
受験生に多い悩みのひとつが「勉強時間の確保」です。
受験まで日数や時間が足りないのではと不安になっている受験生もいるでしょう。
私も現役での受験、そして1年間のRe受験を経験しましたが、やはり常に焦る気持ちがあり、
「これで間に合うのか」
「勉強時間は足りているのだろうか」
「予備校までの通学時間がもったいない」
などと考えていました。
そこで、勉強時間を確保し焦りを解消するために活用していたのが、隙間時間です。
1日の生活を見直してみると、勉強に充てられる隙間時間がとても多くあります。
この隙間時間を活用しないのは、正直とても「もったいない」です。
隙間時間の勉強には学力向上を加速させる理由があります。
この記事を読んで、ぜひ隙間時間を有効に利用して受験を成功させましょう。
隙間時間が勉強に効果的なワケ

「隙間時間の勉強」と聞くと、
「暇だから勉強する」
「手持ち無沙汰だから勉強する」
というイメージがある人もいるかもしれません。
しかし、隙間時間にもっと積極的に勉強したほうが良い理由があります。
もちろん、まとまった時間を勉強のために捻出することも重要ですが、隙間時間も侮れません。
隙間時間が勉強に効果的といわれる理由をここでは3つ紹介します。
1日1時間でも積み重ねれば年間365時間になる
あなたは通学に何分かかるでしょうか。
例えば片道30分としたら、それだけで往復1時間も勉強ができます。
実際、パナソニック株式会社により実施された調査では、隙間時間は1日平均1時間9分というアンケート結果が出ました。
毎日1時間、隙間時間に勉強すると、年間で365時間になります。
もし365時間を週末だけで確保しようとすると、土日合わせて7時間も勉強時間を増やす必要があります。
さらに、例えば入浴中に4つだけ英単語を覚えるとすると、1年で1,460単語、2年で2,920単語にもなります。
学習指導要領では、高校3年間で覚えるべき単語を1,800〜2,500単語としていますので、高校2年までに3年分以上の英単語を習得できることになります。
毎日の隙間時間を使うことで勉強できるのだとしたら、効率が良いと思いませんか?1日1時間でも、3年間で1,000時間超です。
この1,000時間が周りに差をつけます。
参考:現代人のムダなスキマ時間は1日平均1時間9分。
スキマ時間を有意義な時間に変える活用法、5人に1人が「テレビを見る」と回答! スキマ時間を有効活用している人ほど、幸福度が高いことが判明!
時間を区切ることで集中力を維持できる
受験勉強に限らず、読書や仕事など「集中が続かない」という悩みを持つ人は多くいます。
実際、「人の集中力が持続するのは、5〜15分程度である」という研究結果もあります。
隙間時間は短時間で区切られているため、高い集中力を維持して勉強することがしやすいです。
1回あたりの時間は短いですが、隙間時間ごとに集中力をリセットできるため、効率よく勉強することができます。
参考:集中力が持続するのは5~15分 脳科学者が解説する「集中」のメカニズム
隙間時間勉強の準備が、よい勉強になっている
隙間時間の勉強は、1分から1時間程度の短い時間で自然と区切られています。
その短時間でどうやって効率的に勉強できるかを予め考えて準備することで、結果的に効果的な勉強ができていることがあります。
例えば、定期テストの前に電車で見直すため、テスト範囲を網羅した復習用のプリントを作成する場合です。
「電車で見直すこと」が目的ではありますが、そのためにテスト範囲を充分に俯瞰し、かつ重要な部分のみを簡潔にまとめること自体がとても効果的な勉強法になっているのです。
限られた時間で勉強する際は、ぜひしっかりと準備して臨むようにしてください。
心理的負担が小さい
想像してみてください。
「よし、これから3時間勉強するぞ」
と、
「よし、入浴中に昨日の復習をしよう」
どちらが心理的に楽でしょうか。
圧倒的に後者のほうが取り掛かりやすいと思います。
「短時間に集中して勉強する」ことは勉強する意欲を促進し、より成果を生み出しやすい方法であるといえるでしょう。
例えば、5分単位での隙間時間勉強を実施して「勉強時間を5分単位で考えるので、勉強へのハードルが下がった」という実感を得られた声もあります。
気が乗らないときこそメリハリをつけて、短時間の勉強を積み重ねるようにするとよいでしょう。
参考:東大・京大卒も実践「スキマ時間」勉強術をやってみた。
大切なのは「○○化と事前準備」
勉強時間にできる生活時間

では、具体的に生活の中のどんな隙間時間を使って勉強すればよいのでしょうか。
隙間時間の長さは人によって異なりますが、以下の4つが隙間時間の例として挙げられます。
入浴時間
湯船に浸かっている時間は、誰かに話しかけられることもない完全なひとりの時間です。
集中して勉強するにはもってこいの環境です。
適度に湯船に浸かることで身体の疲れも軽減され、リラックス効果もあります。
ついでに勉強までできたら一石二鳥です。
また、脳がリラックスしている状況で勉強すると、記憶力が向上する可能性があるという研究結果も出ています。
普段シャワーで済ませる人も、直前に覚えた内容を反芻したりリスニングの音源を流したトレーニングをすることもできます。
参考:お風呂での勉強にメリットは?おすすめの勉強法や勉強グッズを解説
通学時間
電車やバスに乗って通学する人は乗車時間に勉強することができます。
行きと帰りで2回に分けて時間をとれるので、私は行きの時間を暗記系の勉強、帰りの時間をその日の復習に充てていました。
例えば、「3駅ごとに単語を2つ覚える」のように細かく区切りをつけて勉強するのも有効でしょう。
しかし、勉強に集中しすぎると乗り過ごしてしまうことがあるため注意しましょう。
自転車通学の場合はできることの制限は多くなりますが、例えば「信号5つごとに単語を2つ覚える」のように小さな目標を設けて隙間勉強をすることも可能なので、ぜひ試してみてください。
トイレ
1回あたりは短い時間ですが、1日に何回も行くのがトイレです。
自宅のトイレであれば、例えば世界史の年表を貼ってもいいですね。
また、外出先のトイレであっても、単語帳のような教材、スマートフォンなどを使えば勉強ができます。
私は直前に勉強していたことをトイレで暗唱していました。
例えば、古文の助動詞の活用や英語の例文です。
ちなみに暗唱は手軽な勉強法で、場所によって声が出せなかったりするかもしれませんが、できる環境であればぜひ試してみてください。
食事中
食事の時間も隙間時間として有用です。
もちろん、何かを見ながら食事をするのはあまりマナーが良くなく、TPOを考えないといけませんが、できるのでしたら十分な勉強時間として利用できます。
テーブルに教材などを置けば、食事をしながら読むことができます。
数学など書きながら解くような勉強には向いていないかもしれませんが、例えば世界史の資料集など、全体をじっくり眺めながら読むような勉強は食事中でも充分可能です。
また、覚えたい内容を食事前に読んでおき、頭の中で反芻しながら食事をとるのもよいでしょう。
食事後は思い出せなかった箇所を再確認しておくことも忘れないでください。
周りに迷惑をかけない範囲で、英語のリスニングもおすすめです。
英語の音源を流して聴きながら食事をするだけでも、毎日続けていれば耳が慣れてきます。
他にも「レジに並んでいる時の待ち時間」や「早めに布団に入ったけど眠れない時」、「予備校の昼休みの余った時間」など小さな隙間時間は人によってさまざまあると思います。
「あっ、今、隙間時間だな」と気づいたらいつでも勉強時間になります。
隙間時間がないかなと思いながら過ごしていると、どんどん見つかり、有意義にできる時間が増えてくることと思います。
隙間時間勉強のコツ

通学中などの隙間時間は、通常の勉強する環境とは違う特徴があります。
それをふまえて考えると、隙間時間の最適な勉強方法が考えやすくなるので、まずは隙間時間の特徴をおさえましょう。
大きく分けて以下の3つが隙間時間の勉強の特徴です。
- 短い時間で区切られている
- 基本的に机に向かって教科書などを広げられない
- 隙間時間によって使える勉強ツールが限られている
この3つの特徴をもとに、隙間時間の勉強方法のコツを4つ紹介します。
事前に何をやるか決めて準備しておくこと
隙間時間は、基本的に短いものです。
隙間時間に入ってから「今日はどの教科をやろうかな」と考えている時間はありません。
できる限り、どの時間にどの教科のどんな内容を勉強するのか決めておき、場所に合わせた道具を用意しておきましょう。
毎回決めるのは面倒なので、簡単なのは「朝の通学中は英単語」などとルーティン化してしまうことです。
毎日繰り返すことで習慣になります。
スマートフォンを駆使する
すぐに取り出せて、いつでも持っているのがスマートフォンです。
ついゲームやSNSをしてしまう人もいるかもしれませんが、実はスマートフォンは受験の大きな立役者となるべき存在です。
例えば、覚えたいことを書いたノートを撮影して頻繁に見返すようにしたり、勉強アプリを利用したりして、勉強方法の幅が広がります。
他にもYoutubeでは、各科目の内容や大学の過去問を短く、わかりやすく解説しているものが多くあります。
ある程度の時間が取れる場合は、腰を据えて映像授業を見てみるのもよいかもしれません。
必要な勉強道具を減らす
隙間時間での勉強は、使える道具が限られています。
英語を例に挙げてみましょう。
通常、英語を勉強する際は、単語や熟語を調べる辞書や電子辞書、教科書、ノート、ペンなど多くの道具を必要とすることでしょう。
しかし、通学中の電車内や入浴中に、それらすべての道具を取り出して勉強するのはかなり難しいでしょう。
そこでポイントになるのが、ひとつのアイテムで勉強できるように工夫することです。
例えば、ノートを折ると和訳が隠れるように英文と分けて書いておくなど、隙間時間に勉強することを想定してノートを作ることで使うアイテムを減らすことができます。
さらに、問題集の場合は、事前に模範解答を赤やオレンジで書き込んでおけば、解答を見なくても問題集を赤シートで隠しながら勉強することができます。
隙間時間の種類に合わせて勉強内容を変える
隙間時間によって場所などが異なるため、状況によって使うものなどを工夫する必要があります。
例えば混みあった電車の中では、ノートを広げるより単語カードや単語帳、あるいはスマートフォンなど小さいもののほうが勉強しやすいでしょう。
逆に自宅のトイレでは、ドアの内側に大きな張り紙をすることもできます。
隙間時間の状況をなるべくよく想定して、勉強の準備をするとよいでしょう。
隙間時間勉強のお助けアイテム

隙間時間は前述のとおり、教科書等を広げて勉強することが難しいことが多く、手に持てるもの等で勉強することになります。
ここでは、コンパクトに勉強するために役立つアイテムを紹介します。
スマートフォンの勉強アプリ
皆さんが普段から持ち歩いているスマートフォンは、先にも少し触れたように隙間時間勉強の心強い味方になります。
カメラ機能ももちろん使えますが、アプリも駆使することで勉強の効率が上げられるでしょう。
おすすめは文具メーカーのコクヨが出している「Carry Campus(キャリーキャンパス)」というアプリです。
自分が書いたノートや教科書をスマートフォンで撮影することで電子化できます。
さらに、ノートに赤やオレンジで書き込んでおけば、スマートフォン上で「赤シート」を動かして隠しながら覚えることができます。
ノートやプリントと赤シートを持つ必要がなく片手で使えるのも便利なポイントです。
他にも、撮影したノートの文字を消したり加筆することもできるうえ、受験やテストのスケジュールを設定すれば日数のカウントダウンをしてくれる機能もあります。
勉強の計画をアプリに登録することもできるため「この単元は10日で終わらせよう」など勉強の進捗管理がしやすくなっています。
使い方次第でかなり多様な活用方法があり、スマートフォンのみで勉強できるため隙間時間の勉強にぴったりです。
また、特に英単語系には多くのアプリがあります。
おすすめはeazyrote社の「究極英単語 大学受験編」です。
間違えた問題は自動的に復習のカテゴリに入れられる機能があるほか、「センター試験レベル」「大学受験レベル」など、レベルに合わせて範囲を選ぶことができます。
また、単語からイメージされる画像やコメントを挿入することができるため、自分だけの教材を作ることができます。
今回ご紹介したアプリは、どちらも無料で始められ、iOSとAndroidの両方に対応しています。
もちろん、英単語だけでなく、各教科に対応したさまざまなアプリがありますので、ぜひ探してみてください。
スマートフォンの防水ケース
こちらは入浴中に勉強するには必須のアイテムです。
防水ケースに入れたまま濡れた手でも操作することができます。
安いものだと500円程度から販売しているので気軽に購入できるでしょう。
ただし、完全防水ではないものが多いので、湯船に落とさないように気を付けてください。
自作のプリント
A4サイズのコピー用紙や普段使っているルーズリーフなど、使用する紙はなんでも良いです。
自分で覚えたい内容や見返したい内容をまとめると、自分に特化したプリントが完成します。
おすすめは、図のように蛇腹に折ってでたたんでおくことです。
コンパクトになり持ち歩きやすく、問題を見てから答えを開くことができます。

また、隙間時間に見返しやすいだけでなく、自分の苦手分野を簡潔にまとめること自体でも理解が深まりますので、隙間時間に限らずご自身の勉強に活用してみてください。
隙間時間勉強の注意点

メリハリをつけて休養もとる
勉強時間の確保は重要ですが、起きているすべての時間を勉強に充てる必要はありません。
むしろ勉強する時間と趣味や休養に充てる時間を区切ってメリハリをつけることで、勉強中の集中力を維持することにもつながります。
受験は長い期間勉強を継続する必要があるため、心身ともに健康を保つことができる自分のペースをつかみましょう。
睡眠時間は削らない
睡眠時間が不足すると、日中に眠気が残り勉強しても頭に入らず非効率的になります。
また、「夜のほうが集中できる」という夜型の人もいるかもしれませんが、実際の受験は朝から始まるため日ごろから日中に勉強できる状態にしておく必要があります。
夜に適度な睡眠をとれるように習慣づけましょう。
まとめ
今回は隙間時間を活用した勉強方法について紹介しました。
隙間時間を活用した勉強方法は工夫次第で多くの時間を確保できます。
1日1時間としても年間にすれば365時間を捻出することができます。
受験は長期間、勉強を継続することが重要です。
隙間時間を勉強に充てることで無理なく勉強時間を確保することができるでしょう。
隙間時間とは基本的に短時間となるため、集中力も継続しやすいです。
しっかりメリハリをつけて密度の高い勉強をしていくことが成果につながります。
今回は代表的な隙間時間として、通学中、入浴中、食事中、トイレを挙げました。
隙間時間をより有効に活用するためにはその特徴を考える必要があります。
また、それぞれ時間が短いため何を勉強するか前もって準備することが効率的に勉強するコツです。
基本的に隙間時間勉強では、机に向かって広いスペースで勉強するわけではないのでコンパクトさも重要になります。
コンパクトに勉強するためには、勉強道具に工夫が必要です。
スマートフォンのアプリや防水ケース、自作のプリントなどを準備をして隙間時間に臨みましょう。
そして、もっとも重要なのが「しっかりと休養の時間も確保すること」です。
隙間時間をすべて勉強に充てることで心が疲弊してしまったり、睡眠時間を削ることで体調を崩してしまったりしては本末転倒です。
受験は1年を通してコンスタントに勉強し続ける必要があります。
心身の健康と勉強のバランスをとりながら受験期を乗り越えていきましょう。