
「親として受験生の子どもにどう接すれば良いかわからない。。」
と悩んでいる方は多いでしょう。
志望校へ合格するには、もちろん受験生の努力が欠かせません。しかし、それだけではなく親のサポートも鍵となってきます。
受験生の子どもは人生の岐路に立っています。将来に大きく影響する戦いのなかで、「自分は合格できるのかな。。」と不安になる子どもは多いです。
精神面で安定するために、そして無事志望校に合格するためにも、親は子どもに対して特別に配慮する必要があります。
今回は、「親が受験生の子どもにできること」「Re受験生に必要なサポート」を解説します。
この記事を読めば、受験期間中の子どもに対して何をすればよいかがわかるようになります。子どもへのコミュニケーションの取り方やサポート、そして万が一不合格になってしまったときの接し方を知りたい方は、必見です。
親が受験生の子どもにできること

受験で戦うのは子ども本人ですが、サポートする側として親が受験生の子どもにしてあげられることはたくさんあります。
ここでは、受験生の子どもに対してできることを4つ紹介します。
大学受験の仕組みと志望校の情報を知る
子どもが受験生になったら、まず大学受験の仕組みや志望校の情報を調べてみて、把握してください。学校や本人任せにするのではなく、親も知っておく必要があります。
特に知っておきたいのは以下の2つです。
- 志望校の情報や入試形式
- 大学入試のスケジュール
子どもが志望している大学や学部の調査は欠かせません。どのようなことを学べるのか、就職先はどのようなところがあるのか、強みは何かなどを調べてみましょう。大学公式ホームページや受験生向けのサイトで情報を集めることができます。
そうした情報を集めることで、子どもと受験の話を深くできたり、将来についての相談に乗れたりするようになります。
受験形式も重要です。最近は筆記試験だけではなく、面接や小論文による試験も増えています。形式によって、「同じく面接形式で受験できる大学を併願しよう」というような受験の戦略や、受験の対策の仕方が変わります。
子どもからの相談に乗れるようにしておくためにも、あらかじめ把握しておきましょう。
子どもが受ける大学に合わせた、スケジュールの把握も重要です。スケジュールを把握すれば、入試の手続きなどを手伝うことができます。何月何日に入試があるのかをリストアップしてカレンダーにまとめるなどしておきましょう。
子どもと受験の話をする
子どもとは、積極的に受験の話をできるとよいでしょう。
「受験の話をする」というのは、「ちゃんと勉強しているのか?」と指摘することではありません。どこの大学に行きたいのか、何の科目を使うのか、いつ試験があるのか、大学合格後に何をしたいのかといった受験全体に関わる話をして、関心をもつことです。
このような会話は、親が子どもをサポートするのに役立ちます。例えば、似た科目で受験できる併願校を探したり、子供がしたいことを叶えられる別の大学を提案したりもできます。
子どもからしても、親が受験のことを知っていると相談がしやすいです。受験の基礎知識や前提条件がない人に、最初から説明するのは骨が折れます。親子で情報を共有しておくことで、子ども側から親にしてほしいサポートをお願いしやすくなりますし、話し合いや相談をしやすくなるでしょう。
“積極的に”とは言いましたが、あまりにも受験の話ばかりでは子どももうんざりしてしまうかもしれませんので、タイミングやバランスには気を配りましょう。
ただし、「精神的にプレッシャーがかかっている子どもに受験の話をしない方がいいのでは?」と考える人もいるかと思いますが、実は、受験の話をできた方が子どもも楽になることがよくあるので、ここで挙げさせていただきました。
受験費用の準備
大学受験にはさまざまな費用がかかります。いくら費用がかかるのかを計算したうえで、準備をしておきましょう。
受験費用で代表的なものが塾代です。毎月の塾代だけでなく、夏期講習や冬期講習、模試などの費用もかかってきます。塾代は塾や予備校によってピンキリですが、一般的には大きな費用となってきます。
受験料も必要です。大学入学共通テストの受験には以下の検定料がかかります。
- 3教科以上の受験(成績通知あり):18,800円
- 3教科以上の受験(成績通知なし):18,000円
- 2教科以上の受験(成績通知あり):12,800円
- 2教科以上の受験(成績通知なし);12,000円
もちろん、大学ごとの受験料も払わなければなりません。併願校の場合、本命の志望校の合否結果が出るのを待たずして、合格後に入学金の支払いが必要になることも多いです。
大学の受験料については以下の記事でも解説しています。
大学入試にかかる費用は?受験料やそれ以外の費用はいくら必要?
本命の大学に合格した後は、入学金と初年度納付金を支払います。
入学金の平均額は、令和3年度では、国立大学で約28.2万円、私立大学は約24.5万円、初年度学生納付金の平均額は国立大学約53.5万円、私立大学で約135.7万円でした。
参考:文部科学省 国公私立大学の授業料等の推移
参考:文部科学省 令和3年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について
他にも、塾など家の外で長時間勉強していれば食費も発生するでしょうし、遠方で受験する際の交通費や宿泊費などもかかります。オープンキャンパスに行くとしたら、オープンキャンパス自体は無料ですが大学が遠方にあれば交通費や宿泊費が必要です。
栄養バランスの良い食事を提供する
受験を成功させるためには、健康の管理が重要です。
栄養バランスの良い、健康を維持できる食事を提供しましょう。
食欲の落ちる夏には素麺など食べやすいもの、寒い冬には鍋など体が温まるもの、というような細かな気遣いもあれば、受験生の子どもも嬉しいかもしれませんね。
特に、入試が行われる冬は感染症が流行しやすいです。栄養バランスの良いものを食べてもらい、免疫力を高めた状態で入試に臨めるようにサポートしていきましょう。
受験生の健康管理については以下の記事でも解説しております。
参考:Re受験生の健康管理
Re受験生に必要なサポート

Re受験生には、現役生とは違ったサポートや気配りも重要になります。Re受験生ならではの悩みもありますので、親は臨機応変に対応する必要が出てきます。
ここからは、受験生のなかでも特にRe受験生に必要なサポートを紹介します。
不合格の不安を受け止める
前の年の入試で志望校に落ちてしまった場合、子どもの心には傷が残っていることも多いでしょう。定期的に思い出してしまい、ショックがぶり返したり、「どうせ自分は受からない」とネガティブになったりするかもしれません。
落ち込んだ状態が長く続くと、日々の勉強や次の入試に響きます。親は子どもの気持ちに寄り添い、できる限り話を聞いて受け止めてあげるようにしましょう。
大きな挫折を乗り越えるには時間が必要です。しかし、近くで支えてくれる人がいれば、より早く回復します。子どもの不安を受け止めて、受験を乗り越えるための支えになりましょう。
良い話し相手になる
Re受験生は、現役生よりも接する人の数が少なくなります。高校での生活がない分、友達と話したり遊んだりする時間も短くなるでしょう。
そのため、日ごろの人とのコミュニケーションにおいて親が占める割合が増えます。保護者としてだけでなく、友達や仲間のような話し相手としての役割も求められるかもしれません。
受験で不安なときは、話を聞いてもらえるだけでも気持ちが楽になるものです。勉強の話だけでなく、趣味や友人関係などについてのたわいもない話もできるとよいでしょう。また、未来の大学の話をすることで、子どものモチベーションアップにつながるかもしれません。
寄り添ったり共感したりしつつ、良い話し相手になるよう心がけましょう。
生活リズムを整える
Re受験生は、高校への通学がない分生活リズムが乱れやすいです。ついつい夜更かしをしてしまったり、朝起きれなかったりする人も多いです。
正しいリズムで生活できるように環境を整えましょう。食事の時間や入浴時間を調整する、朝起きたい時間を聞いて起こしてあげるなどは、親にできるサポートです。予備校が午前中に空いていなければ、朝から使える自習室やカフェを調べるのも一つの手です。スマホの触りすぎで夜眠れない場合は、子どもの同意を得たうえで親が預かってあげてもよいでしょう。
いずれのサポートも、無理やり行ってはいけません。あくまでも、本人の希望なども確認しながら、対話を通じて行うようにしてください。
お金の話はしない
Re受験生は、もう一度受験勉強を行うため、現役で大学に行く場合よりもお金がかかります。塾・予備校代、模試代、日々の食事代など挙げ出したらきりがありません。
だからといって、親が子どもに対してお金の話をするのは避けましょう。基本的に、お金の面は子どもにはどうしようもできない範囲です。親が「お金ばっかりかかる」と愚痴を言っても、子どもが支払えるようになるわけではありません。子どもが「親に迷惑をかけている」とネガティブになり、精神面に悪い影響も出ます。
Re受験を認めた時点で「お金はかかるもの」と割り切り、受験生本人にお金の話をしないようにしましょう。
受験生の子どもへの最適な接し方

人は一人一人違うため、全ての人間に通じる完璧な接し方はありません。
しかし、受験生に対して「このように接した方がよい」「この接し方は避けるべき」といった接し方の基本方針は存在します。より良い接し方を心がけることで、子どものメンタルを健康に保てたり、子どもが最大限のパフォーマンスを発揮できたりします。
ここでは、受験生に対するおすすめの接し方を紹介します。自分の子供の性格や価値観を踏まえて、効果的な方法を選択していきましょう。
頭ごなしの指示をしない
「勉強しなさい」「早く起きなさい」「このままだと落ちるよ」といった言葉を言いたくなるかもしれません。このような言葉は、子どもを心配するからこそ出てくるものといえるでしょう。
しかし、このような頭ごなしの指示は子どものメンタルに悪影響を与えます。子どもの中で「うるさい」「そんなことはない」という反抗心も生まれ、親子喧嘩の原因にもなります。
子どもへの話しかけ方に悩む方は、声掛けの仕方を見直しましょう。頭ごなしの指示を避け、様子を確認したり、目的を再確認するような対話を持ちかけると、相手への伝わり方は変わります。
例えば、「頑張らないと志望校に落ちるよ」と言いたいときは、なぜその大学に受かりたいのかを聞くと良いでしょう。「〇〇大学に行った後はなにがしたい?」と聞けば、合格後の生活について前向きな会話ができます。子どもも「合格するためには勉強しないと」という気持ちになるはずです。
子どもを信頼する
子どもを信頼することはとても重要です。「その大学は厳しい」「今までの成績では無理」のような、信頼をしていない発言は絶対にしてはいけません。
一番身近な親に信頼されていないと、子どもはやる気を失います。それだけでなく、「どうせ自分にはできない」と卑下してしまう恐れもあります。このようなメンタルでは、受験で望ましい結果を得るのは難しいです。「頑張っても無駄」という気持ちになり、努力を諦めてしまうかもしれません。
加えて、人間は、他人からの信頼や期待に応えようとする生き物です。今の学力と志望校の偏差値が離れていても、周りに「あなたならできる」と言われれば、できるかもしれないと思うようになります。自分に自信がつき、努力にもつながります。親からの信頼により、合格の可能性が高くなるのです。
この「信頼の力」は、科学的に実証もされています。詳しくは以下の記事で解説しております。
他人と比較しない
親や兄弟、子どもの友人といった他人と比較するのは避けましょう。「あの子は勉強ができるのに」「他の子はもっと勉強してるのに」といった言葉は、受験生のメンタルに悪い影響を与えてしまいます。
「負けてられない!」という気持ちが刺激される人もいるかもしれませんが、自己否定感や反抗心につながることが多いので、そうした言葉を口に出すことは控えた方がよいでしょう。
注意すべきは「周りよりも頭が良い」のような、本人を持ち上げる比較です。ポジティブな比較に感じるかもしれません。しかし、本人の成績が下がったときに「周りよりできなくなってしまった」と不安感が強くなるといったデメリットがあります。
他人と比較して得た自信や自己肯定感は、「他人に負けた」と感じた瞬間崩れてしまいます。褒めるときは「昔より勉強している」「前よりできるようになった」と過去の本人と比較するようにするとよいです。
成績への干渉は避ける
子供の成績にはついつい口を出したくなるものです。
成績について親に言われると、子どもはどうしても反抗したくなります。大学受験の勉強に関して多少調べていたとしても、「どうせ親なんて素人のくせに」と子どもは思っていることもよくあります。成績面は教師や塾の先生などのプロに任せて、親からの干渉は極力避けた方がよいでしょう。
親としての役割は子どもの心身のサポートです。子どもの普段の生活を支えたり、精神的に不安なときに相談に乗ったりすることに尽力してください。
進路は子どもの希望を最優先
親心から、子どもの進路を決めてしまいたくなるかもしれません。有名大学や堅実な職に就ける学部に進んでほしいと思うのは仕方のないことでしょう。
とはいえ、子どもの人生は本人のものです。どの進路を選ぶのかはあくまでも本人の希望を最優先してください。
親として納得できない大学や学部を選んだとしても、否定しないようにしましょう。子どもの希望や夢に寄り添い、応援し続けてあげることが最重要です。
ただし、子どもが楽をしたいという気持ちから安易な道を選んだときは注意が必要です。否定しないように心がけつつ、子どもの意見を聞き、将来的にどうしたいのかを確認しながら、より良い選択肢を親子で考えていきましょう。
アドバイスをする際も、子どもの考えを踏まえ、大学受験の事情や最新情報を調べたうえで行うようにしましょう。
子どもが志望校に落ちてしまったときは?

どれだけ努力をしても、志望校に100%受かるわけではありません。落ちてしまう可能性もあります。
子どもが志望校に落ちてしまったとき、親としての対応を間違えると、ショックから立ち直れなくなることがあります。子どもが少しでも早く不合格という挫折を乗り越えるためには、どのような接し方をすればよいのでしょうか。
この記事の最後に、子どもが志望校に落ちてしまったときの親がすべき対応を3つ解説します。
第一志望に行くことが全てではない
受験勉強を続けていると「第一志望に行くことが全て」と思い込みやすいです。そのため、第一志望に落ちてしまったときに人生が終わってしまったかのような錯覚に陥ってしまうことがあります。
確かに、子どもにとって「どこの大学に行くか」は非常に重要かもしれません。
しかし、大学への合格は人生のゴールではなく、あくまでも通過点です。人生は大学入学後も続きます。良い大学に合格したからといってその後の人生が確実に良くなるとはいえませんし、反対に大学受験に失敗したからといってその後の人生が良くなっていくこともありえます。
もし、大学受験がうまくいかなくても、その先で努力をすればいくらでも良い人生に変わります。親子で結果を受け入れたうえで、「第一志望合格が全てではない、改めて今後の目標を決めよう」といった前向きな言葉をかけるようにしましょう。
子ども以上に落ち込まない
子どもは、「合格しないといけない」というプレッシャーのもと頑張っていました。そのため、不合格時には「合格できなかった」という事実が子どもに重くのしかかります。
そのような時に親が落ち込んでいる姿を見ると、期待に添えなかったという気持ちになり、子どもはさらに落ち込んでしまうかもしれません。
もちろん、親として内心落ち込むことはあると思います。しかし、その気持ちは隠しましょう。表に出さないようにして、すぐに子どもを励ます側に回りましょう。親が明るく前向きに接することで、子どもが立ち直るのも早くなるはずです。
今までの努力を肯定する
結果がどうであれ、子供が合格に向けて努力をした事実は変わりません。これまでの努力を認めて、褒めてあげましょう。
「もっと頑張ればよかったのに」といった責める言動は絶対にしてはいけません。責めたからといって結果が変わるわけではないうえに、今後の信頼関係にも影響が出ます。
まずは「お疲れ様」「今までよく頑張ったね」と労いの言葉をかけ、今までの努力を肯定してください。
まとめ
今回は、大学受験生の子どもを持つ親の、適切なサポートや接し方を紹介しました。
大学合格は、子どもの努力によってつかみ取ることができます。しかし、子ども一人だけで合格にたどり着くのは難しく、親を含めた周りの人の気遣いが欠かせません。
子どもは、親に支えられることで勉強面でも精神面でも安定します。子どもに対しては適切な接し方を心がけましょう。そうすることで、万全の状態で入試本番を迎えられるはずです。
子どものためにも、親として最大限のサポートを行いましょう!