
「受験勉強を本格的に始めたいけど、部活も忙しくて時間が取れない」
部活動をしている高校生にとって、このような悩みはよくあるのではないでしょうか?
しかし、
「部活を辞めると辞め癖がつき受験に落ちる」
という人もいます。
部活を辞めると受験に落ちるというのは本当なのでしょうか?
この記事では、受験の成功と部活動の関係について解説していきます。
これから受験を始める高校生、部活動をしていて受験勉強に時間が取れていない高校生の方必見の内容です。
ぜひ最後までご覧ください。
部活を辞めると受験に落ちる?

受験勉強のために部活を辞めると、受験に落ちてしまうのでしょうか?
実際に、受験勉強のために部活を引退した学生が受験に失敗しているというデータは存在しません。
人それぞれ、受験に失敗してしまう人もいれば成功する人もいます。
ではなぜ、「部活を辞めると受験に失敗する」といわれているのでしょうか。
いくつか理由が考えられます。
一番よくいわれる理由として、時間のメリハリがなくなり自己管理が難しくなることが挙げられます。
部活動で忙しくしていた環境から、部活を辞めることによって急激に自由な時間が増えます。また部活動をしていることで感じていたストレスや焦りからも解放されて、精神的余裕も出てくるでしょう。
時間管理がうまくできない場合、このたっぷりできた自由時間をうまく管理しきれず堕落してしまうことがよくあります。
たとえば、自室で勉強しようとしていたのに、休憩時間にゲームを始めてしまい気づけば1時間経っていた、というのは誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
また、「部活を最後までやり抜けない人は受験勉強においても最後までやり抜けない」という精神的な理由を挙げられることもあります。
人それぞれ部活動事情は違うと思いますが、部活に未練が残りそうな場合はその気持ちが受験勉強に支障をきたすことになりかねません。
部活動を辞めることによる影響は人それぞれです。
部活を辞めることで、大学受験を成功させた人ももちろんいます。部活を辞めたことで増えた勉強時間をうまく利用することができれば、確実に成績はあがり合格へと近づくことができます。
自分が長時間の自由時間をしっかりと管理できるのか、そして部活動を途中でやめることで未練が残らないか、よく検討し決断することをお勧めします。
参考:「受験するなら、部活動は辞めた方がいい?」【東大生が回答】
参考:受験のために部活を辞めるべき?判断するにあたってのアドバイス
部活を辞めるメリット

部活動を辞めることと受験に失敗することに直接的な関係性はないということを説明してきました。
では、部活動を辞めるメリットは何でしょうか?
一つずつ見ていきましょう。
勉強に使える時間が増える
部活動を辞めることで、当然ですが勉強に使うことのできる時間が増えます。
受験勉強は広い範囲の知識を網羅しなければいけないので、カバーするのに時間が必要です。苦手な教科も時間をかけてじっくりと勉強していくことで、成績が向上する可能性が高まるでしょう。
身体的疲労が減り、勉強に集中しやすくなる
部活動が終わり帰宅して机に向かっても、疲労で気づいたら寝てしまっていたという方も多いのではないでしょうか。特に運動系の部活に所属している場合、部活動で体力を削られ結果的に勉強に集中できないことがあります。
部活動を辞めることで体力の面でも万全の体制で勉強に臨めるというのも、今まで体力が持たずに勉強に集中できていなかった方にとっては大きなメリットでしょう。
ただし、適度な運動は集中力の向上につながります。部活動をやめて受験に集中する場合でも、全く運動をしない生活にするというのはお勧めできません。
ストレスが減る
人にはよりますが、部活をしていると人間関係や部活内の成績など少なからずストレスがあります。部活を辞めることでそのようなストレスからも解放され、勉強に打ち込むことができるようになるでしょう。
もちろん部活をすることで、同じように受験勉強と部活を両立している仲間とコミュニケーションがとれてストレス解消になることもあります。
それでも部活をしていて勉強が十分にできていないことにストレスを感じてしまうようであれば、部活を離れることを検討してみても良いかもしれません。
部活を辞めるデメリット

一方、部活動を辞めることで生じるデメリットも存在します。
いくつか紹介していきます。
自己管理ができないと堕落につながる
先にも紹介したように、部活動を辞めるとかなり自由時間が増えます。
自分でうまく時間管理をして集中力を持続させることができる方にとってはメリットになりますが、人によってはそう簡単なものではないでしょう。
突然手にした長時間の自由な時間をどう扱ってよいかわからなくなり、気づけばダラダラと過ごしてしまっているという方もいるのではないでしょうか。
うまく勉強と休憩の時間にメリハリをつけて、集中力を持続させる自己管理能力が必要不可欠になります。
自由時間が増えたことで結果的にだらける時間が増え、部活をしていた頃より成績が下がってしまう、ということにならないように注意しましょう。
途中でやめてしまうことへの後悔を背負う
自分の周りに部活を続けながら受験勉強をしている人がいると、自分は本当に部活をやめてよかったのかと後悔と自己嫌悪に陥ってしまう人もいるでしょう。
その人より部活をやめた自分の方が成績が悪かったらどうしようと不安な気持ちになってしまうこともあるかもしれません。
「自分は部活動を途中でやめた」という事実に後悔しないように、その分勉強に打ち込みましょう。
一部推薦が使用できなくなる
受験の方式は、学力のみを問う試験の結果で合否が決まる一般入試だけではありません。
高校での成績や経験を重視し、高校からの推薦を得ることで大学に入るという入試方法も存在します。
このような学校推薦型選抜では、勉強の成績以上に部活動での成績を重視する可能性があります。
スポーツの大会で優秀な成績を収めたり、文化活動で評価されたりしている経験のある学生はこの学校推薦型選抜を使用できる可能性が高いでしょう。
例えば早稲田大学では「総合型選抜Ⅰ群(トップアスリート入学試験)」、「総合型選抜Ⅱ群(アスリート選抜入学試験)」、「総合型選抜Ⅲ群(スポーツ自己推薦入学試験)」の3段階のスポーツ推薦入学試験があります。これらは基本的に部活の顧問に実績に応じて推薦してもらうことが多い入試方法です。
しかし、優秀な成績を収めても途中で部活動をやめてしまうと、学校推薦型選抜を利用することができなくなることがあります(選抜方法によります)。
大学合格への選択肢を一つつぶすことにもなりかねませんので、部活を辞める場合は部活を続けていることで自分が使用できる推薦枠がないかしっかりと調べて検討しましょう。
参考:スポーツ推薦って何?出願時の条件、合格基準などを解説<先輩の体験談つき>【高校生なう】
受験と部活を両立したいときは?

これまで、部活を辞めるときに生じるメリット、デメリットを解説してきました。
検討のうえで部活をどうしても続けたいけれど、実際問題このままでは大学合格がかなり難しいので焦るという方もいるでしょう。
ここでは、受験勉強と部活を両立したい場合に意識すると良いポイントをいくつか紹介していきます。
時間管理をする
部活をしていると勉強に使える時間が限られるわけです。その貴重な勉強時間を有効活用できるような時間管理能力が必要となってきます。
部活をメインで考えると、「勉強時間=部活のOFF時間」という感覚になってしまう人もいるかもしれません。そして、勉強に集中する時間と休憩する時間をしっかりと分けずにダラダラと机に向かっていると、段々と集中力がなくなり気づけばスマホを片手にぼーっとしていた、ということにもなりかねません。
メリハリをつけて集中を維持した勉強ができるために、筆者が実際に行ったうえでお勧めするのは「ポモドーロ・テクニック」を使用した勉強法です。
このテクニックは1980年代にイタリア人起業家のフランチェスコ・シリロによって考案されたテクニックです。作業と休憩のセッションを交互に繰り返していくというシンプルな勉強方法です。
まず初めに25分間勉強に集中しましょう。その後5分間の休憩をとり、再び25分間勉強に集中します。この25分間の集中セッションを4回繰り返したら、30分間の少し長い休憩時間をとる、というのがポモドーロ・テクニックになります。
この時に重要なのは、25分間の集中時間が終わった時にキリが悪くても絶対に勉強を続けず休憩を取るということです。そうすることで「早く続きをやりたい」という気持ちが生まれ次のセッションも集中できるようになります。
学校の授業の約半分の時間集中すれば休憩できると思えば、やる気が出てきませんか?長時間勉強するにはペース配分が大事になります。序盤に2時間ぶっ続けで勉強をしてしまうのではなく、こまめに休憩をとりながら体力を温存しましょう。
ポモドーロ・テクニックを使用する際のタイマーは、スマホのポモドーロ・テクニック専用のアプリを使用することで手軽に始めることができます。
ただ筆者個人の意見としては、慣れてきたらスマホではなくタイマーを単体で用意することをお勧めします。スマホは目の見える範囲にあるだけで集中力をそぐ危険性があるからです。
参考:ポモドーロ・テクニックとは?仕事の生産性を上げる時間管理術
隙間時間を利用する
部活動で忙しい学生にとって、隙間時間も貴重な勉強時間の一つです。
一回の隙間時間は短くても、積み重なれば2,3時間と長時間になっていくでしょう。
筆者が実際に行っていた隙間時間の勉強は、
- 通学の電車内で英単語帳を見る
- トイレに歴史の年表を貼っておく
- 入浴しながら英語のリスニング問題を聞く
などです。「入浴時間くらいゆっくりと休憩したい」と思うようでしたら、しっかりと休憩をしてメリハリをつけるのもよいでしょう。一方、「部活で勉強の時間が取れない」と悩んでいるようなら、上記のように勉強時間を捻出することができることも理解しておいてください。
受験直前に「もっと勉強しておけばよかった」と後悔をしないように、使える時間は最大限に有効活用していきましょう。
隙間時間の活用術を詳しくまとめている記事を参考に載せておきますので、こちらも参考にしてみてください。
授業時間に集中する
部活で疲れていると、ついつい授業で寝てしまう、ということもあるのではないでしょうか。
しかし、授業時間こそ貴重な勉強に集中できる時間です。
授業で学ぶ範囲は授業時間内でしっかりと理解していくことで、授業外の時間でわざわざ勉強する必要がなくなるかもしれませんし、授業以外で勉強するにしても苦手な分野の勉強に専念することができます。
また授業範囲のわからない内容は、授業時間内であればその場で先生に質問をすることだってできます。
授業時間にしっかりと集中して、その場で復習がいらないくらいしっかりと理解するという気持ちで臨みましょう。
睡眠時間を削らない
「睡眠時間を削らない」というのも受験と部活を両立するうえで意識しておきたいポイントです。
榊 浩平氏の『スマホはどこまで脳を壊すか』という著書によると、勉強を1~3時間取り組んでいる代わりに睡眠時間が6時間以下の学生よりも、勉強時間が1時間未満で7時間以上の睡眠をとっている学生の方が成績が良い傾向にあります。
人は寝ている間に記憶を整理し定着させることがわかっています。
また睡眠時間を削ってまで勉強しようとしても集中力はそう長くは持ちません。無理に睡眠時間を削って勉強するのではなく、毎日決まった睡眠時間を確保できるように計画を立てて勉強しましょう。
部活を辞めるときの注意点

上記で、部活動を辞めることで受験勉強にどのような影響があるかを紹介しました。
部活を辞めることが直接的に受験の合否に関わることではないので部活動を辞めることは問題ではありませんが、辞めるときにもいくつか注意点があります。
時間を有効に使えるかどうか
部活を辞めることによって本当に時間を有効に使えるようになるのか、今一度考える必要があります。
長時間の時間管理が苦手な人にとっては、部活を辞めて生まれた長時間の勉強時間よりも、部活の合間に行う短時間の勉強時間の方が集中できる場合があります。
自分が時間管理ができるかどうか見極めるのは難しいかもしれませんが、休日に長時間勉強してみたり、可能であれば短期間でも休部して受験勉強に打ち込んでみたりしてから判断するのもよいでしょう。
また、時間管理能力がないなら、磨いていけばよいという考え方もありますので、「自分は時間管理できないから部活を辞められない」と安直に考えなくてもよいです。
大事なのは、「自由に使える時間が増える=勉強がはかどる」とは必ずしもならないことを認識しておくことです。
先生や友人との人間関係について
部活を辞めると人間関係に影響が出ることもあります。
部活を辞めることによって部員や顧問の先生との関係が悪くなることのないように注意をする方がよいでしょう。
事前に顧問の先生に相談することもなく、ある日パタっと部活に行かなくなる、というような辞め方は言語道断です。
辞める前に顧問の先生や同期の部員などに相談をし、自分が何か役割を担っているのであればその役割を引き継ぐ部員を見つけ、引き継ぎを行いましょう。
事情を説明し、自分が辞めた後のフォローもすれば、部活を辞めた後人間関係が悪くなることを避けられると思います。
未練は残らないか
個人的に一番考えなければいけないことは、部活動を途中で辞めることに対して未練があるかどうかだと思います。
「あの時部活を辞めなければよかった」と後悔しながら勉強をするのはかなり効率も悪くなります。
何より学生の部活動は学生のうちにしか経験することはできません。そのかけがえのない時間を捨ててまで勉強に時間が必要なのか、よく考えて辞めるかどうか選択してみてください。
まとめ
今回は部活を辞めることと受験の成否の関係性について解説していきました。
「部活を辞めることで受験に失敗する」というデータも根拠も存在しません。
部活を辞めたことで生まれた自由時間を有効に活用することができれば、きっと受験はうまくいくでしょう。
ただし、部活動は学生生活の貴重な経験の一つです。高校を卒業してしまえば二度とその部活に戻ることはできません。
部活を辞めて本当に後悔しないのか今一度自分に問い、納得のいく選択をしましょう。
決断したら、あとは「選んだ道を正解にする」という考え方で突き進んでください。
皆さんの受験がうまくいくよう、願っております。
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