
「あなたには無理だよ」
「そんなの叶うわけない」
自分の夢や目標を話した時、このように言われたことはありませんか。
夢や目標を否定し、壊そうとする人のことを「ドリームキラー」と呼びます。
聞き慣れない呼び名かもしれませんが、日常生活を送る中で、誰の周りにも存在するのが「ドリームキラー」です。
実際、両親や友人、先生や上司など、いつも身近にいる人が「実はドリームキラーだった」ということは珍しくありません。
今回は、そんなドリームキラーの解説とその特徴について紹介するとともに、ドリームキラーに遭遇してしまった場合の対処法や、出会わないための相談相手の選び方を伝授します。
ドリームキラーの与える負の影響は、かなり大きいのです。そうした人のせいもあり、「自分にはできないさ」なんて無意識に考えるようになったりします。
受験を成功させ、自分の人生の可能性を広げるにあたって、ドリームキラーへの対処法は大きな鍵であるといっても過言ではありません。
「私の両親、もしかしたらドリームキラーかも」
「私の友達、ドリームキラーっぽいな」
ドリームキラーに思い当たる人の参考になれば幸いです。
また、受験期だけでなく先の人生においてもドリームキラーはつきものです。処世訓として、ぜひこの機会におさえてください。
ドリームキラーとは

ドリームキラーとは、「人の夢や希望を邪魔する存在」のことです。
認知科学者の苫米地英人氏が提唱した心理学上の人格の一つで、否定的な言葉を発することで、相手の夢や目標を邪魔する人を指します。
ドリームキラーが生まれる理由や背景はさまざまありますが、代表的なのが「嫉妬や妬み」が原因になる場合です。
相手に対して嫉妬や妬みを持つ人が、「あいつに失敗してほしい」「あの人には幸福になってほしくない」という感情から、相手を否定するような言動を取るのです。
また、夢や目標を話す相手の心情を理解できなかったり、「どうせできるわけない」といった先入観が強い人、現実主義的で挑戦に消極的な人なども否定的な発言をしがちなため、ドリームキラーになりやすいです。
ドリームキラーは、自身の成長や努力への妨げになる場合が多いことから、もし身近に存在を確認した場合、なるべく早く距離を置く必要があるといえるでしょう。
参考:ドリームキラーにご注意を! 夢や目標を潰そうとする人との向き合い方
ドリームキラーの特徴

「人の夢や希望を邪魔する存在」であるドリームキラーですが、全員相手を貶めようとしているのか、というとそうではなく、相手のことを心配しているだけで、悪気はないにも関わらずドリームキラーになってしまうケースも存在します。
ここからは、そんなドリームキラーの特徴を、2つに分けて紹介します。
良心のドリームキラー
親や友人など、身近な人に多いのが「良心のドリームキラー」です。
例えば、受験を控える子供が「◯◯(学校)へ行きたい!」と言った際、親が「◯◯(学校)は難しいから止めときなさい」と言うケースや、友人が「あんたに◯◯(学校)は無理でしょ」と言うケースが当てはまります。
これらに共通しているのは「夢や目標を否定している自覚がない」点です。
親や友人などの否定的な発言の裏には、「受験に失敗して傷つかないようにしてあげたい」というような相手への心配があり、決して夢や目標を否定するつもりで発言している訳ではありません。
ですが、相手を心配するあまり、挑戦に対して否定的な言葉を並べてしまうことから、結果的に相手の挑戦意欲を奪ってしまい、ドリームキラーになってしまうのです。
また、発言者にチャレンジ精神がない(もしくはチャレンジをしたことがない)場合も、無意識に否定的な発言をするケースがあります。
このケースでは、発言者の過去の経験から、チャレンジが危ないとする意識があるため、無意識に相手の否定を行ってしまうのです。
良心のドリームキラーを無視したり無下に扱う必要はありません。しかし、発言を素直に聞きすぎると、自身の夢や目標へのモチベーション低下は避けられないため、鵜呑みにしないことが大切です。
なお、モチベーションを維持するための技術は以下の記事でも解説しています。
参考:モチベーションの技術
悪心のドリームキラー
一方で、特に学校で多かったりするのが「悪心のドリームキラー」です。
例えば、「仲は悪くないが、自分に対してライバル心を抱いている人物」などがそうなるでしょう。
友達と受験に関する話題を話している時に突然話の中に入ってきて、「◯◯(学校)は難しすぎるでしょ」や、「◯◯(学校)よりも△△(学校)の方が向いてるよ」と、一見アドバイスのような発言をしてくるといったケースが当てはまります。
これらに共通しているのは「意地悪で夢を壊そうとする」点です。
「悪心のドリームキラー」は、表面上はよい人を演じるため、相談には親身に乗ってくれます。しかし、内心ではライバルが成果を挙げることを嫌い、蹴落とすことを考えているため、意図的に夢や目標を否定する発言を行います。
前述の「良心のドリームキラー」と異なり、相手を心配する気持ちは一切なく、ただ邪魔をするために発言していることから、もし遭遇してしまった場合は素早く距離を置く必要があるといえるでしょう。
参考:ドリームキラーにご注意を! 夢や目標を潰そうとする人との向き合い方
ドリームキラーの対処法

ここまでドリームキラーの特徴について述べてきました。
特徴を知ることで、ドリームキラーを発見したり、気付いたりするのは早くなるはずです。しかし、前述のように家族や教師、クラスメイトなどがドリームキラーになるケースも多く、日常生活を送る中でドリームキラーと全く会わないようにするのは現実的ではありません。
では、もしドリームキラーが周りにいる場合、ドリームキラーに出会ってしまった場合、自分を守るため、どのような対処をすればよいのでしょうか。
ここからは、そんなドリームキラーへの対処法を4つ紹介します。
なるべく相談しない
1つ目の対処法は「なるべく相談しない」です。
普段から自分の夢や目標について、人に相談することは良いことです。夢や目標を人に伝えることでやる気を出す方法も存在します。しかし、相談をすればするほど、ドリームキラーに出会う確率は上がってしまいます。
また、相談をすることで「悪心のドリームキラー」に夢や目標が知られてしまい、嫉妬や悪意から否定的な発言ばかりされた結果、夢や目標を邪魔されたり、諦めざるを得ない状況に追い込まれるケースも考えられます。
そのため、夢や目標は積極的に相談せず、なるべく自分の心の中に留めておくことが、自身を守る手段になるのです。
ただ、進路相談を教師や両親に全くしないのは現実的ではなく、どこかのタイミングで自分の意思を伝える時期が訪れます。
なので、教師や両親がドリームキラーの可能性があるのに相談する必要が生じた際は、否定的な意見が来ることを覚悟しておいたり、後述のように真に受けないよう構えたり、自分の信念を確認しておいたりして備えるようにしましょう。
一人だけに相談するのではなく、必ず複数人から意見を求める
2つ目の対処法は「複数人から意見を求める」です。
相談相手を1人に絞った場合、相手がドリームキラーだった場合はその人の意見を鵜呑みにしてしまい、またその人の意見の正当性を客観的に考えることも難しく、結果として夢や目標を追う意欲が下がってしまうリスクがあります。
一方で、相談相手を複数人にすれば、ドリームキラーとそうでない人の両方から意見を聞ける可能性が高まり、それぞれの意見を比較しながらより多角的に考えることが可能です。
相談をする際は相手を1人に絞らず、複数人と行うことで、ドリームキラーから被るリスクを回避しやすくなるでしょう。
真に受けるのではなく、意見を聞いた上で前向きに解釈する
3つ目の対処法は「意見を真に受けず、前向きに解釈する」です。
相談相手がドリームキラーだった場合、良心的・悪心的に関わらず、間違いなく否定的な発言をされてしまいます。
これを真に受けてしまうと、夢や目標を達成できないのではないかという疑心が生まれ、自分の可能性が制限されてしまいます。しかし、真に受けるのではなく、自分なりに前向きに解釈することができれば、否定的な意見に染まらずに済むのです。
例えば「◯◯大学への進学は無理だと言われている。確かに今の学力だと危ういから、まず苦手部分をカバーして次の模試でいい成績を目指そう」といった風に、相手の発言から自分がすべきことを見つけ、一生懸命努力するのです。
この方法なら、ドリームキラーによる影響を最小限に留められるでしょう。
自分にとって「後悔しない選択は何なのか」を考える
4つ目は「後悔しない選択は何かを考える」です。
自分の夢や目標を相談することはもちろん大事です。ただ、相手の意見に従って行動したとしても、責任を取るのは自分です。あなたの人生に、相手は責任を取ることはできません。
仮に相談相手が言った通りの行動で失敗したとしても、「◯◯(さん)が言ったから」という言い訳は通用しません。だからこそ、最後は自分で決めることが重要なのです。
相談相手からもらった意見をもとに、自分が最も後悔しない選択をすること。相談が大事なのではなく、相談したうえで自分が何を選ぶのかが、最も大事であると胸に留めておきましょう。
こんな人に相談しよう

ここまでは、ドリームキラーへの対処法を紹介しました。
ただ、対処法が分かったとしても、誰にも全く相談しないということは難しいですし、1人で受験を戦うこともハードルが高いかもしれません。
一方、誰かに相談しようにもドリームキラーの影響を受ける可能性があり、どんな人の言うことを聞けばよいのか分からない人もいるでしょう。
ここからは、そんな人たちに向けて、相談するのにおすすめな人の特徴について紹介します。
客観的に考えることができる
まずおすすめなのは「客観的に考えることができる人」です。
物事を客観的に考える人は、自分ではなく相手の目線に立って相談を聞いてくれます。主観的な意見を極力排除してくれ、解釈ではなく事実を伝えてくれるため意見が受け入れやすいです。
一方で、物事を主観的に考える人だと、自分の経験や視点からの意見が中心になり、相談した場合でも参考にならない場合があります。
また、自分の経験、視点から得た知見を中心に相談へ回答するため、自身の過去の失敗を「相手も失敗するだろう」と考えがちで、発言も否定的になりがちです。
「この成績だと東京大学は無理でしょ。」
のような発言は、「無理」の根拠もなく、主観的。
一方、
「英語と数学の点数が平均以下だから、ここを改善できれば東京大学合格に近づけるかもしれない。」
というような発言は、事実に基づく客観性のある発言です。
こうした客観的な見方ができる人に相談できると、夢や目標そのままで、より達成に近づけるかもしれません。
相談相手を探す際は、普段の会話を観察し、相手の立場に立って話ができる人や、事実と解釈を分けて話している人を見つけて相談するのがよいでしょう。
想いに共感してくれる人
次におすすめなのは「想いに共感してくれる人」です。
自分の夢や目標を伝えた後、「すごくいい目標だと思う」「夢を応援するよ」と言ってくれる人は、背中を押してくれる意味でも相談相手に適しています。
ここで大事なのは「悩み」に共感するのではなく、こうしたい、やりたいという「想い」に共感してくれる人を探すことです。
悩みに共感してくれる人の場合、良心が働くことで意図せずドリームキラーに変化してしまう可能性があります。しかし、純粋に想いに共感してくれる人であれば、肯定的な意見を出してくれるので、自分自身への後押しになります。
また、共感を一方通行でなくお互いに行うことで、両方が応援し合うような状況を作り出せるため、自分だけでなく相手にもポジティブな影響を与えられるのです。
ポジティブがもたらす利点については以下の記事で解説しています。
特に自分の周りにドリームキラーが数多く潜んでいるような状況なら、共感を示してくれる存在は心強いでしょう。
普段の会話の中で「その気持ちわかる」や「私も同じこと思ってた」などの共感をよくしている人を見つけたら、躊躇せず相談してみてください。
前向きである
また、「前向きな人」もおすすめです。
普段から物事を悲観的に考えがちな人は、相談をしても返ってくる意見は否定的なものが多いため、ドリームキラーになりがちです。
しかし、前向きな人であれば、否定的な意見より肯定的な(希望の持てる)意見を重視して発言してくれるため、相談後に充実感を得られやすいです。
夢や目標を否定するのではなく、肯定してくれる人の存在は貴重で、仮に相談に対する明確な回答が返ってこなかったり、自分にとって参考になる意見が得られなかったとしても、前向きな話だけで気分が明るくなるため、そういった点で相談した行為自体が無駄にならないともいえるでしょう。
相談の際は、「この人は前向きな人だろうか」という確認はした方がよいでしょう。
同じ悩みを体験したことがあり、できればそれを乗り越えた人
最後は「同じ悩みを持つ(できれば乗り越えた)人」です。
例を挙げると、受験生時代を経験した人で、かつ「親に志望校を否定されたけど、頑張って勉強した結果志望校に合格した」ことのある先輩などが当てはまるでしょうか。
こういった人たちは「否定された時、どんな対処をしたのか」「目標達成できた勉強法は何だったのか」といった具体的なアドバイスを、自身の経験から語ってくれるため、話の内容を受け入れやすいのです。相談相手としてもってこいです。
また、「志望校を否定されながら挑戦したものの不合格。しかし、チャレンジしたことを後悔せず、失敗を前向きに捉え、次のステージに活かしている」先輩もまた、相談相手に適しています。
合格できた先輩から聞ける話の多くは「合格までにやって良かったこと」が中心になりますが、逆に合格できなかった先輩からは「合格までにやって悪かったこと」を聞くことができ、何を避ければよいのか、何をしない方がよいのか、という点で学びになるでしょう。
もしあなたの周りに上記のような先輩がいる際は、積極的に相談してみるのをおすすめします。
まとめ
身の回りに潜むドリームキラー。この人たちの存在に影響を受け、無意識のうちに「自分には無理だ」「こんな夢叶うわけない」と思い込んでしまっている人がいるかもしれません。
しかし大事なのは、自分自身で「後悔しない選択が何なのか」を考えることです。
ドリームキラーの意見に「確かに」「最もだ」と思うこともあるでしょう。親や先輩など、自分より経験のある人からの意見なら尚更です。ただ、どんなに説得力のある意見を言われても、受け入れるかどうかは自分次第です。
仮にドリームキラーの意見に従い、自分の人生が失敗した(と思った)場合でも、その責任は自分にあり、相手に責任を押し付けることはできません。
こうした中で、より自分が満足できる人生を送るために必要なのが、「マインドセット」とも呼ばれる“考え方”で、受験だけでなく人生においても非常に大事な要素です。
なお、マインドセットは以下の記事で詳しく解説しています。
人生において、選択をするのは常に自分自身です。後悔のない人生を送るためには、考えることや決めることから逃げてはいけません。さまざまな意見を聞きつつも、自分にとって何が一番良いのかを考える。これができれば、人生は自然と輝かしいものになるでしょう。