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自宅Re受験(宅浪)のススメ

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予備校に通ってRe受験の勉強を進めていくのか、予備校に通わず自宅でRe受験の勉強を進めていくのかでお悩みの方は多いと思います。

「Re受験って予備校に通って勉強した方がよいって聞くけど本当?

といった疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。

試しに、「自宅浪人」という言葉でGoogle検索をしてみると、

宅浪 やめとけ」「宅浪 成功しない」「自宅浪人 つらい」などといったネガティブなサジェストが出てきます。

このように、自宅Re受験で悩んでいる方や、迷っている方は少なくないということがわかります。

本当に自宅Re受験はしない方がよいのでしょうか?

今回はその自宅Re受験について徹底的に解説していこうと思います。

その前に、そもそも「自宅Re受験」(自宅浪人)について知らない、あまりよくわからない方もいるでしょう。

「自宅Re受験」(別称:自宅浪人、宅浪)について簡単に説明すると、Re受験をすることになったRe受験生が、予備校に一切通わないか、夏期講習だけ予備校に行くというように、基本は自宅で勉強を進めていくことを「自宅Re受験」といいます。

自宅Re受験生の割合は、Re受験生のうちの28.1%しかいないというデータがあります。

さらに、「Re受験生は全国で何人いるのか?」を調べてみると、

文部科学省の令和5年度(2023年)学校基本調査によると、大学に19歳以上で合格した人をRe受験生とすると、全大学入学者が516,051人で、Re受験生は116,811人でした。

つまり、全大学入学者のうち、約23%がRe受験生だったということがわかります。

そして、Re受験生のうち、基本的に予備校に通っていないRe受験生は28.1%という割合でしたので、以上の数値から、自宅Re受験生の数は116,811人×0.281=32,824人という数値になり、全国で約3万3千人ほどいる計算になります。

自宅Re受験には、予備校の費用が抑えられることや自分のペースで勉強できるといったメリットがある一方で、受験勉強スケジュールは全部自分で考えなければいけないといったデメリットもあります。

今回は、Re受験を3回経験し、最終的に北海道大学総合入試理系に合格した筆者が、自宅Re受験をするにあたってのメリットやデメリット、自宅Re受験を成功させる方法などについて取り上げていきます。

参考:浪人生が利用する教育サービス。王道の予備校が主導権を握る中で、オンライン学習への注目度も高い | 株式会社エンライクのプレスリリース (prtimes.jp)
学校基本調査:文部科学省 (mext.go.jp)

自宅Re受験(宅浪)の良いところ

自宅Re受験をするにあたって、予備校に通うRe受験より良いところを3つ挙げます。

  • 予備校費用などのお金がかからない
  • 自分の好きなペースで勉強を進められる
  • 自分で一日の時間を決められる

それでは、それぞれ詳しくみていきましょう。

予備校費用などのお金がかからない

自宅Re受験を行うにあたって、一番のメリットはやはり、予備校に通うよりもお金がかからないことではないでしょうか。

予備校の費用は一般的に、1年間通う場合は70万円〜120万円程度が必要といわれています。これらの費用は授業料・テキスト代・施設使用料・模試費用などが含まれていることがほとんどです。

さらに、夏期講習や冬期講習が別費用でかかることが多く、予備校が推奨する授業を全部取ると、夏期講習だけで20万円ほどになることもあります。

予備校にかかる費用は、70万円〜120万円(授業料)+ 0〜40万円(夏期・冬期講習)と考える必要があるでしょう。

また、予備校が無い町に住んでいる人は、予備校に付属している学生寮に入ったり、予備校近くの家を借りたりして、一人暮らしをしながら予備校に通わなければいけないため、先ほどの費用のほかに、一人暮らしにかかる家賃や光熱費、食料費などが別途必要になります。

私立大学の文系学部の1年間の授業料の平均が815,069円であることを考えると、費用だけでみれば、予備校に通ってRe受験するということは私立大学で1年間授業を受けていることと同じなのです。

もし、予備校に通わずにRe受験に成功できた場合、予備校にかかる費用分をそのまま節約して貯蓄にまわせる可能性があるため、その後の大学授業料や奨学金返済の負担を少なからず減らすことができるでしょう。

なお、予備校に通うことを検討している場合は、予備校の費用や選び方などをこちらの記事で詳しく解説しております。「Re受験に予備校は必要?行くべきメリットや予備校の選び方、費用も紹介!

参考:私立大学文系・理系の学費 4年間でいくら? 国公立大学との差は? | 駿台コラム (sundai.ac.jp)

自分の好きなペースで勉強を進められる

2つめのメリットとしては、自分の好きなペースで勉強を進められる点が挙げられます。

予備校で勉強する場合は、1年間を通した授業スケジュールがあり、夏期講習が始まるまでの4月~6月は徹底した基礎固めを行い、夏期講習で応用が始まり、秋ごろに実際の大学の入試問題を意識した実践模試を解くという流れが一般的になっています。

このように、予備校の1年間授業スケジュールは基礎から応用、実践へと段階的に受験対策を進めていけるように設計されています。しかし、人によって得意・苦手なところは違うため、重点を置く必要があるところが人によって異なり、画一的な授業では不十分なことがあります。

一方、自宅Re受験では、自分の裁量でスケジュールを組むことができるので、既に得意な部分は応用問題だけで済まし、その分苦手なところの勉強時間を増やすといったようなことが可能になります。

柔軟にスケジュールを設計できるという点で、人によっては自宅Re受験の方が合っているという方もいるでしょう。

自分で一日の時間を決められる

自宅Re受験で自由に決められるのは1年間の勉強スケジュールだけではありません。

1日の勉強計画も自由に立てることができます。

予備校に通う場合は、大体以下のような1日のスケジュールを送ることになります。

 7:00 起床

 8:00~8:30 予備校に登校
 ↓
 8:40~9:30 1限目
 9:40~10:30 2限目
 10:40~11:30 3限目
 10:40~11:30 4限目
 ↓
 12:40~13:30 昼休み
 ↓
 13:30~14:20 5限目
 14:30~15:20 6限目
 15:30~16:20 7限目
 16:30~17:20 8限目
 ↓
 17:20~20:00 復習(自習室)
 ↓
 20:00~21:30 帰宅・夕食
 ↓
 21:30~24:00 復習・予習
 ↓
 24:00 就寝

※1授業が駿台などの50分授業の場合を想定しています。

8限全てが授業で埋まっているということは少なく、空いたコマを使って、予習復習を進めていくことができます。

しかし、それ以外の授業の時間は、予備校で教えられる内容しか勉強ができません。

また、基本的に予備校のテキストはボリュームが大きく、予習復習するだけで精一杯なことが多いため、自分で先取りしたり自由に勉強するという時間の確保が難しいでしょう。

そして、朝よりも夜の方が集中できるという方もいらっしゃるのではないのでしょうか。そういった方には、予備校に通うために毎朝起きるのが辛いという問題もあります。

自宅Re受験なら、深夜に起きて勉強しても翌朝が辛いといった心配がなく、変則的な生活リズムでも十分な睡眠時間を取ることができます。

筆者の友人は自宅Re受験をしていましたが、やはり夜型であったため、夕方に起きて勉強を12時間ほどぶっ通しで行い、そのまま寝るという破天荒ながらも自分に合ったやり方で受験勉強を行っていました。そして彼は志望校に無事合格したのです。

高校の生活リズムとは違う、自分に合った夜型リズムに合わせた勉強のおかげで受かることができたともいえそうです。

本番の受験は朝から始まる傾向がありますので、どこかのタイミングで本番に向けた1日の生活リズムに合わせて習慣を変えていく必要はありつつも、自分に適したスケジュールや習慣で自由にRe受験勉強に取り組むことができるという点が、自宅Re受験の魅力です。

自宅Re受験(宅浪)の注意すべき点

自宅Re受験のメリットを取り上げてきましたが、もちろんデメリットもあります。

自宅Re受験で注意すべき点を以下の5つ挙げます。

  • 自己管理ができないと勉強をついついサボってしまう
  • 周囲に質問できる人がいない
  • メンタル面で頼れる人がいない
  • 生活リズムが崩れてしまう
  • 自宅Re受験生が参考にできる情報が少ない

それぞれ詳しくみていきましょう。

自己管理ができないと勉強をついついサボってしまう

恐らく自宅Re受験をするにあたって、多くの人が悩んでしまうのはこの「自己管理」についてではないでしょうか。

高校時代は、教室へ行ってそこで先生が授業を進めてくれるので、勉強は受動的であっても進めることができたという方が多いはずです。

しかし、自宅で勉強するとなると、その気になれずついついサボってしまったり、1年間も受験生活が続くと考えると、「明日からでいいや」という気分になってしまったりする人もいるでしょう。

1日でもサボってしまうと、どんどんサボることに抵抗感がなくなってしまい、そのまま1か月丸ごと何も勉強していなかったというケースもあるようです。

「気が付いたらもう受験に間に合わない・・・」といった失敗をしてしまう方もいるので、自己管理ができないと感じたら予備校に切り替えるといった迅速な対応が必要となるかもしれません。

周囲に質問できる人がいない

高校や予備校には先生がいて、わからないことを質問すると教えてもらえる環境が整っているのですが、自宅Re受験では受験勉強について詳しい人が大抵の場合いないことが多いため、わからないことがあっても、自分で考えるか、ネットで検索するかのどちらかしかないことがよくあります。

わからない問題を自分で考えるというのは大事なのですが、ずっと同じ問題について考え続けてしまうのは、時間の観点から考えるともったいないこともあります。

また、自分の受験勉強の方針が合っているのかを見定めてくれる人もいないということもいえます。

勉強方針や受験する大学選びなどの相談相手がいないために、選択を誤ってしまい、合格できないというケースも考えられます。

効率的な受験勉強を求めて自宅Re受験を決めたのに、逆に非効率になってしまったという失敗もみられるので注意しましょう。

メンタル面で頼れる人がいない

予備校に通う際は、予備校の先生や友人と会うことができ、悩み事を相談したり、一緒に勉強を進めたり、ペースの確認をしたりするなど、「人による支え」という恩恵を沢山受けることができます。

特に、予備校の先生はメンタル面で大いに頼れる存在でもあります。ベテランの先生は数々の指導経験があることから、生徒がどんなことで悩んでいるのかを把握している方が多く、悩みを打ち明ければ具体的な対策を立ててくださることもあります。

また、同じ予備校に通う受験仲間とは、ほぼ毎日出会う機会があり、模試の結果などで落ち込んでいるときは励まし合ったり、家族には言えない弱音を打ち明けたりすることができます。

しかし、自宅Re受験の場合、人と会う機会が減ってしまうため、同じ勉強仲間がおらず孤独になってしまう恐れがあります。仲間がいても受験勉強は精神的に辛いものがあるのですが、仲間がいないとなるとさらなる辛さを感じてしまうかもしれません。

メンタル面での自己管理についてはしっかりと気を付けたほうがよいでしょう。

生活リズムが崩れてしまう

予備校に通わなければ、次の日に決まった時間に起きる必要もないため、好きな時間に起きることができます。

しかし、夜型だからといって、ずっと自宅にこもって夜に起きて勉強する生活を続けたりすると、日の光に当たらないことや運動不足などで、メンタル面や体調に支障をきたす可能性があります。

また、受験本番は朝から始まることが多いため、本番当日のスケジュールと生活リズムが合わず、本領を発揮できなかったという失敗もよくあります。

前述のように、夜型勉強でも成功する人はいますが、一般的にこのようなリスクがあるため、生活リズムの管理も自分でしっかりと行わなければいけないことも注意すべきポイントの1つでしょう。

自宅Re受験生が参考にできる情報が少ない

自宅Re受験生のデータは、自宅Re受験をした人が自ら情報発信をしようとしない限り得ることができません。

予備校はビジネスという側面もあるため、予備校に通うRe受験生の過去のデータを収集、蓄積し、発信するという役割も担っています。その一方で、自宅Re受験にはそういった側面がほとんどないため、参考にできる情報の蓄積が少ないという傾向があります。

また、自宅Re受験生は全国に3万3千人程度しかおらず、予備校に通うRe受験生と比べるとあまり多くないため、情報発信をしてくれる自宅Re受験生がいたとしても絶対数が少ないという実情もあります。

こういった背景から、先輩の体験談といった情報があまり得られないという問題に直面する可能性が高いです。

ネットで調べても、不確かな情報が多く、やはり、実際に自宅Re受験を体験したことがある人から直接聞ければよいのかもしれませんが、そういった方に会えたり、コンタクトが取れたりするのは難しいでしょう。

自宅Re受験生活などで困ったときに、参考にできる情報が少ないというのが、自宅Re受験の注意すべき点として挙げられます。

自宅Re受験(宅浪)を成功させるポイント

自宅Re受験を成功させるために着目してほしいポイントを、以下の2つ紹介します。

  • 自己管理を徹底する
  • 周囲に精神的に頼れる人や仲間をつくっておく

自己管理を徹底する

自宅でRe受験を成功させるための、まず1つめのポイントとして、「自己管理を徹底する」ことが挙げられます。

年間の受験勉強のペース配分一日のスケジュール健康などの体調管理息抜きの時間確保など、ありとあらゆる自己管理を徹底しましょう。

紙やスマホなどに、1年間・1か月・1週間の3段階の目標今日やることリストを書き出してみることで、何をすべきかが整理され、自己管理が圧倒的に行いやすくなります。

1年間の目標では、基本や応用をいつ取り掛かるか、自分が受験する各大学の対策はいつ取り掛かるのかといった大きなものを決めましょう。

1か月の目標では、どの分野を重点的に対策する・完璧にするといったことを決めるとよいでしょう。

1週間の目標では、1か月の目標で決めた目標を達成するために、参考書の〇ページから〇ページまでやるといった具体的な内容を決めるとよいでしょう。

自己管理が難しいと感じたら、親や友人などにも自分の目標を共有し、その日の目標を達成できているか確認してもらうというのも一つの手です。

また、親や家族の生活リズムに合わせるように意識してみることで、生活リズムが崩れにくくなるのではないかと思います。

このように、自分で自分の生活リズムや健康を考慮した上で、やるべきことを着実にこなしていく自己管理能力は、今後の人生でも重要になるので、大学生になる前のこの時期から身に着けておくとよいでしょう。

周囲に精神的に頼れる人や仲間をつくっておく

辛いときには自分だけの力で乗り越えることが厳しい場合があります。

そのようなときに頼れる人や仲間をつくっておくとよいでしょう。

自宅で一緒に生活している親などの家族の方は、関係性にもよりますが心強い味方になるでしょう。勉強が上手くいかないときや、模試の結果で落ち込んでいるときも、励ましてもらうことで立ち直るきっかけになるはずです。

また、既に合格した大学の友人や、同じくRe受験で予備校に通っている友人でも受験勉強の質問に答えてもらえることはできるはずなので、協力してもらうことは十分できます。

さらに、今はSNSを通じて同じRe受験仲間を見つけることができるので、情報を共有したり、孤独を解消することができるかもしれません。

仲間と勉強をすすめていくことで、一人で受験勉強するよりもモチベーションが格段に上がり、受験勉強の質の改善につながるため、受験仲間をつくることをおすすめします。

まとめ

予備校に通いながらRe受験するにしても、自宅Re受験をするにしても、どちらにもメリットとデメリットがあります。

自宅Re受験は、自己管理が大きな壁となりますが、自己管理さえどうにかすることができれば、予備校よりも充実したRe受験生活を送れる可能性があります。

また、しっかりと自宅でRe受験勉強することができたなら、ただ勉強する力がつくだけでなく、自分を管理できる人生において必要な能力がついたことになります。

自宅Re受験は必ずしも簡単なものではないかもしれませんが、自宅Re受験で成功する人もいます。

自宅Re受験に少しでも興味があるなら、「自宅Re受験は難しそうだからやめよう」と安直に判断するのではなく、まずは自宅Re受験に対する理解を深めましょう。

その後道を決断したら、「選んだ道を正解にする」というマインドセットで、自分の人生を切り拓くために頑張ってください。

なお、「選んだ道を正解にする」含めたその他の受験に役立つマインドセット(考え方)は、こちらのページでも紹介しているのでぜひご覧ください。

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