成したい目標、叶えたい夢などを考えたうえで、そこに役に立つ科目を取得するといった行動が求められます。
例えば、大学生活中に留学をしたいと考えた場合、GPAと呼ばれる「各科目の成績をもとに計算された成績評価の数値」を高くする必要があります。そうなるとより点数が取れる科目(難易度が低め、自分の得意分野である、など)を重点的に選択する必要があるでしょう。
なお、GPAについては以下でも解説しています。
大学のGPAとは?何に使うの?就職への影響は?GPAの仕組みや必要な場面について解説!
また、学内よりも学外の活動を中心に大学生活を送りたいと考えた場合、大学での拘束時間がより短く、かつ拘束時間が短くても単位取得が可能な科目を重点的に選択する必要があります。
このように、自身がどのような将来を想定しているか、またどのような大学生活を送りたいかを考え、そこに向けた履修登録が必要となるのです。
参考:海外の大学に留学する際に必要なGPAとは?計算方法や目安について
バランスを考えた時間割作り
履修登録では、科目を選ぶ際に全体のバランスも考慮する必要があります。
例えば、1日のうちにあまりに多くの科目を取得しようとすると、忙しさのあまり授業への継続参加が難しくなり、結果として単位が取得できなくなるリスクが発生してしまいます。また、あまりの忙しさから疲労が溜まり、授業に集中できなくなることで、せっかく授業を受けているのに内容が頭に入ってこないなど、授業の理解度が低下する恐れも出てきます。
一方で、空き時間が多すぎると、まとまった時間をつくれずスケジュールを組む際に制限が出てくる場合があります。授業がまとまっていると、学外での予定(バイトや遊び)が組みやすいですが、空き時間の多さが予定を組みづらくさせてしまい有意義な時間をつくり出しにくいことになったりもします。
バランスの良い時間割を作ることが、大学生活を充実させる鍵になるのです。
履修登録の定石

ここまで、履修登録のコツと題して、いくつかの内容をお伝えしてきました。
ここからは、履修登録におけるよくある方法やおすすめの取り方といった、履修登録の定石についていくつか紹介します。
1・2年次は上限まで履修登録をする
1・2年次は、可能な限り多くの履修登録をしておいて、実際に授業を受けたうえで単位取得に向け学習する・切り捨てるを判断するとよいでしょう。
大学生活を送っていると、一般的に3年次以降はゼミや研究室での授業が発生するため多忙になりがちで、さらに就職活動や卒業論文の執筆などで単位を取る時間が確保しづらくなります。
そのため、3年次時点で取得に必要な単位数が多く残っていると、忙しさにより単位取得が難しくなる場合があります。そのため、比較的時間に余裕のある1・2年次に上限まで単位を取っておくことが推奨されるのです。
ただ、履修登録したものを切り捨てる場合、大学によってはGPAで低く評価されるリスクも存在する点は、GPAを活用することを考えている人にとっては注意が必要です。
例えば、つくば国際大学では聴講中止の手続きをとらずに一方的に履修を放棄したような場合、当該科目は「D」評価となり、GPAの著しい低下につながってしまいます。
自身の大学がどのような評価システムなのか、履修登録したものを切り捨てる際はどのような影響があるのか、履修解除の手続きは何かあるのか、手続き期限はあるのか、など確認しておく必要があるでしょう。
参考:情報公開「成績の評価と基準、GPA(Grade Point Average)制度」 | つくば国際大学 (ktt.ac.jp)
友達と同じ科目を履修する
友達と同じ科目を履修することもおすすめ方法の一つです。
友達と同じ科目を取ることで、例えば体調不良などで授業を休んでしまった際や、授業についていけていないときなどに授業の内容について教えてもらえたり、授業資料などの情報を受け取りそびれた場合は共有してもらえたりします。
また、レポート作成や、テスト対策などを一緒にできるので、単位取得のハードルが下がりやすいという利点もあります。
履修登録の際に科目選びに困った際は、友達と相談しつつ、可能であれば同じものを取得するとよいでしょう。
必修科目を優先的に履修する
履修登録の際、必修科目を優先的に履修するのもおすすめです。
必修科目を優先的に履修することで、進級・卒業ができないといった事態を回避しやすくなるため、年次が進むごとに履修登録の難易度が下げられます。
また、単位取得の際に発生する制限が少なくなることで、履修登録時に選べる授業の選択肢が広がり、より幅広い履修登録が可能になります。
履修登録をより楽にするため、必修科目の優先的な履修は理に適っているといえます。
よくある質問

ここまで、履修登録におけるコツやよくある方法について触れてきました。
最後に、履修登録に関するよくある疑問(質問)について、いくつか紹介していきます。
履修登録をわすれたら?
万が一履修登録を忘れてしまった場合、どうしたらよいのでしょうか。
履修登録には登録期間が設けられており、期間を過ぎると登録はできません。
ただ、大学によっては事情を説明すれば期間外の登録を認める場合もあります。
なので、もし履修登録を忘れてしまった場合は、まず学生課や教務課に相談しましょう。
留年者数が増えるほど、「この大学は留年者数が多い」という評判が広がり、入学者数が減る要素になり得るなど、大学側も留年は可能な限り避けたいと考えているはずです。なお、大学は真摯に理由を説明し、相談することができれば、何らかの処置を考慮してくれる場合がよくあります。
ただし、期間終了からしばらく何もしなかった場合は、どんなに相談しても処置をしてもらえない可能性が高まるので、履修登録忘れに気づいた場合は、なるべく早く相談してください。間違っても、気づいているのにそのまま放置するといったことはないようにしましょう。
参考:履修登録を忘れたらどうすれば良い?忘れたときの対処法と履修登録のコツをご紹介|キャリアに役立つ情報メディア|ユアターンPlus
履修登録の修正はできる?
履修登録が完了した後に、登録の誤りに気づくことがあります。
その場合、履修登録の修正はできるのでしょうか。
多くの大学では、履修登録後に修正期間が設けられているため、期間中であれば、履修する科目の追加や削除が可能になっています。
修正期間の詳細や手続き方法については、大学のガイドブックやウェブサイトにも記載されていることがあるので、まずは修正が可能かどうかを自身で確認しましょう。
また、ガイドブックやウェブサイトを見たけど分からない、もしくは変更不可になっている場合は、履修登録を忘れた際と同じく、学生課や教務課に相談してみましょう。分からない場合はその旨を相談すれば丁寧に教えてくれるでしょうし、万が一変更不可な科目がある場合は、何かできることがないかを検討してくれるはずです。
履修登録の修正については、まず自分で詳細を調べること。そして調べたうえで不明点がある、もしくは変更不可な場合は、遠慮せず大学側に相談するようにしましょう。
他学部の科目を履修できる?
大学によっては、他学部の科目を履修することが認められている場合があります。
他学部の科目を履修することで、幅広い知識を身につけることができ、アイデアが膨らんだり、自分の専門分野へも応用できる知識を得られたりするかもしれません。
今まで気付かなかった自分の興味関心があることにも出会えるかもしれません。
なお、他学部の科目を履修した場合、どのような単位としてカウントされるかは大学によって異なります。そのため、他学部の科目を履修することで得られる単位の詳細については、大学のガイドブックや、大学の学生課・教務課に確認するようにしましょう。
参考:履修・授業関連・その他科目履修について|学部基幹教育|学生向け情報
まとめ
履修登録は、大学生活において非常に重要な手続きです。高校までは学校や先生が決めた授業を受けるというのが一般的でしたが、大学では主にどんな授業を受けるかを学生自身が決めることになります。
また、必修科目や選択科目、必要な単位数など、履修登録をするにあたって考えるべきことは多く、特に初めての場合は戸惑うことも多いでしょう。
しかし、大学側が提供している情報やシラバス、また先輩からのアドバイスや、卒業生や同級生などが投稿する口コミといった情報を確認・入手することで、よりスムーズに充実した履修登録をすることが可能です。
この記事では、履修登録に関するいくつかのテクニックを紹介してきましたが、最も大事なことは「自分がやりたいことを尊重する」ことでもあります。
単位数や必修科目に惑わされすぎず、自分が本当に受けたい授業、聞きたい授業を選ぶこともまた、大学生活を有意義にするために大事なことです。
もし履修に迷うことがあれば、最後の判断基準を「自分がこの授業を受けたいか」にできるとよいでしょう。
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