
「志望校合格」という“目的”達成のためには、勉強時間を増やす方法を考えなければなりません。
そこで、拒否反応を持つ人もいるかと思いますが、「学校を休む」というのは、その方法の一つです。
志望校合格がゴールなのであれば、皆勤出席したところで、志望校に合格できなければ意味がないのではないでしょうか。
その点では、学校は休んでも問題ないといえるでしょう。
重要なのは、学校を休むことが単なる「休暇」ではなく、目的達成への効果的な「手段」となることです。
今回の記事では、受験勉強のために学校を休むメリットとデメリット、その他重要なポイントについてを紹介します。
受験勉強のために学校を休むかどうか悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
学校を休むメリット

受験生が学校を休むことは慎重に考えるべきです。適切な計画のもとで休めば、いくつかのメリットが得られるでしょう。
主なメリットは以下の通りです。
- 勉強時間の確保
- 感染症のリスクの低減
- 周囲からの影響の排除
まず、受験生が学校を休む際のメリットを紹介します。
勉強時間を確保することができる
学校を休むうえで最も重要なメリットは「勉強時間の確保」です。
学校を休むと、授業や部活動に費やす時間を勉強時間として確保できます。この時間を利用して、集中的に受験科目に取り組めるでしょう。
自分が受験で使用しない科目が時間割に含まれている場合、学校の授業が無駄に感じるかもしれません。
学校を休んで、自分の受験科目のみの勉強に専念すると効率的です。
自分の学習ペースを調整できる点も魅力です。苦手科目や復習が必要な部分に焦点を当て、自分に好都合なスピードで勉強ができます。「今日は1日中数学をしたい」「英語の勉強に集中したい」というようなときにも、学校を休めればそれが可能です。
また、学校を休むと、その時間で個別指導や予備校の授業に参加も可能です。受験専用の指導を受けられるのであれば、学校で授業を受けるよりもより有意義な時間を過ごせるかもしれません。
自宅や塾の自習室など静かなところで勉強をする手段もあります。「学校はうるさくて集中できない」「周りに人がいる状況での勉強が苦手」「一人で静かに勉強をしたい」人におすすめです。
感染症にかかるリスクを低減できる
学校を休むメリットの一つに「感染症のリスク軽減」が挙げられます。
受験シーズンは冬です。冬は、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症が猛威をふるいます。
学校では多くの生徒や教職員が一堂に会するため、感染拡大のリスクが高いといえます。学校を休めば、密集した場所にいる時間が減り、感染症の感染を防げる可能性が上がるでしょう。
感染症が流行するシーズンには、「隣のクラスで感染者が出た」「近くの席の人が咳をしている」などの状況を見て、学校に行くだけで「感染症にかかるかもしれない」という不安やストレスを抱えてしまうかもしれません。
受験生はただでさえストレスにさらされます。実際に感染しなくても、「感染するかも」という気持ちで精神的に参ってしまう恐れがあるでしょう。
家にいれば、そういった不安が軽減可能です。学校を休むことで、体の健康だけでなく精神の健康も守れます。
周囲から影響を受けなくなる
「勉強していない人を見ると安心する」
「自分より勉強ができる人を見ると不安になる」
そのような場合、学校を休むことをおすすめします。
悪い意味で自分と他者を比べてしまうような、周囲からの影響を受けやすい人は、一度周りと距離を置いたほうがよいといえます。
学校を休み、自宅や自習室など自分だけに専念できる環境で勉強をしましょう。
「あの人より勉強しているから大丈夫」と自分に甘くなる人は、自分だけに集中する必要があります。
結局受験でよい結果を出すには自分のレベルをあげるほかありません。周りの人は関係ないのです。
「周りより勉強できない」とネガティブになる人も、全く同じように「自分の学力をどのように伸ばせるのか」と、自分に意識を向けるべきです。
周囲から離れると、「周りと比べた自分」ではなく「過去の自分と比べた今の自分」がわかります。自分自身の成長に焦点を当てることで、精神的な余裕が生まれ、自己評価が高まります。
加えて、学校を休むと、クラスの騒音や他の生徒とのコミュニケーションから解放されます。学校での人間関係やトラブルに巻き込まれず、この点でも精神的なストレスの軽減が可能です。
ただでさえ受験生活はストレスの多い期間ですが、学校を休むことでそのストレスを和らげられることがあります。
特に、先生や友達から「勉強ができる」と期待されている人は、プレッシャーからも解放されるかもしれません。
学校を休むデメリット

学校を休むことにはいくつかのデメリットも存在します。主なデメリットを以下に示します。
- 周囲の心象の悪化
- 生活リズムの乱れ
- 学校で過ごす時間の減少
次に、受験生が学校を休む際に注意すべきデメリットを紹介します。
周囲の心証を悪くする
学校を休むと、友人との交流が減少します。サボりやズルとみなされて、反感を買う可能性もあるでしょう。
学校を休むことが続くと、特に、先生からの印象が悪くなるかもしれません。学業と出席の両方を重要視している先生も多いでしょう。学校を休むことに対して不満を抱かれ、悪い印象を持たれる恐れがあるのです。
親との関係性に影響が出ることもあるかもしれません。学校を頻繁に休むと、親は「ちゃんと勉強しているのか」「この子の将来は大丈夫か」と不安に感じます。学校に行くことに関して、親と揉めたり口論になるケースも多々あります。
学校を休むことは、受験勉強に集中するための手段です。しかし、周りの人々とのコミュニケーションや関係に悪い影響がありうることも理解しておきましょう。
生活リズムが乱れる
学校を休むと、生活リズムの乱れを招くかもしれません。
学校に行くために早起きをしたり早く寝たりする人がほとんどでしょう。そこで、学校に行くことが無くなれば、早寝早起きが強制されることもなくなります。
生活リズムが乱れやすい人は、これだけで起きる時間と寝る時間が不規則になる危険性があります。昼夜逆転になる人も多いといえます。
また、朝食や昼食の時間も乱れやすくなります。食事時間の乱れは、体調不良や集中力の低下を引き起こすでしょう。
学校を休むと、通学路を歩く機会や体育の授業がなくなります。受験生はただでさえ運動不足に陥りやすい状況にありますが、登校を通して行っていた運動がなくなり、さらなる運動不足に陥るリスクもあります。
運動には、ネガティブな気分を取り払い、体と心をリラックスさせる効果があります。つまり運動不足は、健康に悪影響を及ぼし、ストレスの蓄積にもつながる恐れがあります。
生活リズムは受験生活において非常に重要です。生活リズムが乱れると、勉強のメリハリもつきづらくなってきます。
学校を休むなら、学校のおかげで生活リズムが整っていることを理解し、そのリズムが崩れないよう意識する必要があるでしょう。
参考:体内時計と食事の関係 時間栄養学からみた食事時間の工夫
学校で過ごす時間が減る
受験期間は、最後の高校生期間でもあります。
学校を休むと、友達と過ごす時間が減ります。最後の学生生活の思い出が作れないかもしれません。受験が成功しても「高校生時代の思い出がない」「高校3年生は楽しくなかった」という気持ちになってしまう可能性もゼロではありません。
学校で過ごす時間は学生生活の一部であり、学習以外にも多くの価値があります。
「勉強したいから」、「学校に行くのが面倒くさいから」という理由だけで学校を休むと、後悔する人もいるかもしれません。
加えて、学校に行かず、友達との関わりを断つと、孤独感を招くかもしれません。
その結果、「自分だけが辛い」、「勉強ばかりで苦しい」と不安が募り、受験勉強に悪い影響が及ばされる可能性も否定できません。
仲の良い友達との会話や関わりはストレス発散にもなります。同じ状況の友達と話せば、受験勉強のストレスをある程度解消できるかもしれませんが、学校を休むことでそのような機会を逸してしまうかもしれないのです。
学校を休む前に

受験生にとって学校を休むことは、受験勉強に集中するための選択肢の一つです。しかし、休む前に考えておきたいことがあります。
例えば、以下の事柄が挙げられるでしょう。
学校の勉強は受験勉強につながらないか?
受験で使わない科目の授業中に内職はできないか?
高校3年生になると、学校の授業も受験に関する内容になっていきます。自習や塾の授業と同じぐらい、学びを得られることもあります。
受験で使わない科目の授業では、授業中に他教科の勉強をする“内職”について先生と交渉する手があります。先生によっては「学校を休まれるよりは内職の方がよい」と内職を認めてくれる可能性があります。
例えば文転をした場合、理系科目の授業は受験に不要になります。理系科目の教師に事情を説明して、授業中の内職を認めてもらえば、授業時間を有効に使えます。
学校を休む際に気をつけること

学校を休む際は、以下のことに気をつけましょう。
- 出席日数を確認する
- 休む目的を考える
- 周りの意見に流されない
これらのことを意識せずに休むと、せっかくの休みを無駄にするかもしれません。有意義な休みにするためにも、ここで紹介する内容をしっかりと検討してから休みを取りましょう。
出席日数を確認する
受験生が学校を休むときは、計画的かつ責任ある行動が求められます。そのなかでも、特に気をつけたいことが出席日数の確認です。
多くの学校は卒業の必要条件として、最低出席日数を決めています。せっかく志望校に合格したのに、出席が足らず卒業ができなければ意味がありません。
自分の今までの出席日数や卒業に必要な出席日数がわからないときは、先生や事務担当者に尋ねましょう。それをもとに、何日程度なら休めるかを考えます。
ただし、突然の体調不良で休む可能性もあるため、勉強のために休む回数には余裕を持ちましょう。
目的をもって休む
受験生が学校を休むことは、受験勉強において有意義です。しかし、明確な目標がなければ、せっかくの休みが無駄になります。
休みは休暇ではなく、あくまでも受験勉強のための“手段”です。
学校を休むと自由に勉強できる時間が増えます。その勉強時間をどのように使うかを計画しましょう。
最初に、学校を休む大きな目的を考えます。「特定の教科に絞って勉強するため」、「苦手分野の対策をするため」、「過去問題を解くため」などの目的が挙げられるでしょう。
次に、目的をもとにした計画を立てます。使う問題集や取り組む範囲などを決め、「することリスト(ToDo リスト)」を作りましょう。
最後に、休む期間を決めます。1日だけ休むのか、数日休むのか、1週間休むのかによってできることは変わるでしょう。ちなみにですが、長期間休むと、学校に戻ることが億劫になる危険性もあるので注意しましょう。
休む期間は、取り組みたいことと卒業に必要な出席日数による休める日数のバランスとを考えて決めてください。
周りの意見に左右されない
受験生が学校を休むと、周囲からは反対されるかもしれません。休むと決めたのであれば、周りの意見に左右されず、自身の意志にしたがって行動しましょう。
もし、周囲の意見に影響されそうなときは、自分の判断を信じてください。後にも述べていますが、全ては自己責任です。自分の意志を貫いて学校を休もうが、周りに影響されて学校に行こうが、全部自分の責任なのです。
明確な目的がある休みは悪いことではありません。志望校合格や叶えたい夢に向けて、適切な選択をしましょう。
もちろん、周りからの意見は大切です。しかし、全ての意見を盲目的に受け入れることは避けましょう。
親や先生、友達の意見が自身の目標に合致するかどうかを吟味します。信頼できるアドバイスは受け入れ、そうでないものは自分の判断を優先するようにしてください。適切なフィードバックを受けつつ、自身の決断を信じましょう。
全ては自己責任で

受験生にとって、学校を休むことは受験勉強に専念するための一手段です。
休むときは自己責任の意識が大切です。
そして、休むという選択を取らずに学校に通い続けることにも自己責任の意識が大切なのです。
学校に行くと、受験勉強に割ける時間が足りなかったり、無駄な時間を過ごしたりして受験に失敗するかもしれません。学校を休んで、受験に必要な情報を聞き逃すと、受験に不利になる恐れがあります。
どちらにせよ、全てはその選択をした自分の責任です。周りのせいにしてはいけません。
厳しいことを言っているように聞こえるかもしれませんが、自分の責任で引き受けていくことではじめて、自分で自分の人生を切り拓いていくことができるのです。
受験だけでなく、人生においても、皆さんの行動や決断には誰も責任を負いきれません。あなたの行動にアドバイスや批判をする人も、「責任をとろう」という意識はないことがほとんどでしょうし、そういう意識があったところで、究極不可能なはなしです。
大切なことは、自分の判断には自分で責任をとる、そして自分の決断を正しいものにする努力をすることです。そして、決断により得られた結果は受け入れなければなりません。「選んだ道を正解にする」マインドセットを身につけましょう。
まとめ
受験勉強のために学校を休むのはありかなしかについて解説しました。
学校を休むことは、合格に向けた受験勉強の手段の一つです。しかし、ただ休むだけでは意味がありません。目的やメリット・デメリットを踏まえて、慎重な計画が重要です。
学校を休むメリットには勉強時間を確保できる、感染症リスクを軽減する、周囲からの影響を減らすというのが挙げられます。ただし、デメリットとして、学校での学習機会の喪失、人間関係の希薄化、生活リズムの乱れ、「学校生活」という時間の減少が考えられます。
学校を休む前は、目標と具体的な計画を設定しましょう。また、自己責任を持って、バランスを取りながら学校を休みましょう。これが受験における成功の鍵です。
最終的には個人の状況や目標に応じて、学校を休むかどうかを検討してください。