
「受験勉強をしなければいけないのに、スマホが気になって集中できない」
「勉強をしようと思っていたのに、漫画を読み始めたら2時間経っていた」
受験生の方で、このように誘惑に負けて勉強に支障が出てしまっている方はいませんか。
それは自制心が欠けていることが原因である可能性が高いです。自制心とは、自分の感情をうまくコントロールできる精神力を意味します。
自分が勉強した分が結果に出る受験において、自分の欲望を抑えコントロールできるように自制心を鍛えることは最も重要な点の一つです。
そして自制心は人生を通じても必要となってきます。
この記事では塾に通わずに受験勉強をして都内の大学に複数合格した筆者が、自制心を鍛えて誘惑に打ち勝つ方法を紹介します。
志望校合格のために勉強を頑張っているすべての受験生必見の内容となっておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
自制心とは?自制心を鍛えるメリット

はじめに、「自制心」という言葉の意味から解説していきます。
自制心とは、英語で「self-control(セルフコントロール)」と表し、感情や欲望を抑え自身の行動をコントロールしようとする精神力のことをいいます。一時的な欲望に流されることなく、長期的な目標の達成に向けて冷静に対処できる状態です。
言葉の意味を理解していただいたうえで、自制心があるとどのように受験勉強に影響するのか、自制心がある人の特徴と自制心を鍛えるメリットを解説します。
目標が達成しやすくなる
自制心があると、感情の起伏をコントロールし長期的な目標に目を向けることができるので「志望校に合格する」といったような長期的な目標を達成しやすくなります。大学受験というのは年単位での継続的な努力が必要です。合格に向けて必要なものとそうでないものとを冷静に見極め、感情や一時の欲望に流されることなく目標に向き合い続ける忍耐力が求められます。
そのために自制心を鍛えるということは必要不可欠です。
集中力が上がる
自制心があると目標に対して不必要なことを排除できるようになってくるので、雑念を取り除いて集中できるようになってきます。例えば大学で合格するために、受験に不必要なゲームや漫画といった娯楽を排除して勉強に集中できる、といったような具合です。
周りの人が遊びに行っていたり勉強をサボっていたりして羨ましいと思っても、そんな周りにとらわれず一つのことに集中できるという力は、勉強のみならずあらゆる場面で役立ちます。
他人から信頼されやすくなる
自制心がある人は感情の起伏を表に出さずに行動することができるようになるので、「あの人は穏やかな人で安心感がある。」と周りからの信頼を得やすくなります。どんな時も感情に振り回されることなく冷静に対応できるということは、周りから尊敬もされますし、自分自身の心の健康にもつながります。
すぐに怒ったり泣いたり感情的な人より、穏やかな人に頼み事をしたくなるのではないでしょうか。受験勉強だけでなく将来的に社会人になってからも、自制心のある人の方が任される仕事は多くなるでしょう。
心身健康でいられる
ストレスが溜まった結果暴飲暴食をすることで発散しようとして太ってしまった、というような経験をした人もいるのではないでしょうか。
これは感情のコントロールがうまくできずにストレスが溜まってしまった結果、食事という一時的な誘惑に負けてしまうという典型的な例です。
自制心があると暴飲暴食で得られる一時的な快楽よりも健康やスタイル維持といった長期的なゴールを見据えることができるようになります。
また感情のコントロールをしてストレスに対して冷静に対処できるようになってくるので、そもそもストレスを溜め込まないようになっていきます。
このように、自制心が鍛えられると受験勉強のみならず人生のあらゆる場面で役に立ちます。自制心の有無で人生が大きく変わるといっても過言ではないでしょう。
自制心が欠ける原因

自制心があると人生が大きく変わるとわかっていても、どうしても一時の甘い誘惑に負けてしまうこともあるでしょう。
なぜ自制心が欠けてしまうのでしょうか。いくつか原因を探っていきます。
ストレスを溜め込んでしまう
日常的にストレスを溜め込んでしまうと、コントロールが効かなくなり押さえ込んでいる感情が爆発してしまう原因になります。
またストレスを溜め込むと日々に余裕がなくなり視野も狭くなっていきます。視野が狭くなることで長期的な目標に目を向けられず目の前の誘惑にしか目がいかなくなってしまうので、自制心がない状態になってしまいます。
失敗した経験が少ない
失敗した経験が少ないというのはなんとなく良いことに聞こえますが、これも自制心が欠ける原因になってしまう可能性があります。
失敗した経験が少ないということは、挫折から立ち直るために努力した経験も少ないということです。
誘惑に負けずに努力したからこそ今まで失敗していたことに成功した、という経験があると自制心を持てるようになっていきます。
「失敗は成功のもと」というように、失敗や挫折から得られることは大きいのです。
自由でわがままに育った
上述した「失敗した経験が少ない」ということに関連していますが、幼少期にわがままが許される環境で育っていると、大人になってからも我慢することが苦手であることが多いです。
努力をしなくてもなんとかなっていたり、誰かが手伝ってくれていたりした人は、その場の誘惑を優先しても結果うまくいっていた経験があります。結果、やるべきことを先延ばしにしてしまうなど自制心が欠けてしまうことが多いです。
このように、自制心が欠ける原因は性格や環境に起因する可能性が高いです。
自制心の鍛え方

自制心が欠ける原因は、経験や環境によるものが多いということを解説してきました。
しかし長年の環境で欠けてしまった自制心も、トレーニングしていくことによって身につけていくことが可能です。受験勉強をしている今からでも、自制心を鍛えるには遅くありません。
いくつか紹介していきます。
自制心を鍛えるには、まずは内的に自分を変える方法を考えましょう。自制心を鍛えて自分自身の思考方法を変えられることで、受験勉強のみならず今後の人生においても自分を成長させることができます。
先ほど説明したように、長年の習慣で欠けてしまった自制心を鍛えるのは時間がかかることですが、必ず結果につながりますので諦めずに実践してみましょう。
以下の方法でうまくいかない方は、次のセクションで外的なアプローチから勉強が進む環境を作っていく方法も紹介しますので、そちらも参考にしてみてください。
スケジュールを立てて行動する
自制心を鍛えるにはまず、スケジュールを立てて行動することが重要です。前日の夜か当日の朝にその日のスケジュールを組むことで余白の時間を無くし、だらけてしまうのを防ぎます。
スケジュールやTo Doリストなどを書いたメモを見える場所に置いておくことで、その時自分がやっている科目の勉強を残り何分で終わらせなければいけないのか、常に計画を立てながら行動することができます。
一つ注意していただきたいのが、初めから厳しく細かいスケジュール立てをしないということです。無茶なスケジュールを立ててしまうと、スケジュールがずれてしまったときに立て直すのが難しくなり、スケジュール通りにいかなかったというストレスが生まれるだけになってしまいます。
自分が1日にできる勉強量を把握できるようになるまでは、フリータイムをスケジュールに組み込んでうまく調整できるようにしておきましょう。
「もし自制できず、誘惑に負けてしまったらどうなるか」を考える
次に、自制心を持たなかった場合を想像するという方法です。
例えば、「もし今勉強を辞めてゲームを始めたら」という想像をしてみましょう。今ゲームをすると、一時的にはとても楽しいですしリフレッシュにはなるかもしれません。
しかし志望校合格という長期的な目標を見据えて考えてみてください。ゲームをすることでその時間にできたはずの勉強をすることができません。
「たまたまその時間で勉強しようとしていた内容が志望校の試験に出てきてしまったら…」
このように想像すると、とても恐ろしくてゲームへと伸びていた手が止まると思います。
こうして一時的な誘惑に負けてしまったときに長期的な目標にどのように影響するかを想像することで、冷静な判断をすることができるようになっていきます。
小さな目標を立てて、達成し少しずつ自制心を鍛える
自制心を鍛えていくには、目標を達成するという成功体験が大きな糧になります。大きな目標を達成するために必要な小さな目標を考え、段階的に達成していくことで成功体験の数は増えます。
例えば、手帳や勉強ノートにその日1日の目標(英語の問題集を10ページ進める、通学中に日本史の一問一答を30問やる、など。)を書き出し、達成したらチェックマークをつけると、小さな成功体験が生まれます。
ここでも、自分のキャパを超えた難しい目標にするのはお勧めできません。あくまで簡単に達成できそうな目標にしましょう。
規則正しい生活を心がける
規則正しい生活を心がけることは、心身の健康を保つだけでなく自制心を鍛えることにも役立ちます。
目標にしていた時間にしっかりと起きることでスケジュールやその日の目標も立てやすくなりますし、思っていたより時間がなくて焦る、といったことも少なくなります。
自分の生活リズムを守るということ自体も、小さな目標達成につながり自制心を鍛えることにつながります。
「勉強は怠けてしまってはかどらないな。。」
と感じている人も、生活全般を見直すと他にも自制心が働いていないところがあったりします。
勉強以外のポイントから自制心を鍛えていくというのも効果がありますので、ぜひ自身の普段の生活も見直してみてください。
自制心を鍛えるには、以上のように小さな成功体験を積み重ねることが大切です。受験勉強において、成功体験を積み重ねるということはモチベーションを高く保ち続けることにも役立ちますので、ぜひ実践してみてください。
そもそもモチベーションがうまく保ち続けられない、という方には以下の記事がお勧めです。こちらも併せてご覧ください。
参考:モチベーションの技術 | Re受験バイブル “浪人”あらため“Re受験”へ。受験の再挑戦を応援。
自制心を鍛える以外の対処法

本来は先に紹介した内的に自制心を鍛える方法をお勧めしますが、受験勉強という長期戦において、どうしても誘惑に負けてしまう瞬間はあると思います。
ここでは、環境を整えることで外的なアプローチから誘惑に打ち勝つ方法をいくつか紹介していきます。
内的なアプローチと織り交ぜていく感覚、もしくは、内的アプローチがうまくいかなかった場合の応急措置のような感覚で捉えてご覧ください。
スマホを別室に置く
スマホを辞書やタイマー、電卓など勉強道具の一つとして使用したり、勉強の動画を再生したりして勉強机の上に置いている人も多いと思います。しかし、スマホは勉強だけでなくSNSやゲームなど、甘い誘惑となるものができる媒体でもあります。
世界的ベストセラー『スマホ脳』の著者、アンデシュ・ハンセン氏によると、人は手に届く範囲にスマホがあるだけで、脳がスマホの通知を無視することに無意識のうちに集中力の何割かを費やしてしまい、目の前のことに全集中を注げなくなってしまうそうです。タイマーや辞書などは個別のものを購入し、スマホを別室に置くことで集中力が削がれることなく勉強に集中できるようになります。
スマホは、現代社会において自制心が欠如してしまう大きな要因の一つです。『スマホ脳』はスマホが原因で自制心が欠如していく恐ろしさについて解説されていますので、スマホのせいで勉強に集中できないという方は参考にしてみてください。
図書館やカフェなど、環境を変えてみる
自室で勉強をしていると、どうしても部屋にある漫画やゲームなどに目がいってしまったり、ベッドに横になりたいという誘惑が出てくることがあったりすると思います。
その場合は、誘惑が少ない場所へと勉強場所を移してみましょう。物音がない場所が集中できるという場合は図書館や学校の自習室、多少の雑音がある方が集中できるという場合はカフェ、一人で勉強すると誘惑に負けてしまうという場合は家族の目があるリビングなど、それぞれのタイプに合った場所を探してみましょう。
一つの環境に飽きてしまったような場合にも、定期的に場所を変えてみることで、新鮮な気持ちで勉強ができるようになるのでそちらも試してみてください。
イヤホン、耳栓をつける
外部の雑音が気になって自制心が保てず集中できないという方は、イヤホンや耳栓をつけることをお勧めします。雑音を遮断することで、それまで脳が雑音を処理するために使っていた部分を勉強に使うことができるようになり、擬似的に自制心のある状態を作ることができます。
またイヤホンをして音楽を聴くということも一定の効果があります。例えば勉強を開始するときに同じ音楽を聴くというルーティンを作ることで、音楽を聴くだけで勉強をするスイッチが入れられるようになっていきます。また耳栓をするよりも雑音を遮断する効果が上がります。この効果を「マスキング効果」と言います。
音楽を聴きながら勉強をする時に注意をしなければならないのは、歌詞が気になってしまうような曲を聴くのは控えるということです。そのような曲は返って集中力が削がれてしますので、聴き慣れていて歌詞が気にならない曲や、クラシックなどの歌詞がなくリラックス効果が得られるような曲を選びましょう。
このように、外的環境を整えることで自制心をもつこともできます。内的に鍛えていくことが難しい場合はこれらの方法も試してみてください。
まとめ

今回は誘惑に打ち勝ち、自制心を鍛える方法を紹介しました。
自制心があると大学合格という目標に向かって集中できるようになり、目標達成がしやすくなります。また感情の起伏を表に出さないようコントロールできるようになるので周囲の人から穏やかな人だと信頼を得やすくなります。
このようなメリットは大学受験だけでなく社会に出てからも大変役に立ちます。自制心があるとその後の人生が大きく変わるでしょう。
自制心の有無は幼少期からの環境に起因することが多いので、なかなかすぐに鍛えることは難しいです。それでも心構えや外的環境を整えることによって少しずつ鍛えることができるので、ぜひ挑戦してみてください。
大学受験だけが人生の全てではありません。人生の長期的な目標を見据え、今から自制心のある人を目指しましょう。