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大学のGPAとは?何に使うの?就職への影響は?GPAの仕組みや必要な場面について解説!

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受験勉強を終えて希望の大学に無事進学できたならば、今度は大学における成績が気になりますよね。

近年は多くの大学が「GPA」という成績評価方式を採用しています。

高校までで採用されているものとは異なった評価方式なので、初めて目にしたときには戸惑う人も多いのではないのでしょうか。

実際に大学で講義を受けた後、各科目の成績に加えてGPAの記載された成績表を受け取っても、「自分のこのGPAはいいのか悪いのか」「どのくらいのGPAを目指したらいいのか」「GPAは何かに使われるのだろうか」など、さまざまな疑問が浮かぶことでしょう。

この記事では、「GPAとはいったいどういったものなのか」という基本的な説明から、GPAの計算方法、将来的にGPAが必要になる場面についてなど、幅広く解説していきます。

これから大学生になる方や、大学における成績評価について詳しく知りたいと思っている方は、ぜひご一読ください。

GPAとは?

GPAとは「Great Point Average」の略で、欧米の高校や大学で以前から一般的に使われている成績評価方式です。日本の大学では2000年代ごろから取り入れられ始め、現在は全国的に広く浸透しています。

ただし現在、日本においてGPAの算出方法に統一された基準が設けられていません。そのため、大学ごとに算出方法が異なりますので、注意が必要です。

GPAではその名の通り、GP(Great Point)の平均値を指標として学生の成績を示します。GPとは、一つの履修科目ごとにつけられた成績に対応して与えられる数値のことです。このGPの数値も大学によって異なります。

たとえば早稲田大学における成績評価とGPの関係は、

成績の評価 GP
A+ 4
A 3
B 2
C 1
F 0

このように定められています。

一方で京都大学では、

成績の評価 GP
A+ 4.3
A 4.0
B 3.0
C 2.0
D 1.0
F 0

このように定められています。

段階数も最大値も違うため、早大生と京大生の成績をGPAで単純に比較することはできないことが分かります。

とはいえ、数字で成績が表される以上は、「どのくらいのGPAであれば優秀なのか」という点は気になりますよね。

上記のように、大学ごとに基準が異なることもあり、正式な「平均値」が発表されているわけではありませんが、一般的には2.4~2.8程度がGPAの平均であるとされています。

ぜひ参考にしてみてください。

参考:02_GPA – Support Anywhere(サポエニ)

参考:成績評価とGPA制度 | 京都大学

GPAの計算方法

ここでは、一般的なGPAの評価基準や算出方法について簡単に紹介していきます。

繰り返しになりますが、GPAの算出方法は大学によって異なります。より正確に知りたい場合は、自分の大学のホームページなどを確認してみてください。

GPAは一般的に、

GPA=履修登録した各科目の「単位数×GP」の総和÷履修登録した科目の総単位数

という式で計算されます。履修登録した各科目が対象になりますので、不合格科目の単位も含まれます。

では、実際に例を挙げながらGPAを計算してみましょう。

成績評価に対するGPを確認する

まずは、自分の大学における成績評価とGPの関係を確認しましょう。

今回は上で例に挙げた、早稲田大学のものを使ってみます。

成績の評価 GP
A+ 4
A 3
B 2
C 1
F 0

各科目の単位数とGPを確認し、「単位数×GP」の総和を出す

次に、履修登録した各科目の「単位数×GP」の数値を計算し、さらにそれの総和を出しましょう。

今回は以下の成績表を使って計算してみます。

科目 単位数 成績 GP
〇〇概論 2 A 3
〇〇文化史 2 B 2
〇〇入門 2 A+ 4
〇〇と△△ 2 C 1
近代△△論 1 B 2
△△(初級) 1 F 0
△△文化概論 2 A+ 4

上から順に計算していくと、

〇〇概論:2単位×GP3=6
〇〇文化史:2単位×GP2=4
〇〇入門:2単位×GP4=8
〇〇と△△:2単位×GP1=2
近代△△論:1単位×GP2=2
△△(初級):1単位×GP0=0
△△文化概論:2単位×GP4=8

となり、その総和は6 + 4 + 8 + 2 + 2 + 0 + 8 = 30になります。

「単位数×GP」の総和を総単位数で割る

最後に、今出した「単位数×GP」の総和を、履修登録した各科目の総単位数で割った数がGPAになります。

総単位数は2 + 2 + 2 + 2 + 1 + 1 + 2= 12となっていますので、今回のGPAは

「単位数×GP」の総和30÷総単位数12=2.5

となります。

なお、GPAは小数点第二位まで表示され、端数がある場合は小数点第三位を四捨五入します。

GPAの就職への影響は?

中学の成績は高校の、高校の成績は大学の入試にかかわってきましたね。

それでは、大学の成績を示すGPAは、多くの学生にとって大学の次の進路である就職にどれだけ影響を及ぼすのでしょうか。

結論から申し上げますと、GPAが就職に影響を及ぼすかどうかは「受ける業界や職種による」といえます。

GPAを重視するところではよい成績を修めているかどうかが就職に直結する可能性がありますし、反対に重視しないところであれば最低限学業を放棄していないことが分かればよい、という認識の場合もあります。

今回は、GPAを重視することが多い業界・職種の具体例を見ていきましょう。

外資系企業

GPAは、もともと欧米で以前から広く採用されている評価方式です。したがって、欧米に本社を置く外資系企業では日本での採用においても、GPAを参考にして就活生の能力をはかるべく、書類選考の段階でGPAの提出を求める企業が多いです。

上でも述べた通り、GPAとは「各科目の成績の平均値」を示します。そのため、GPAが高いことは「突出した苦手が少ない、あるいは苦手を克服する能力がある。また、得意科目も周りよりも良い成績が取れるくらい努力ができる。」というような印象を与えうります。

専門的なスキルや知識が期待されない新卒採用では、代わりにこうした基礎的なポテンシャルが評価対象とされるのです。

理系専門職

日系企業でも、理系専門職のポジションにおいてはGPAが重視される傾向があります。理系専門職とは、例えば、食品系や医療系のメーカーで新しい商品を開発する「研究開発職」や、さまざまな業界に向けて製造されている機械の設計・開発を行う「エンジニア職」など、大学の理系学部で学んだ専門知識を直接業務に活かす職業のことをいいます。

理系学部では、必修科目として数学の授業や基本的な実験を行う授業を受講しなければならない学部が多いです。これらの授業は、将来的に専門職に就くことを考えたときに必要になる、研究・開発を行うための基礎を養うためのものです。

したがってGPAが低いと、専門職を志す理系学生なら学生のうちに身につけておいてほしい基礎ができていない、ひいては入社後の業務遂行に支障が出かねない人材であると判断されてしまう恐れがあります。

また、理系専門職への就職は学内推薦を使うというのもメジャーな手段です。大学と企業の間にあるコネクションを活用し、自分で一からエントリーしていくより早く確実に就職が決まることが期待できます。

しかし、この学内推薦を受けるためには、複数の希望者の中から推薦者に選ばれる必要があります。その際には学内における学業成績、つまりGPAが、学生を比較するための大きな指標の一つとして用いられることがほとんどです。

参考:大学のGPAは就職に影響する?選考で重視される企業の特徴を解説! | 外資就活ドットコム

GPAが必要な場面

GPAの数値が影響を及ぼす場面は、就職活動以外にも存在します。

具体的な例を挙げて見ていきましょう。

卒業

大学には一般的に「卒業認定基準」あるいは「卒業要件」と呼ばれる、卒業できるかどうかに関する基準が設定されています。入試を突破して入学をした後、今度はきちんと卒業できるかどうかにも審査が存在するのです。

文部科学省は現在、日本国内における大学設置基準を定める中で、卒業認定基準について「卒業の要件は、大学に四年以上在学し、百二十四単位以上を修得することとする。」と規定しています(ただし、医学部などの六年制大学は例外)。

つまり基本的には、4年間大学に通って124単位を取得した学生について、大学は卒業を認めてよいことになっています。

これに加えて、近年は大学独自の基準として所定のGPAを卒業要件として課している大学が存在します。

たとえば、横浜国立大学ではすべての学部において、GPA2.0以上を卒業要件としています。

また九州大学では現在、GPA2.0以上が「卒業の目安」とされており、将来的に正式に卒業要件とすることを目指すとしています。

GPAは、日本では導入されてからまだ歴史の浅い評価基準です。そのため、卒業要件として採用するのに適切かどうか、設定するならどこをラインとするかなどは、大学によって試行錯誤をしている段階であるといえます。

自分の入学した大学はどのようにGPAを扱っているのか、今一度確認してみるとよいでしょう。

奨学金

大学の学費は国公立であっても決して安いものではありません。そのため、学費をまかなうために奨学金制度の活用を考えている、あるいは現在活用しているという方も多いでしょう。

奨学金制度は基本的に「経済的理由で優れた学生が学業を諦めることがないように」という理念のもとで設けられている制度ですから、学業を疎かにする学生は活用できません。

つまり、奨学金を受けられるかどうかには学業成績に係る基準が設けられています。大学1年次に必要になる費用に関しては高校での成績や入試の成績が対象になりますが、2年次以降はそれまでの大学の成績、つまりGPAが対象になることがあるのです。

ここでは、日本学生支援機構(JASSO)が行っている奨学金制度を例に挙げて見てみましょう。
JASSOが設けている奨学金制度には、卒業後に返済が必要な「貸与奨学金」と返済が不要の「給付奨学金」があります。

どちらにも学力基準が設けられており、進学後の学生の申請が認められるための基準の一つとして、「GPA(平均成績)等が在学する学部等における上位2分の1の範囲に属すること」というものが設定されています。

さらに、申請基準をクリアして無事に奨学金を貸与・給付された後にも、GPAは関わってきます。JASSOの奨学金は一定期間ごとに適格認定が行われ、学業成績が振るわない場合「警告」がなされます。

「警告」が複数回なされると奨学金の「停止」や「廃止」となり、奨学金の貸与・給付が止められてしまいます。この「警告」がなされる基準の一つに「GPA(平均成績)等が下位4分の1の場合」という基準が設定されています。

つまり、奨学金制度をフルに活用したい場合は、在学中常に一定以上のGPAを保つことが必要になるのです。

大学院進学

大学卒業後の進路として、就職ではなく大学院への進学を目指す方もいるでしょう。

大学院へ入学するためには、入学試験を受験する必要があります。その際に学部生時代の成績を確認するため、GPAの提出が求められることがあります。

大学院への入学試験、いわゆる院試は、主に「推薦試験」と「一般試験」の二種類に分かれます。

推薦試験

推薦試験とは、大学で所属していた研究室の教授などからの推薦をもらって出願し、院試を受験するケースです。

推薦が必要になるのですから、当然成績がよく大学院でも研究に励むことが期待できないと推薦してもらえず出願できません。

また、出願資格として所定のGPAが設定されている場合もあります。

たとえば、筑波大学理工情報生命学術院生命地球研究群では、推薦条件として「(1)出願時までに取得した単位のうち、A(優)もしくはそれ以上の評価を取得した科目の単位が、総取得単位の70%以上を占める者 (2)GPAあるいは席次が、在籍大学の学科・学類で、成績上位20%以内に入る者 (3)上記(1)または(2)のいずれかの要件に準ずる者で、地球科学の特定の研究分野に優れた者」のいずれかに該当することを掲げています。

また、推薦の場合は筆記試験が免除されることが多いため、GPAの数字がその代わりとして参考にされることもあります。

一般入試

一般試験ではあまりGPAの数字は重視されません。GPAの値に基づく出願資格は特に定められていない場合が多く、また筆記試験を行うため、研究テーマへの理解度等は実際の試験の成績で確認できるからです。

とはいえ、院試でよい成績をとるためには日頃の勉強が大切です。日頃からきちんと勉強していれば、GPAも自然と高まるもの。

となれば、一般試験においてもGPAの高い学生のほうが院試に合格しやすくなるといえるでしょう。

留学

再三言いますが、GPAは、欧米では以前から広く浸透している成績評価方式です。

したがって、欧米の大学や大学院への留学を希望する場合は、GPAは書類審査において重視される評価基準の一つとなってきます。

留学するのに必要とされるGPAは一般的には2.0〜3.3程度とされています。

とはいえ、希望する大学や学部によって異なるものであり、大学のレベルや専門性が高くなるほど、求められるGPAも高くなっていきます。

たとえば、名門校であるイギリスのオックスフォード大学などでは、GPA3.7以上が目安とされています。

また注意したい点として、社会人になってから改めて留学を希望する場合でも、学生時代の最終的なGPAを提出する必要があります。

語学力などは働き始めてからでも高められますが、一度卒業してしまえばもうGPAを上げることはできません。「在学中に留学をする予定はないけれど、働いてお金を貯めたらいつかは……」と考えている方は、学生のうちに高いGPAをとっておくことを忘れないようにしましょう。

とはいえ、海外留学のために必要なのはGPAだけではありません。特に「留学のしやすい大学に行きたい」と考えている受験生には、高いGPAのとりやすさより大切なものがあります。

それは留学制度が整っているかどうかです。

大学生が在学中に留学することを考える場合、まずは大学が用意している留学制度の利用を検討しましょう。留学期間に休学をする必要がなかったり、留学先で取得した単位を戻ってきてからの卒業単位として認定してくれたり、費用負担が少なかったりと、メリットが多いからです。

留学制度が整っているかどうかは大学によって異なります。

たとえば、早稲田大学は世界約90の国と地域に広がる約600校の海外の協定校が存在しており、それらの学校に学生を派遣するための制度が充実しています。関西外国語大学では、返済不要の留学奨学金制度が整っており、2022年度には全留学生の約73%が受給しています。

留学のしやすい大学を探すのであれば、GPAのことはひとまず横に置いておいて、このような留学制度が整っているかどうかを重視するとよいでしょう。

参考:大学設置基準の概要

参考:成績評価(GPA制度) | 履修・シラバス | 授業 (オンライン含む)・履修 | 学部・大学院等 | 九州大学(KYUSHU UNIVERSITY)

参考:奨学金 | JASSO、1. 募集人員、2. 出願資格 | 筑波大学大学院 募集要項

参考:海外の大学に留学する際に必要なGPAとは?計算方法や目安について |アリゾナ州立大学サンダーバード

参考:【国内グローバル大】海外留学制度が充実している大学は? | ブログ | ベネッセ海外進学・留学ラボ 海外を目指す中高生のための情報サイト

参考:留学を意識した大学選び | 海外留学と大学選び | 河合塾 Kei-Net

まとめ

今回はGPAについて、計算方法や必要になる場面について解説してきました。

GPAは大学の成績評価方式です。大学在学中の学業への取り組み方を見るためにさまざまな場面で参考にされます。

GPAはその性質上、一度低くなってしまってから必要性に気がついても、挽回することが難しいものです。

大学に入学してすぐや、初めての成績が出たくらいの時期には、その重要性は実感しづらいかもしれません。

しかし、GPAが低いことで自分の進路が狭まってしまう可能性はありますが、高いからといって困ることはないのです。

大学1年生のうちから、やがて必要になるときのことを考えて高いGPAを維持することを意識できるとよいですね。

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