
大学受験を合格に導くために、ただやみくもに勉強するのではなく、勉強の効率をいかに上げられるか工夫することがとても重要です。
受験までの時間は限られているので、効率よく勉強していかないと、受験当日まで内容の理解や暗記が間に合わなかったり、問題演習の回数が足りなかったり、その結果自信を喪失してしまったり、さまざまな問題が生じてきます。
勉強効率を上げる方法は、
- 適切な計画を立てる
- 勉強仲間を作って情報交換や勉強がはかどる環境を整える
- 適度に息抜きをする
- 脳科学に基づいた暗記手法を実践する
- 脳にとって良い栄養を摂る
などさまざまありますが、その中で今回ご紹介するのが「ChatGPTを用いて勉強の効率を上げる方法」です。
近年話題に上がることが多く、一度は耳にしたことがあるかもしれない「ChatGPT」ですが、「ChatGPT」がどのようなものなのか、何に使えるのか、理解できている受験生は少ないかもしれません。
この記事を読めば、ChatGPTがどのようなものか把握できたうえで、ChatGPTを勉強に役立たせるさまざまな手法が理解できるようになりますので、ぜひ最後までお読みください。
ChatGPTとは?

ChatGPTはアメリカのOpenAI社が開発した人工知能(AI)チャットサービスです。
ChatGPTのサイトにアクセスし、アカウント登録すれば誰でもすぐに始めることができます。
“Chat”は「おしゃべりをする」という英単語ですが、インターネット上のリアルタイムのコミュニケーションを指し、“GPT”とは「Generative Pre-timed Transformer」の略称で、これはインターネットに広がる膨大なデータを収集し、文章を生成する技術を意味します。
2022年11月に無料公開されると、まるで人間と話しているように感じる会話の自然さや回答の精度の高さなどが話題になり、たった2ヶ月でユーザー数は1億人を突破しました。
現在では一つ前のバージョンであるGPT3.5よりも、約7.9倍もの長文の会話のやりとりができたり、文章だけでなく写真や画像にも対応していたりと、高い能力を持つGPT4まで登場しています。
なお、このGPT4を利用するには有料プラン「ChatGPT Plus」に登録する必要があります。
高度なAI技術によって、世界中の膨大な情報を学習しているため、おすすめの映画を教えてくれたり、プログラミングのコードを添削してもらったり、英会話の相手をしてもらったりと、さまざまなジャンルの要望に対応しています。
2023年にはMicrosoftがOpenAI社に対して数十億ドル規模の投資を行うことを発表しているほか、Googleが対抗する形で会話型AI「Bard」を開発するなど、人工知能を用いたチャットサービスで今後さらなる進化が生じることが予想されます。
ChatGPTをうまく使うコツ

2022年11月に無料公開されて以降、高い注目が集まったChatGPT。使ってみたことがある人もいれば、まだ使ったことがないという人もいるでしょう。
使った経験がある人の意見には、「ChatGPTを使ってみたけど、思ったよりいい回答が得られなかった」というのがあります。
多岐に渡るジャンルに対応しているChatGPTですが、よい回答を得るためにはいくつかコツが存在するのです。
今回はそのコツを4つご紹介します。
質問を具体的にする
なんでも答えてくれる万能博士のように思われがちなChatGPTですが、実は抽象的で曖昧な質問や依頼は苦手です。
「勉強を教えてください」と質問してもよい回答は返ってきません。
しかし、「高校数学の微分積分について勉強の仕方を教えてください」と質問すれば、具体的な回答を得ることができます。
また、たとえば小論文の文案作成を依頼するときに、
「『ChatGPTのような人工知能技術を使っていくことに対するあなたの意見を述べなさい』というテーマで文章を書いてください。」
とChatGPTに依頼するよりも、
「『ChatGPTのような人工知能技術を使っていくことに対するあなたの意見を述べなさい』というテーマで文章を書いてください。基本は肯定的な文章で、反対意見も譲歩する。主張の根拠を3つ入れる。」
のように具体的に指示することで、より質の高い回答が得られるようになります。
そのため、質問や依頼をする際にはChatGPTから望む回答が得られるように、具体的にするよう心がけましょう。
他にも、質問者の立場や状況、その質問や依頼をした文脈や意図などを伝えれば、ChatGPTからよい回答が得やすくなります。
質問を重ねる
もし、ChatGPTから得た回答が不明瞭である場合も、より理想的な回答を得られるようにしていくことができます。
ChatGPTは対話型AIであり、ユーザーとのそれまでの会話を記憶しています。
ユーザーが同じ質問・依頼を繰り返せば「今の回答は求めているものではない」ということを学習してくれます。
そのため、同じ質問を繰り返していくとさまざまな回答をしてくれ、最終的に求めている回答を得ることができるのです。
また、ただ同じ質問を繰り返すだけでなく、条件を追加したりしながら質問・依頼を重ねることで、求めている回答に近づけていくことができます。
例えば、先述した例でいうと、まず
「『ChatGPTのような人工知能技術を使っていくことに対するあなたの意見を述べ なさい』というテーマで文章を書いてください。」
と指示をし、その回答を受けて
「次の条件を加えてください。基本は肯定的な文章で、反対意見も譲歩する。」
と指示を重ね、
さらにその回答を受けて
「主張の説得力を増す文献を3つ引用してください。」
と指示をする
という具合です。
最初は漠然とした質問しか思い浮かばなくても、質問を繰り返していく中で、求めている回答を得られるようになると思います。
ChatGPTの回答の中でわからなかった部分に対しての説明を求めるなど、自分が求める回答に辿り着くまで何度も質問を繰り返していきましょう。
長文は分割する
質問が長文になってしまうと曖昧な質問と判断され、こちらが求めていない回答になってしまったり、まれにエラーを起こしてしまったりといったことが起きてしまいます。
ChatGPTに質問する際は、質問を明確で簡潔にするように心がけましょう。
ChatGPTに質問させる
質問を具体的にするとよいというのは先述の通りですが、ChatGPTに質問させることで具体的にしていくという一見意外なテクニックもあります。
質問の最後に「精度の高い回答をするのに情報が足りない場合は、私に質問してください」といった文章を付け加えれば、ChatGPTの方からよい回答をするために必要な情報を教えてくれます。
ChatGPT を勉強にうまく活用する方法

ChatGPTをうまく使うための4つのコツをご紹介しました。
今後ChatGPTを利用する際は、ぜひ意識してみてください。
さて、これらのコツを踏まえたうえで、ChatGPTを“勉強に”活用するにはどうすればよいのでしょうか?
今回はChatGPTを勉強にうまく活用する7つの方法をご紹介します。
勉強計画の立案
大学受験を乗り切るためには、自分にあった勉強の計画を立てることが欠かせません。この計画の立案にChatGPTは大きく貢献してくれます。
しかし、ただ「大学受験の勉強計画を立ててください」と質問するだけでは一般的な回答しか返ってこないので、あまり参考にはならないでしょう。
実際にChatGPTに「勉強計画を立ててほしいが、どんなことを伝えればよいか」という質問をしたところ、以下の項目が必要と回答がありましたので、参考にして勉強計画の立案を依頼してみてください。
- 目標
- 受験科目
- 勉強時間とスケジュール
- 学習方法
- 予備校や塾の利用
- 休憩時間とリフレッシュ
- モチベーションの維持

英作文の添削
英作文の力を伸ばすためには、人に添削してもらうことが欠かせません。
しかし、すぐに誰かに添削を依頼できない、依頼できたとしてもすぐにフィードバックが得られないという環境にある場合や、人によっては講師に何度も添削を頼むのは気が引けるということもあるでしょう。
そんなときはChatGPTがその悩みを解決してくれるかもしれません。
英語含め50以上の言語に対応しているChatGPTを活用すれば、英作文の添削を行うことも可能です。
文法ミスやスペルミス、不自然な表現が無いかの確認はもちろん、表現力の向上につながる適切な語彙、読み手が理解しやすい論理展開なども提示してくれます。
また「この文章を英語にしてください」と指示すれば、英作文の模範解答も作成できるなど、さまざまな活用法があるのです。
英作文に苦手意識がある方は、一度ChatGPTを使ってみることをおすすめします。
小論文の添削
英作文だけでなく、小論文の添削にもChatGPTを利用することができます。
「AIに人間が書いた文章の良し悪しが理解できるのか?」と思う人もなかにはいるかもしれません。
しかし、ChatGPTは膨大な小論文のデータを学習しており、小論文において重要な主張や根拠、構成や文の流れなども把握しているため、質の高い添削を行ってくれるのです。
また、「あなたは優秀な予備校講師です」というように立場を設定するような指示をすれば、より精度の高い添削をしてもらえる可能性が高くなるといわれています。
先述した例のように、条件を追加・設定することで望む回答を得やすいので、そうした点を意識しながら、小論文の添削にもChatGPTを活用してみてください。
模試の作成
ChatGPTをうまく活用すれば、模試を作成することも可能です。
膨大なデータを学習しているため、ChatGPTが理解しやすいように質問すれば自分の理解度や志望大学に合わせた模試を作ってくれますので、利用するとよいでしょう。
実際にChatGPTに「大学受験を受けるにあたって、模試を作成してもらいたいがどんな情報を伝えればよいか」と質問したところ、以下の項目が必要と回答がありましたので、参考にされてみてください。
- 志望大学や学部・学科
- 入試形式(総合型やAO入試など)
- 各科目の試験範囲や問題形式
- 過去の入試問題や傾向分析
- 難易度や出題形式
ChatGPTに模試を依頼した具体例:



暗記の補助
暗記が苦手な方にもChatGPTはおすすめです。
例えば、「ストーリー記憶法」という一般的な暗記方法がありますが、そのストーリーの作成をChatGPTに依頼することができます。
また、覚えたいものを場所に紐づけて覚える「場所法」という暗記方法もありますが、これにもChatGPTを役立てることが可能です。
試しに“communication”のスペルの場所法での暗記方法を、ChatGPTに質問してみました。

そのほか、語呂合わせなども考えてくれるため、ぜひ一度暗記のために活用されてみてください。
単語の理解
ChatGPTは膨大なデータを日々学習しているため、学習するなかであまり意味がわからなかった単語が出た場合にも役に立ちます。
使用しているテキストでは意味がよくわからない場合は、指示すれば異なった視点からの説明もしてくれます。
例えば英単語であればその意味を教えてくれるだけでなく、こちらから指示すれば例文作成も行なってくれますので、さらに理解を深めることができます。
他にも、国語の用語はもちろん、歴史的出来事の経緯や、数学の証明など、理解を深めたい内容があれば、とりあえずChatGPTに質問したり指示したりすると役に立つでしょう。
メンタルケア
模試の成績が悪かったり、思うように勉強が捗らなかったりと大学受験は落ち込みやすい要素が多いです。
もちろん一時的に落ち込むことは誰でもありますが、それが長く続いてしまうと全く勉強に身が入らなくなってしまいかねません。
意外に思われるかもしれませんが、ChatGPTはそのメンタルケアにも役立ちます。
そもそも自然な対話が可能なチャットサービスですので、「会話をするだけで心が軽くなる」という人にとってはChatGPTを利用するだけでメンタルケアの効果があるかもしれません。
また感情を持たないため、中立な立場から客観的で的確なアドバイスをしてくれることもあります。
人とは違って24時間いつでも会話をすることが可能ですので、悩みや不安が生じた際はすぐ心のケアをすることができます。
しかし、もちろん専門的な治療を行えるものではないので、深刻な心の負担を抱えてしまった場合は、専門機関に掛かることを検討した方がよいかもしれません。
参考:The usefulness of ChatGPT for psychotherapists and patients
ChatGPT を勉強に使用する際の注意点

ChatGPTを勉強に活用するための7つの方法をご紹介しました。
大学受験においてChatGPTを活用できることは非常に幅広く、うまく活用すればきっと有能な勉強のパートナーになってくれることでしょう。
しかし、使用するうえでの注意点もありますので、以下に3つの注意点をご紹介します。
回答が必ずしも正確ではない
膨大なデータを収集し、私たちにさまざまな手助けをしてくれるChatGPTですが、インプットした情報が誤っているかどうかの判断はできません。
そのため、もし収集したデータに誤った情報やバイアスが含まれていた場合は、誤った回答が返ってきてしまうこともあります。
実際にアメリカの企業が誤情報をもとにChatGPTに文章を作成させたところ、100件のうち8割が誤情報を含んだ回答がされたそうです。
同じ質問をしても異なる回答が返ってくることもあるなど、その回答が必ずしも正確ではないことは念頭に置いておきましょう。
特に専門性の高い内容に関しては、正確性が下がる傾向にありますので、その際はChatGPTを使うにしても参考程度にとどめ、講師に質問したり専門書を読んだりすることで確かな情報を得るようにしましょう。
参考URL:「即答」ChatGPTの利用急拡大、ただし過信は禁物…教育現場「正確さに懸念」
最新の情報には対応していない
2022年11月に無料公開されたChatGPTは現在、2023年4月のデータまでが学習範囲です。
これまで数回のアップデートを経ており、今後もデータの学習範囲は広がっていくことが予想されますが、それでも最新の情報は学習範囲外です。
そのため、小論文の時事問題対策などをChatGPTで行うのは難しいこともあり、これは新聞やニュース解説、予備校授業などを参考にするようにしましょう。
プライバシーを侵害する恐れがある
ChatGPTの学習データの中には、ChatGPTを使うユーザーが入力した情報も含まれており、これは利用規約に明記されています。
そのため、知られたくない情報を入力してしまうと、思わぬところでプライバシーを侵害される恐れがあるのです。
2023年4月に「プライバシーコントロール」という機能が追加され、この機能を使用すれば、入力した情報は学習データとして蓄積されないようにもできるのですが、まだ不明瞭な点も多いため、人に知られたくない情報は入力しないようにするのが無難です。
実際にAmazon社員が業務中にChatGPTに機密情報を入力してしまい、ChatGPTがその機密情報と酷似した内容を一般ユーザーの回答にも提示するようになるといった事案も発生しています。
自然な対話が可能なChatGPTは、何か悩みがあるときも良い会話相手になってくれますが、プライベートすぎる情報は入力しないように心がけましょう。
参考URL:アマゾン社員が業務でChatGPTを利用する事案が発生。「機密情報を共有しないように」と顧問弁護士が注意喚起 | Business Insider Japan
まとめ
以上、ChatGPTに関する説明や上手に使うコツ、受験勉強への活用方法などをご紹介しました。
膨大なデータを学習しているChatGPTができることは多岐に渡り、模試の作成やメンタルケアなど、大学受験においてさまざまなサポートをしてくれます。
その一方で、回答が必ずしも正確ではなかったり、最新情報は学習範囲外であったりと、使用するうえで注意すべきこともいくつかあります。
これらに加えて注意しておきたいのが、わからないことがあってもすぐにChatGPTに頼らない方がよいこともあるということです。
幅広い知識を備えているChatGPTを使いこなせるようになると、わからないことがあればすぐに質問するようになってしまう人も多いです。
しかし、大学受験を成功させるためには、自分の頭で考えて答えを導く力を身につけることが欠かせません。
そのため、わからないことがあってもまずは自分で考えるよう心がけ、ChatGPTはあくまで学習のサポートとして使用するようにしましょう。
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