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短大と専門学校の違いは?大学と何が違う?

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短大と専門学校の違いは?大学と何が違う?

将来望んだ職種に就くための選択肢として、4年制大学の他に短期大学や専門学校というのもあります。
各々が異なる学習環境を提供し、そこで学ぶ人の進路にも特徴があります。

この記事では、短大、専門学校、そして大学の特徴を比較し、あなたの進路選択に役立つ情報を提供します。

短期大学の特徴

短期大学の特徴

4年制大学より、短い期間で学べる短期大学。
短期大学で学ぶことを検討すらしていない人もいるかもしれませんが、自分が達成したいゴール次第では選択肢として検討の余地があります。

実際、前年度の短期大学の入学者数は約90,000人であり、同学年のおよそ5%前後は短期大学に進学します

それではまず、短期大学の特徴を見ていきましょう。

参考:短期大学について:文部科学省

実践的な教育内容

短期大学の教育内容は、職業に役立つ実践的な技能と、基礎的な学問を組み合わせたものとなっています。
英語などの外国語や、専門の枠を超えて自由に学ぶことのできる一般教養科目の学習を通じて広い視野を持つと同時に、専門科目では即戦力として必要な専門技術や知識を習得します。

そのため、整備士や歯科衛生士などの職業に就くための資格取得を目指す学生や、特定の分野に深く興味がある人に適しています

例えば、看護系の短期大学では看護師国家試験の受験に合格するための専門知識と実習を履修し、幼児教育を専門とする学校では幼稚園教諭や保育士になるための知識を学び、現場実習などの実践的な学習をします。

修業年限が2年間

修業年数とは、学生が学校で過ごす期間を意味し、大学、短期大学、専門学校によってその期間は異なります。

短期大学の修業年数は2年間と設定されており、短期間で一般教養や専門知識、専門分野に関わる技能を身につけることを目的としています
一部の医療系短期大学では3年制の学校も存在します。

短期大学では、学生はより実践的な教育を受け、早期に看護師や保育士など、専門的な技術や知識を必要とする専門職として社会に出る準備を整えることができます。

学費の負担が少ない

短期大学の学費総額は、国立で約100万円、私立で約200万円となります。
修業年数が2年間であることから、総額の学費は一般の4年制大学と比べると低くなります。

短期大学は修業年数も短いほか、奨学金制度や学生支援のための優待制度を受けることも可能であるため、これらを利用することで学費の負担を大きく軽減することができます

一方で専門学校では、分野によっては修業年数が多いため、学費が高額になる可能性も考えられます。

少人数教育の充実

短期大学のクラスは少人数であり、大学や専門学校と比較すると、学生一人ひとりの学習ニーズや進度に合わせて教育内容や指導方法をより柔軟に調整できる環境が整っています。

一般的な大学では、ゼミや特定の小規模授業を除きクラスの人数は多く、特に基礎科目や人気科目では大規模な講義が行われることが多いです。
そのため一人ひとりに合わせた指導が難しい場合があります。

これに対し、短期大学は1学年に複数のクラスがあり、1クラスで20〜40名ほどとクラスの人数は少なく、10名ほどのクラス編成にしている学校もあります
これによって教員が学生の学習進度や理解度を密に把握しやすくなっており、また、この親密な学習環境により、学生は先生に質問しやすかったり、わからないことがあっても生徒同士で解決しやすいなど、効率的に学習することが可能です。

短期大学では、個々の学生の理解度に合わせた指導が可能であり、学生を最大限サポートする環境が整っています。

地元で就職する人が多い

多くの短期大学が地元の自治体と協力して行っている「地域連携教育」は、学生の地元での就職に大きなアドバンテージをもたらします。

短大のこの取り組みは、学生が地元の企業と密接な関係を築き、地域に密着したキャリアを築くためのサポートとなります。

例えば、短期大学の医療系の学部に対して、地元のクリニックや病院が実習で協力することで、修了した学生が、その地元の病院やクリニックで看護師や医療技術者として就職するといったような関係が挙げられます。

その結果、短期大学を卒業した学生に関しては、その地域での就職率が非常に高いという事実につながっています。
また、短期大学は学生の就職活動を細やかにサポートすることで、短期大学の学生全体で97.2%という高い就職率を実現しています

短大は、地元の企業や組織と密接に協力しているため、短大生は地元での就職先を見つけやすいという利点があります。

編入学の選択肢を広く持つことができる

短期大学を卒業することには、専門学校と比較すると進学の選択肢が広がるというメリットがあります。

短大卒業生は専門学校卒業生よりも多くの大学への編入学の機会を持っており、例えば京都大学、上智大学、立教大学などの高等教育機関が短大卒業生を受け入れているのに対し、専門学校卒業生は受け入れていないケースがあります。

さらに、短大を卒業後に専攻科へ進学する道もあります。
短大の専攻科とは、短期大学を卒業した人や同等以上の学力を有するものを対象として専門分野をさらに深めるために設置されているもので、修業年数1年以上で特定の分野におけるさらなる研究を目的としています。

短大を卒業すると「短期大学士」という学位が授与されます。
そこから専攻科でさらなる学びを積むことで、4年制大学の卒業者と同等の「学士」の学位を取得することが可能です。

これにより、就職市場においても、大学卒業者と同様の扱いを受け、より幅広い職種や企業への応募資格を得られるようになります

短大は、学んだことを卒業後のキャリアにつなげる様々な機会を提供することで、学生のキャリアパスを広げる有効な選択肢となっています。

専門学校の特徴

専門学校の特徴

専門学校は、即戦力となれるような専門的な技能や知識を習得することを目的とした教育機関です

具体的には情報技術が学べる専門学校、医療系看護系、美容系、料理系、自動車・機械系などさまざまな分野の専門学校が存在します。

学びたい職業や技術に直結したカリキュラムが特徴で、実践的な授業を通じて職業に必要な実技を重点的に学ぶことができます。

以下に、専門学校の特徴について解説していきます。

入試形式は書類審査と面接が一般的

専門学校の入試では、大学や短期大学と比較すると入試が高頻度で行われていることも多く、基本的には落とすための試験ではありません。
多くの専門学校では、設定された基準をクリアすれば合格となるため、合格率は比較的高い傾向にあります。

基本的に書類審査+面接を通して学生の専攻したい分野に関する情熱や適性を評価します

書類審査では、成績、志望動機書、および推薦状などを検討し、学力や専門分野への関心を確認します。
面接では、学生の適性、モチベーション、人物像を深く探り、その分野での可能性を評価します。
専門学校では、これらの審査を通して、受験生の可能性を最大限に引き出し、彼らがその分野で輝く未来を築く手助けをすることを目的としています。

卒業までに必要な時間は800時間以上

専門学校の卒業条件は大学や短期大学とは異なり、単位数ではなく必要な授業時間数に基づいています。

具体的に専門学校の卒業条件は、800時間以上の授業参加(夜間の場合は450時間以上)です

さらに、卒業資格を得るためには、試験などを通じた成績の評価も重要な要素となります。
学生は定期的に実施される試験や課題に取り組み、その成果に基づいて卒業の認定が行われます。

従って、専門学校の卒業のためには、指定された授業時間数への参加と、試験や課題による成績評価の両方をクリアすることが求められます。

「専門士」や「高度専門士」の資格を得ることができる

専門学校の場合、2年以上の課程で総授業時間数1,700時間以上を修了し、試験や課題による成績評価に合格すると、「専門士」の称号を得ることができます。
さらに、4年以上で総授業時間数が3,400時間以上の専門教育を受け、同様に成績評価に合格した場合、「高度専門士」というより上位の称号を得ることができます。

専門士や高度専門士の資格を得ることで、自分の専攻に関する分野では即戦力としてのスペシャリストとして期待されます

特に、高度専門士の資格では直接大学院に進学することもできるなど、4年制大学の卒業生と同等の学歴と取り扱ってもらえることになります。

このように、専門士や高度専門士の資格は、キャリアにおいてメリットがあるといえるでしょう。

その学校が専門とする分野・業界の就職に強い

大学や短大を卒業した人々には、一般的に幅広い企業や職種への進路が開かれており、選択の自由度が高いといえます。
学部や学科によっても進路の選択肢は大きく変わりますが、基本的には多様な選択肢があります。

一方で、専門学校は特定の分野や業界に特化しており、その分野に関する深い知識や実践的な技能を学ぶことができるので、専門学校はその学校が得意とする分野の業界に就職する際に強いという特徴があります

大学生の就職活動の場合、自分から情報収集をして応募を行うことが多いですが、専門学校の就職活動では、専攻に関連する求人情報の提供や業界との密接な連携によるインターンシップの機会などが学校から与えられ、専門学校の学生は効率的に職を見つけることができます。

これは、特定の業界に対して強いつながり(パイプ)を持っているためで、卒業生を直接その業界に推薦することが多く見られます。

要するに、大学や短大は幅広い知識を提供し、多様な進路を選べる利点がありますが、専門学校は特化した分野での深い専門知識が得られるのと、業界への強い連携を活かせるという強みがあります。

同じ夢や目標を持つ仲間とのつながりができる

専門学校の大きなメリットの一つは、同じ夢や目標を持つ仲間と共に学ぶ環境があることです
特定の職業に特化した専門学校では、例えばパティシエを目指す学生が集まる製菓学校や、キャビンアテンダント(CA)を目指す学生が集う航空系の学校など、志を同じくする仲間が多くいます。

このような環境では、同じ目標に向かってお互いに高め合うことができ、情報交換や共同学習を通じて、実践的なスキルを磨くことが可能です。
この共通の目的を持つコミュニティは、同じ職業に就くための知識や技術、経験を深めるための励みとなり、学生たちは相互に刺激を受けながら成長できます。

一般の大学のように多岐にわたる進路がある場所では、このような経験は得られにくいかもしれません。

専門学校の専攻に特化した環境は、特定の業界に進むための専門性を求める学生にとっては、非常に価値のあるものです。
また、同じ目標を持つ仲間とのネットワークは、卒業後のキャリア構築においても強力なサポートとなる可能性を秘めています

短大・専門学校・大学の違い

短大・専門学校・大学の違い

ここまで短大と専門学校の特徴について解説してきました。

次に、短期大学、専門学校、一般的な大学(4年制大学)の違いについて焦点を当てて解説していきます。

入学金含む授業料

卒業までにかかる学費は、短大・専門学校・大学によって大きく異なります

まず、国公立大学の4年間の学費は平均約250万円、私立大学では文系の場合は平均約400万円、理系の場合は平均約550万円となっています。
私立大学の医薬系の学科は理系の中でも特別で、6年間で平均約2400万円と非常に高額です。

一方で、国公立短大は2年間で平均約100万円、私立短大で平均約200万円となっており、短大は学位取得までの時間が短いことから全体的に学費が低めとなります。

専門学校の学費は、分野によって費用がかなり異なり、学費が100万円以下になる学校もありますが医療系では300万円以上の学費になることも多いです。
全体的には平均すると約200~250万円となります。

入学方法

大学、短期大学、専門学校の入学方法にはそれぞれ特色があります。

大学の主な入学方法は一般選抜、学校推薦型選抜、総合型選抜で、一般選抜では大学入学共通テストや学校独自の試験が用いられます

近年は私立大学でも共通テストを利用するところが増え、入試方式は多様化しています。

学校推薦型選抜では、出席日数や高校の成績、部活動の実績が重視されます。

短期大学も一般選抜、学校推薦型選抜、総合型選抜を主に実施していますが、推薦入試を利用する学生の比率が高く、大学入学共通テスト利用入試も導入されています

専門学校では、一般入試と推薦入試が主流で、近年はAO入試(書類審査と面接)を導入する学校が増えており、多くの場合、定員を満たせば出願期間内でも募集を締め切ることがあります

教育内容

大学では学術的な研究に焦点を当て、理論重視の教育が行われます。
一般教養科目が一定数卒業要件に含まれ専攻する学部の専門的な知識とは別に自分の興味のある分野や外国語など自由に選択して学ぶことができます。
また、講義のほか演習、実習、ゼミなど多彩な授業形態があります。

短期大学でも一般教養科目が卒業要件に含まれ、専攻する分野や資格取得のための勉強だけでなく社会を幅広く俯瞰できる能力を育成することに重点をおいています

専門学校は専攻に即した授業が大半を占め、実践的・実務的な教育に特化しており、職業に密接に関連した教育を行うことで即戦力として成長できる機会が与えられます

卒業までに必要な単位数

大学では、一般的に卒業には124単位以上の取得が必要です。
また、医学に関する学科では6年以上の在籍と188単位以上の取得が必要です。

短期大学の場合、2年制では62単位以上、3年制では93単位以上の取得が必要で、学部や学科によっては必修科目も決まっています

一方で専門学校は単位制ではなく、800時間以上の授業参加(夜間の場合は450時間以上)と、試験や課題による成績評価によって卒業が可能です

大学と短期大学は単位制を採用しており、必要な単位を取得することで卒業できるシステムですが、専門学校では時間ベースでの授業参加が卒業の基準となります。

進路で迷ったときは

進路で迷ったときは

進路で迷ったとき、やりたいことが見つからない場合には、さまざまな可能性を探る一つの手段として大学進学を考えることが有効です。

大学では自分の専門以外にも一般教養科目など多岐にわたる学問を学べる機会があり、かつ修業年限も短大や専門学校より長いため、自分の興味や将来のキャリアパスを見つけ出すのに役立ちます

進路を決める際は自分自身の興味や強みを理解することが第一歩ですが、それに加えて幅広い情報を収集することも大切です。

そして、周囲の人々との対話を通じて、自分の考えを深めていくことも重要です。

より詳細な情報や具体的な進路決定のアドバイスについては、
Re受験生の志望校の決め方 | Re受験バイブル “浪人”あらため“Re受験”へ。
受験の再挑戦を応援

というページで紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

大学編入という選択肢も

大学編入という選択肢も

短期大学や専門学校で基礎的な専門知識や技術を身につけた後、さらに学問を深めたい、あるいは学士号を取得して更なるキャリアの道を拓きたいと考える人にとって、大学への編入学は有効な手段となり得ます

編入学を行う際は、短期大学や専門学校での学習内容が大学での学習にどのように活かすことができるか、編入後どの学年からスタートするのか、短期大学や専門学校で取得した単位が、大学での学習単位としてどの程度認められるかを前もって調べておく必要があります。

大学によっては、短期大学や専門学校の卒業資格を持つ学生を対象にした編入学試験を実施しており、特定の専門分野に関する実技試験や面接が行われることもあります。

学びたい分野や研究テーマが明確な場合、その分野や研究テーマについて深く学び、研究できる環境が整っている大学への編入を目指すことも一つの方法です。

編入学にはそれぞれの大学で異なる具体的な要件があるため、詳細な情報を集めることが肝心です。

さらに詳しい編入学の仕組みやメリット、デメリットなどについては、

大学編入って難しい?難易度や仕組みを解説! で取り上げていますので、進路を考える一環として是非ご覧ください。

まとめ

この記事では、短期大学と専門学校、大学の違いについて解説しました。

進路選択に迷った際は、自分の興味やキャリアプランを考慮しながら、各教育機関が提供するプログラムの内容や特色を理解することが重要です。

将来の選択肢を広げたい場合は、広範な学問を提供する4年制大学への進学を検討することも一つの方法です。
また、短期大学や専門学校から大学への編入学を考えることもできます。

最終的には、自分自身の将来のビジョンと教育機関が提供する価値を照らし合わせ、自己実現に向けて最も適した環境を選択することが大切です。

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