
皆さんは大学の講義についてどのようなイメージを持っていますか?
高校の授業との違いがわからない」
「大学の講義についていけるか不安」
大学入学に向けて準備するなかで、このような悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。
大学生活について調べようとすると、「講義」「単位」「履修登録」など、高校では聞くことのなかった用語がたくさん出てきて混乱する方も多いと思います。
この記事では都内私立大学出身の筆者が、大学の講義について高校の授業との違いを比較しながら解説していきます。
大学進学に向けて、大学生活がどのようなものかをイメージできる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
大学の講義とは?

はじめに、大学の講義がどのようなものかを解説していきます。
大学の講義は、それぞれの学問の専門家である講師から、それぞれの研究分野に関する知識や理論などを教えてもらうという形式です。
高校までの授業よりかなり狭く深い、専門的な学習をしていきます。
大学では、答えが一つに決まっていない、あるいは答えがないようなものを学んでいくことが多いです。
学生は講義で得た知識をもとに新たな問いを立て、その答えを探究するために学習を進めていくようなことも増えてきます。
そして筆記試験やレポート提出、実技試験、プレゼン発表等によってその講義の内容を理解したことが証明されると、単位を取得することができます。
それでは、大学の講義の形式についていくつか紹介していきます。
好きな講義を選ぶことができる
大学では、「履修」や「履修登録」という言葉を耳にします。
「履修」とは、「大学が必要と定めた科目を修めること」であり、受けたい講義を大学に登録することを「履修登録」といいます。
学部・学科によって必修科目という必ず受けなければいけない講義も存在しますが、大学では多くの講義を自分で選んで履修することができるのです。
興味のある分野や都合のよい時間の講義を選ぶことができるので、学習面でも生活面でも高校に比べて自由度が増します。
そしてそのような形式のため、一般的に高校のようなクラスが存在せず、大学は講義ごとに出席している学生が異なります。
東京大学のようにクラスが存在することもありますが、クラスで受ける授業は必修科目のみであり、高校に比べてクラスでいる時間は減ります。
1コマ90分以上であることが多い
高校までの授業は、1コマ50分前後であるのに対し、大学の講義は一コマ90分前後であることが一般的です。
近年では100分、105分の大学も増えてきています。
例えば東京大学や学習院大学などでは105分授業を取り入れています。
逆に国際基督教大学は1コマ70分と比較的短い授業時間です。
高校よりも倍近い時間になるので、集中力を持続する必要があります。
授業をするのは専門家
冒頭で解説したように、大学で講義を受け持つのはそれぞれの分野の研究をしている専門家の方々です。
教授、准教授、助教授、講師などそれぞれ立場は違いますが、共通していることは、学生を教育するのが本職である高校までの教師とは違い、あくまで研究が本職であるということです。
高校の教師は、教員免許を取得して文部科学省が設定した学習指導要領に基づいて授業をするため、高校生は全国的におおよそ同じ内容を学習しています。
それに対し、大学の教員は必ずしも教員免許が必要でなければ(大学院を卒業して博士号を取る必要があります)、学習指導要領も設定されておらず、同じ名前の講義であっても教員によって内容が大きく異なることがあります。
このように大学の講義は一コマの時間が長いうえ内容も専門的になるため、自主的かつ能動的に学習していくという意識がより大切になってくるといえます。
その代わり好きな講義を選んで受けることができ、より充実した時間を過ごせると思います。
大学の講義と高校の授業の違いとは?

これまで大学の講義とはどんなものかを見てきました。
それでは、高校の授業とはどのように違うのでしょうか?
一つ前の章で講義の形式についてはお話したので、ここでは講義と授業の評価方法や受け方の違いについて紹介していきます。
授業を受けただけでは卒業できない
設定された時間割に沿って授業を受け、基本的に学校に出席し試験を受ければよかった高校までとは違い、大学では授業を受けただけでは卒業できません。
期末試験やレポートなどである程度の評価をもらい、授業の内容を理解していると認めてもらわなければいけないのです。
十分な評価を得ると単位が取得でき、必要数の単位を取得することで大学を卒業できます。
「単位」とは、試験やレポート提出などでその講義の内容を理解していると認められた際に取得できるものです。
そして、授業を受けるだけでは一般的には取得できません。
学生は卒業までに必要な単位数を把握し、どれくらいのペースで単位を取得すればよいのかを考えたうえで自分の時間割(履修)を決めなければなりません。
授業を受けさえすれば単位を取得できるわけではなく、また卒業ができるわけでもないという、卒業へのハードルがあることが一つの違いです。
評価方法が講義によって異なる
高校の授業は基本的には学期末のテストによってその学期の成績が決まりますが、大学の講義の評価方法はテストだけではありません。
大学の評価方法は筆記試験のほか、レポート試験、実技試験、プレゼンテーションなどさまざまあり、出席率が加味されることもあります。
レポート試験は、講義で学んだ内容に関して文章をまとめて報告する試験です。
レポートの内容は、資料を読み学んだことを報告するもの、講義内容に関連したテーマについて自分の主張を論じるもの、実験を行い結果と持論を報告するものなどさまざまです。
教室に足を運んで受ける試験ではなく、期日までにそれぞれでレポートを作成し提出する形式です。
実技試験、プレゼンテーションは、講義で身につけた技術を試験場で審査されるという形式の試験です。
内容は英語のスピーチ(国際系の大学・学部・学科)、ダンス(芸術系の大学・学部・学科)、模擬診察(医療系の大学・学部・学科)など幅広く、試験も学期末に行う場合と通常の講義内で行う場合があります。
このように大学の試験は講義によって大きく異なります。
具体的な対策方法は違っても講義の内容を深く理解するという根本的な対策方法は同じなので、まずは講義をしっかりと受けましょう。
受講は学生に委ねられる
毎朝出席を取られ、同じ教室で授業を受け続ける高校と違い、大学では講師から出席を確認されることは基本的にはありません。
講義ごとに課された小課題を提出したり、出席カードを提出したりして出欠を確認されることはありますが、欠席したからといって講師から連絡が来ることはほとんどありません。
ただし規定数以上欠席してしまうとどんなに期末試験の成績が良くても単位を取得できない授業もあります(講義によっては出席数が成績に影響せず期末試験の成績のみで評価される場合もあります)。
欠席数を記録していないと気づかないうちに単位を落としている可能性もありますので、注意が必要です。
出席数に問題のない範囲であれば講義の受講は学生に委ねられており、高校に比べて自由度が高くなります。
大学と高校で生活面ではどんな違いがある?

高校の授業と大学の授業では受講方法や成績評価に大きな違いがあるということを解説してきました。
それでは、生活面ではどのように違いが出てくるのでしょうか。
代表的なものを一つずつ見ていきましょう。
スケジュールを自由に組むことができる
大学では好きな講義を自由に選択することができるため、ある程度スケジュールを自由に組むことができるようになります。
例えば、月曜日から木曜日までに多めに講義を取り、金曜日と土曜日に一つも講義を取らなければ、金土日と三連休を作ることも可能です。
うまくスケジュールを組むことでサークルやアルバイト、習い事など、大学以外にも時間を割くことができるようになります。
スケジュールを自由に組めるうえ、講義の出欠も自分で管理することになるので、時間を上手く活用し大学生活を充実させられるかどうかは本人に大きく委ねられます。
社会人になると拘束される時間は増え、なかなかやりたいことに時間を割けなくなることが多いので、大学生のうちにやりたいことをたくさんやりましょう。
人間関係も自由
固定されたクラスでずっと授業を受け続ける高校までとは違い、大学では講義やコミュニティごとに人が変わります。
そのため高校までより人間関係も自由になります。
大学生は大学内にとどまらずアルバイトなど学外で活動する機会も増えます。
そうすると、年齢や境遇がバラバラな人たちと接することになります。
さまざまなバックグラウンドを持つ人と出会えるので価値観が変わるなど良い面がある一方で、苦手な人と出会うようなこともあるでしょう。
距離をとりたい人がいればアルバイトを辞めるなどして対処することができるので、人間関係に関するストレスを調整しやすいです。
一人暮らしをする人も
大学生になるにあたり、実家とは離れた大学に進学を決めて一人暮らしを開始する人もいます。
日本学生支援機構(JASSO)によると、約半分の学生が一人暮らしをしているそうです。
一人暮らしをすることで、生活費などお金の計算や、家事など自分で生活をする能力が身につきます。
また家族の時間に合わせることなく自由な時間が増えるので、より大学生活を満喫することもできるかもしれません。
しかし実家にいるよりも家賃や生活費などでお金がかかるうえ、これまで家族がしてくれていたような家事もすべて自分でやらなくてはならないため負担が増えるというデメリットもあります。
大学に入学し一人暮らしを検討している方は、以下の記事も参照してみてください。
大学でのおすすめの過ごし方

大学生活は高校までと比べて格段に自由度が増すということを解説してきました。
それではどのように大学生活を送ればよいのでしょうか?おすすめの大学での過ごし方を紹介していきます。
サークル、部活動に参加する
大学での代表的な過ごし方として、サークルや部活動に参加するという方法があります。
大学のサークルは高校までの部活動と違い種類が豊富にあるので、サークルに所属することで似た趣味の人と出会うことができます。
高校の部活動と同じように1つの目標に集中して打ち込みたいという人は、部活動を選択するのもよいでしょう。
サークルに比べて練習がハードであることが多いですが、その分部員との強い絆が生まれるのも魅力の一つです。
講義以上に学年や学部の枠を超えてさまざまな人と出会うことができるので、人間関係を広げることもできるでしょう。
アルバイト、インターンをする
大学生活の中でサークルと並ぶ代表的なものとしてアルバイト、インターンがあります。
アルバイトとインターンはどちらも働いてお金をもらうというものですが、インターンの方がより会社員に近い実践的な業務を行う、といったイメージです。
自分でお金を稼ぐという経験をすることで、お金の使い方に対する意識が変わったり、社会に出る前に社会常識やマナーを学ぶことができたりするのも大きなメリットです。
また、そのような経験は就職活動に大いに役立ちます。
将来就きたい職業が決まっている人は、その分野に近いアルバイトやインターンをすることで、就職活動を有利に進めることができるでしょう。
一方、将来就きたい職業とはかけ離れたアルバイトをしてみるというのも、学生のうちにしかできないので貴重な経験になるかもしれませんね。
大学の施設を積極的に利用する
大学生活というと、自由な時間が増え大学の外での過ごし方を工夫するイメージが大きいかもしれませんが、大学の中にも魅力はたくさんあります。
広義の意味では、大学の学費には施設の管理費も含まれているため、施設を積極的に利用しないともったいないですよね。
大学の代表的な施設といえば図書館です。
大学の図書館には一般的な本のほか、公立の図書館にはないようなその大学の専門分野の資料も多く保管されているため、放課後や空きコマの時間を利用して行ってみると思わぬ図書との出会いがあり、価値観が変わったり視野が広がったりするかもしれません。
また大学の図書館には意外と雑誌や漫画、DVDなども多く保管されていますので、それらも図書館を利用することで無料で閲覧することができます。
図書館では保管された資料を利用するほか、自習室としても利用できるというメリットがありますので、空き時間ができたらとりあえず図書館に行ってみることで充実した時間を過ごせるかもしれません。
h3:留学、語学学習をする
株式会社レビューが行ったアンケート調査によると、社会人が大学生活の間にやっておけばよかったと後悔するものの上位に留学などの語学学習があります。
留学に行くことで実践的な語学力がつくのはもちろん、日本とは違った文化を体験することで視野が広がり、多様な価値観を得ることができるでしょう。
実践的な語学力は就活にも役に立つでしょう。
TOEICやTOEFLなど英語力を証明できる資格を受験し高スコアを取得していれば、就活のアピールポイントになります。
また企業によっては留学から帰ってきた学生を対象とした説明会を行う会社もあるので、その点においても大学生のうちに留学に行くことをお勧めします。
大学の制度を利用すれば、休学することなく留学をしながら在籍大学の単位を取得することができる場合もあるので、留学を検討している方はそれぞれの大学の留学制度をしっかりチェックしてみましょう。
参考:【調査レポート】学生の時にやっておけばよかったこと2位は「恋愛」でした!気になる1位の結果は? | 株式会社レビューのプレスリリース
まとめ
今回は、大学の講義について、高校までの授業との違いを比較しながら解説をしてきました。
大学の講義は高校の授業よりも専門的になり、一コマあたりの講義時間も倍近くになるのでより能動的に講義を受ける必要があります。
その代わり、自分の好きな講義を選んで受講できるので興味の赴くままに学業に励むことができるといえます。
大学生活はスケジュールの組み方、講義の出欠、一人暮らしの場合は生活面においても、ありとあらゆる場面で高校に比べて圧倒的に自由度が増します。
そのため自己管理能力が欠かせなくなります。
大学生活を充実したものにできるかどうかは自分次第です。
社会に出てから「大学の時にもっとたくさんのことをやっておけばよかった」と後悔している人はたくさんいます。
この記事を読んでくれた方の大学生活がより充実したものになるよう願っております。