
「小学校の担任の先生が憧れ。
自分もあんな風になりたい!」
「部活の先生を今も尊敬している。
自分も教師になりたい!」
今も昔も、学校の先生は人気の職業。
令和4年度には、全国で36457人が新たに教師になったそうです。
(公立幼稚園918人、公立小学校19386人、公立中学校11239人、公立高等学校4914人)
参考:学校教員統計調査 -令和4年度(中間報告)【文部科学省】
この調査では、特別支援学校の教員数と私立学校の教員数が入っていないので、実際には1年間で4万人程度の新任教員が生まれたことになります。
そんな身近な仕事ですが、学校の先生になる方法については、意外と知らないことも多いですよね。
教師の仕事に興味を持ち始めた現役受験生・Re受験生なら、
「学校の先生って、どうやったらなれるんだろう?」
「教師になるなら、どこの大学・学部がおすすめ?」
「教育学部に行ったら教師以外の道はないのかな?」
こうした疑問があるでしょう。
そこで、この記事では、
- 教師になるために必要な教員免許のこと
- 免許を取るための大学や学部選びのこと
- 進路(教師かそれ以外の仕事か)について
以上のことを解説していきます。
この記事を書いている私は、小学校教師として9年間、働いた経験があります。
塾や教育委員会にも勤めたので、教育のことは任せてください!
さて、この記事の最初にあった疑問にまず答えましょう。
・教師になるには
大学で必要な授業を受け、教員免許をとるのが一般的です。
その後、自治体(県など)や私立学校の採用試験を受験します。
合格すると、教師として働き始めることができるんです。
詳しくは【教師になるための3ステップ】でも解説します
・おすすめの学部や大学
教師になりたい気持ちが強い人は、教育学部がおすすめです。
まだそこまで決めきれない人は、教育学部以外でも大丈夫。
他の学部でも中学校や高等学校の教員免許が取れるので、その例を紹介します。
また、歴史や実績がある、おすすめ8大学も公開しますよ。
詳しくは【大学・学部はどう選べばいい?】でも解説します
・進路(教師かそれ以外の仕事か)について
実は、教育学部の学生でも先生になるのは半分くらいです。
実際に、教育学部の経験を生かせる仕事はたくさんあります。
どんな風に将来を考えるか、具体的なコツを紹介しますね。
詳しくは【教師以外の選択肢もある】でも解説します
どの情報も、教師に少しでも興味のある人なら必見!
逆に知らないと、免許が取れない学科を選んでしまうかも…
時間の無い受験生でもサクッと読めるように図説しました!
では、さっそく、教師になる方法から見ていきましょう!
教師になるための3ステップ

教師になるには、基本的には次の3ステップが必要です。

それぞれ、詳しく見ていきましょう。
①教職課程(教師になるプログラム)のある大学や短大に入学する
「教師になるには教育学部に行けばいいんだよね?」
こう思う受験生は多いでしょう。
実際に、多くの大学にある教育学部は教職課程を持っています。
教職課程とは、一言でいうと先生になるためのプログラムのこと。
「教職に関する科目」や「教科に関する科目」などの授業があります。
たとえば「教職に関する科目」では、教育の歴史や教育心理学を学んだりします。
また、大学3、4年時に、実際に学校で教育を体験する「教育実習」も「教職に関する科目」の一つです。
「教科に関する科目」では、自分が専門としたい教科の研究法や分かりやすい授業法を学んだりします。
この教職課程ですが、実は、
大学によっては教育学部以外でも教職課程があります!
特に中学校や高等学校の教員免許は、教育学部以外でも取れることが多いんです。
「教師になりたいから、教育学部しか受験できない」
「教育学部の受験予定は無いから、そもそも教師になる道はない」
と誤解していると受験や進路の幅を狭めてしまうので、「教師」という道を少しでも考えている人は知っておいてほしいです。
教育学部以外でも免許が取れるということについては、「教職課程が取れる(=教員免許が取れる)他の学部」で詳しくお伝えしますね。
②教職課程で必要な授業を受け、合格する(教員免許が取れる)
入学したら、教職課程で必要な授業を受けます。
多くの大学に共通する授業を紹介しましょう。
たとえば、「教育史」の授業では、ヨーロッパや日本の教育の歴史に残る学者の理論や教育法を学びます。
そうすることで、現代の教育がどんな考えのもとにできあがっているか知ることができます。
「生徒指導法」の授業では、悩みをもった児童・生徒にどう寄り添えばよいか学びます。
カウンセリング理論を大まかにを知っておくことで、実際に教師になったときに、子どもの困っていることや悩みを解消したり、自己解決できるように背中を押したりできるようになります。
そして、それらの授業を受けた後は、期末のテストなどで合格していく必要があります。
また、教職課程の後半には、「教育実習」があります。
教育実習は通常、3〜4週間実施されます。
そのなかで、
- 先輩教師の授業見学
- 校長先生、教頭先生(副校長先生)による講義
- 学習指導案(授業プラン)の作成
- 実際の授業実践
などを行います。
教育実習を含めて、教職課程で必要な単位を得ると、教員免許が取れます。
(正確には、大学などを卒業することで、正式な免許状がもらえます。)
③教員採用試験を受験し、合格する
よく誤解されるのですが、
「教員免許を取る=先生になれる」のではないんです。
教員免許は、「この人は先生の資格がある」と示すものです。
それとは別に学校ごとの採用試験を突破しないといけません。
公立学校で働きたい場合、各自治体(都道府県など)の「教員採用試験」を受験します。
私立学校で働きたい場合、私立学校それぞれの「採用試験」を受験します。
筆記試験と面接試験、場合によっては実技試験が行われます。
実技試験については、たとえば下記のようなものが実施されます。
<実技試験の例>
【東京都、令和5年度】
音楽、美術、保健体育、英語、小学校(英語コース)のみ実技試験あり
・音楽:1曲ピアノ伴奏しながら歌唱
・美術:鉛筆によるデッサン
・保健体育:マット運動、水泳、球技、武道
・中高英語・小学校(英語コース):英語スピーチ、英語ディスカッション
参考:令和 5年度東京都公立学校教員採用候補者選考(6年度採用)実施要項【東京都】
【神奈川県、令和5年度】
全員実施
・模擬授業(1人10分程度で、授業のはじめの部分を実際に見せる)
※さらに中学・高校の「音楽、美術、書道、保健体育、技術、家庭、英語」は、東京都と同じような教科に関する技能を測る実技試験があります。
参考:令和5年度実施 神奈川県公立学校教員採用候補者選考試験採用案内、実施要項等について【神奈川県】
なお、教員採用試験は大学4年の夏に行われるのが一般的です。
例外のステップもある
①大学などに入学→②教職課程(教員免許)取る→③採用試験合格
教師になるには、この3ステップを着実に踏むことです。
一方、例外のパターンは無いのかというと、一応、あります。
「教員資格認定試験」という文部科学省の試験に合格すると、教員免許が取得できるのです。
①②のステップを飛ばせるということですね。
(※ただし、現在は幼稚園・小学校・特別支援学校の免許のみ取得可能です。
中学校や高校の教員免許は取れません。)
実は私は、この試験で小学校教員免許を取ったのですが、以下のデメリットがあると思っています。
- △試験範囲が幅広く、教員採用試験の数倍の学習量が必要
- △年一回の試験なので、落ちたら一年待たないといけない
- △ 教育実習が無い
特に、約1か月かけて実際に学校へ出向いて学習指導や生活指導を経験する「教育実習」は、自分が教師に向いているか判断することもできる絶好の機会です。
既に働いている社会人の場合、通常は、今働いている会社を休んで「教育実習」に行くことはできません。
そこで「教育実習」なしで免許がとれる教員資格認定試験を受けるメリットがあります。
ですが、大学生であれば、授業の一環として「教育実習」に行くことができます。
もし他の授業と被っても、「教育実習」を優先して休めますので、心配いりません。
この試験で免許を取る人は毎年200人程度で、受験情報もほとんど出回っていません。
それに対して、大学で教職課程を受講して免許を取る学生は毎年15万人以上います。
この人数を見ても、「教員資格認定試験」は狭き門といえます。
これから大学に進学する教師を目指す皆さんは、基本の3ステップをまず検討するのがよいでしょう。
教師になるために必要な「教員免許」の種類

これまで見てきたとおり、教師になるためには「教員免許」が必要です。
ですが、実はこの教員免許は色々な種類があり、とても複雑なのです。
1つ1つ、なるべく簡単に説明するので、一緒に確認していきましょう!
【普通・特別・臨時】免許状

教員免許には、大きく分けて3種類あります。
普通免許状
「教師になるための3ステップ」で解説したように、
大学の教職課程をクリアすることで授与されるのがこの「普通免許状」です。
実際に毎年、この「普通免許状」は15万件以上発行されています。
また、令和4年に普通免許状の「更新制」が無くなりました。
これまで普通免許は10年ごとに更新する必要があったのですが、今回の変更で、一度取ればずっと有効な資格になりました!
今から教師になろうと思っているなら、普通免許状を目指すとよいと思います。
特別免許状
「特別免許状」は教員免許をもっていない社会人でも、社会で磨いた専門スキルを学校で生かせる制度です。
都道府県の教育委員会が実施する「教育職員検定」に合格すると、5年間から10年間の期限付きで免許が授与されます。
かつては教育委員会の基準が厳しく、一部の専門職経験者に認められている免許でした。
「英語」と「看護」(高等学校)の免許で認められる例が多かったのです。
これはたとえば、英会話スクールの外国人講師が、高等学校の「オーラルコミュニケーション」を担当したり、看護師経験者が高等学校(看護科)の「看護実習」を担当したりする例があります。
ただ、近年は若干ではありますが、他教科での採用も増えてきています。
もし社会人で何らかの専門スキルがあり、教育現場に生かしてみたいという方は、お住まいの自治体の教育委員会に、一度問い合わせてみてください。
基準を満たせば、「特別免許状」が授与される可能性があります。
臨時免許状
各自治体が教員不足のときのみ、発行されます。
最大3年間の期限付きで認められる免許状です。
【第一種・第二種・専修】免許状

普通免許状は、さらに3種類に分けられます。
簡単に違いをまとめると、
第一種=大学、第二種=短大、専修=大学院で取れる、ということ。
第二種だと管理職になれないので、あとあと困るかもしれません。
法律でも、第二種の人は第一種にする努力をするよう定めています。
(教育職員免許法)
第九条の二 教育職員で、その有する相当の免許状(中略)が二種免許状であるものは、相当の一種免許状の授与を受けるように努めなければならない。
実際に、上記の経緯で先生になってから通信制の大学に通う人もいます。
追加で単位を取ると、第二種免許を第一種免許に変えられるのです。
しかし、働きながら通信制の大学で勉強するというのは、多くの人にとって容易ではないでしょう。
そのため、できれば最初から大学で第一種免許を取るとよいでしょう。
そして、より深く学びたい場合は大学院で専修免許も検討しましょう。
専修免許は、その人の教師としての専門性の高さの証明になります。
【幼・小・中・高・特別支援学校・養護教諭・栄養教諭】

上の図を見てください。
学校の種類や仕事内容によって免許が違うことが分かります。
・学校の種類で分かれている免許:幼稚園教諭、小学校教諭、中学校教諭、高等学校教諭、特別支援学校教諭
学校ごとに免許が分かれているので、「小学校の教員免許しかもっていない先生が中学校で授業する」というようなことは原則できません。
子どもたちは年齢によって違った教育が必要なので、免許も学校の種類ごとに分かれているのです。
それぞれの学校種で、特に教師に求められることを表にまとめたので確認してみてください。
また、それぞれの免許が取れる学部・学科名の例も記載しています。
幼稚園 | 小学校 | 中学・高校 | 特別支援学校 | |
---|---|---|---|---|
教師に求められる ことの例 |
・生活面の支援 ・豊かな体験活動 |
・多教科指導 ・学級の運営 |
・教科の専門性 ・進路指導 |
・個々のニーズに合った支援 |
免許が取れる 学部・学科名の例 |
・教育学部 ・子ども学部 ・幼児教育学科 ・児童学科 ・子ども学科 |
・教育学部 ・文学部 ・初等教育学科 ・小学校教育学科 ・子ども教育学科 |
各教科に関係の深い学部 ・学科(たとえば) ・文学部→国語 ・工学部→理科 |
・教育学部 ・社会福祉学部 ・人間発達学部 ・教育学科 ・社会福祉学科 |
・仕事の内容で分かれている免許:養護教諭、栄養教諭
これらの免許はそれぞれ、子どもたちへの教育はもちろんですが、学校の「保健室」や「給食室」を管理運営することを特に期待されています。
なので、養護教諭は「保健室」がある学校(小学校・中学校・高等学校・特別支援学校)、栄養教諭は「給食室」がある学校(小学校・中学校・特別支援学校・一部の夜間学校など)ならどこでも働くことができます。
養護教諭や栄養教諭の免許を取れる学科は、教育学部ではない学部に設置されていることが多いです。
ただ、免許を取る道のりは、他の教員免許と変わりません。
「教職課程」の授業を取り、教育実習にも行きます。
ただ、どちらも採用倍率は高い傾向にあり、在学中に看護師や管理栄養士の資格とダブル取得しておくことで就職活動に備える学生が多いようです。
そのため、学校選びでは、それらの資格も取れるか確認しておきましょう。
養護教諭 | 栄養教諭 | |
---|---|---|
教師に求められる ことの例 |
・保健室の管理、運営 ・保健指導 |
・給食室の管理、運営 ・食育指導 |
免許が取れる 学部・学科名の例 |
・看護学部 ・保健学部 ・医療学部 |
・栄養学部 ・生活環境学部 ・健康科学部 |
同じ分野の 人気資格 |
・看護師 | ・管理栄養士 |
中学・高等学校は、さらに教科ごとに免許が分かれる
中学や高校では1教科だけを教えるので、免許も教科ごとです。
大学や学部によっては、追加で授業を取ることで複数教科の免許を取ることもできます。
ただ、時間割の都合で、一度に複数教科の免許取得ができない場合もあります。
授業数も増えるので簡単ではありませんが、意欲のある人は検討してみましょう。
ちなみに、中学校と高等学校で免許は分かれていますが、ダブル取得がおすすめです。
実は、中学や高校は、小学校より採用倍率が高い、つまり、先生になりづらいのです。
その点において、中学・高校の免許両方をもっていると、どちらでも働けるようになるため、安心だと思います。
中学と高校の教職課程は多くの科目がかぶっているので、実際にダブル取得をする学生が多いです。
(それに比べて、他の学校種の組み合わせは科目がほとんどかぶらないので、ダブル取得できる大学はあまりありません。)
大学・学部はどう選べばいい?

「普通免許状、第一種免許状を取ればいいと分かった!でも、どの大学・学部に行けば免許は取れるんだろう?」
ここからは、そんな受験生の疑問にお答えします!
「絶対、教師になりたい」なら教育学部
あなたがもし、先生になりたい決意が強いなら、教育学部を選びましょう。
教育学部以外にも、教員免許が取れる学部や学科はたくさんあります。
しかし、教育学部はやはり、教師になるためのサポートや体験が充実しています。
まわりにも多くの教員志望者がいて、学び合い、高め合うことができます。
また、小学校の免許は、教育学部でないと免許が取れないことがほとんどです。
小学校は全10教科を担任が教えるので、小学校免許を取るための教職課程でもそれだけ多くの教科の授業を受けないといけません。
教育学部だと、もともとの必修科目も多くありますが、他学部生の場合は自分の学部の授業に加えて大量の教職科目を取ることになり、物理的に無理が生じます。
そのため、認めていない大学が多いのです。
特に小学校教師を目指す場合は、教育学部をまず考えましょう。
教職課程が取れる(=教員免許が取れる)他の学部
「まだ、そこまで教師になる気持ちが固まっていなくて…」
そんな人もいるでしょう。
大丈夫です。
その場合は、とりあえず「教職課程が取れる(=教員免許が取れる)他の学部」を選べばOK。
特に、中学校・高等学校の免許は、多くの学部で取得できます。
中学校・高等学校の場合、「教科の専門性」が大事だからです。
自分の学部で学んでいる科目の一部が教職課程の科目として認定してもらえるので、免許取得の負担も軽減されます。(それでも忙しいですが…)
興味のある大学・学部をいくつか調べてみてください。
きっと、中学校・高等学校の免許も取れるようになっていますよ。

どの大学が教員採用試験に強いか「教員採用実績」で分かる
「教員免許を取れる大学がたくさんあるのは分かった。
じゃあ、どこの大学がいいの?」
そう思う受験生も多いでしょう。
先に述べたように、教員免許を取得したとしても、教員採用試験を突破しなければ教員として働くことはできません。
それぞれの大学に売りがありますが、大切なのは「どれだけ多くの教師を学校現場に送りこんできたか」という歴史と実績です。
次に、大学の歴史や教員採用実績、授業カリキュラムをふまえたおすすめの8大学を紹介していきます。
教師を目指すのにおすすめ!厳選10大学・学部

歴史・実績ともにナンバーワンの国立大学。
1873年設立の「東京府小学教則講習所」(東京都の小学校教員養成所)が前身ですから、延べ150年間にわたって、学校へ教師を送り出してきたことになります。
一学年の学生定員は1000人を超えますが、1人の教員が担当する学生数は5人を超えないようになっていて、きめ細やかな指導を受けることができるのも魅力です。
また令和4年には、文科省から「教員養成フラッグシップ大学」に指定されました。
これは、「令和時代に対応した最新の教員養成プログラムを開発する大学に指定された」ということです。
ですから、東京学芸大学に入学すれば、最先端のプログラムのもとに学んで、教師になる準備をすることができます。
実際に、東京学芸大学では既に、「学びを支えるファシリテーションの技法(3年生対象)」のようなユニークな授業が実施されています。
※「ファシリテーション」を簡単な言葉に言い換えると、「話し合いをうまく進める技術」です。
最新の教育学では、「正解を覚える力」よりも「自分たちで答えを探る力」を大切にしています。
そのため、学校では生徒主体で討論する場面がたくさんあります。
そんなときにファシリテーション技術があれば、教師は適切に生徒をサポートできますね。
難関大学ですが、意欲ある受験生にはぜひ挑戦してほしい大学です。
参考:教員養成フラッグシップ大学の取組【国立大学法人 東京学芸大学】
参考元:東京学芸大学
「幅広い進路がある総合学部」早稲田大学・教育学部
早稲田大学・教育学部は、1949年に設置された私立大学で最も古い教育学部です。
学部の中に文系・理系の学科が両方あり、授業選択の自由度も高いため、学生は自分の学びたいことを追究することができます。
「教員養成(教員免許の取得)」ではなく「教育学を学ぶ」ことを目的とした学部なので、学部全体で教師の道に進む学生は少ない点は注意が必要です(2021年度卒業生で「教育」の進路を選んだのは8.1%)。
しかし、それは幅広い進路が選べるということでもあります。
学芸大学と同じく、受験難易度は高いですが、興味のある人はチャレンジしてみましょう。
参考:早稲田大学 教育学部
「教育と心理を総合的に学べる」青山学院大学・教育人間科学部教育学科
青山学院大学・教育人間科学部は、私たち人間がより良く生きるための学問を学べる学部です。
具体的には「教育学科」と「心理学科」があり、教師を目指す人は教育学科をチェックしましょう。
(心理学科は教員免許が取れません。)
教育学科では、教職課程を受講すれば幼稚園~高等学校までの免許が取得できるようになっています。
(幼稚園、小学校、中学校【国語・社会・英語】、高等学校【国語・地理歴史・公民・英語】)
幼稚園教諭の免許が取れるのは、早慶上智MARCHの中でもここだけです。
早稲田大学と同様に、教師の道に進む人は多くありませんが(2022年度卒業生で「教育」の進路を選んだのは21.5%)、大学で進路をじっくり考えたい人にはおすすめの学部です。
「私立で最初の教員養成学部」文教大学
文教大学は、1969年に私立大学初の教員養成を目的とする教育学部(このような学部は「教員養成系学部」ともいわれます)を開設しました。
創立50年を超えていて、学校業界ではとても有名な大学です。
※私立大学最初の教育学部は、先ほど登場した早稲田大学教育学部です。
(1949年設置) ただ、早稲田大学教育学部は、「教員養成(教員免許の取得)」ではなく「教育学を学ぶ」を目的とした学部なので分けています。
特に小・中学校の採用者数は、私立大学の中では常にトップクラス。
最新の教員採用者数ランキングで見ても、小学校(私立大学第1位)、中学校(私立大学第2位)という結果でした。
参考:小学校教員採用者数【16年連続】私立大学 全国第1位!【文教大学】中学校教員採用者数 私立大学全国第2位!【文教大学】
小・中学校教員を目指すなら、チェックしておきたい大学といえます。
「戦前から教育をリードする」玉川大学
玉川学園創立者の小原國芳氏は歴史的にも名高い教育者です。
小原氏は大正時代にいち早く、個性を伸ばしたり、本物にふれたりする教育の大切さを説きました。
その伝統は今も生きていて、玉川大学は「アクティブ・ラーニング」(討論や体験、人に教えることで理解が深まる学び方)の研究に10年以上取り組んでいます。
大学の授業というと、大教室で「聞くだけ」のイメージがありますが、玉川大学の授業は学生主体の授業になるよう工夫されています。
参考:文部科学省 大学教育再生加速プログラム|学びの特色|【玉川大学】
また、大学入学後すぐに学校や幼稚園を視察する「参観実習」の授業は玉川大学ならではの取り組みです。
(大学1年時から教育現場に行くプログラムが必修になっている大学は、とても珍しいです。)
このような充実した参加型授業や実習を通して、教師の基礎力が身につきます。
参考:玉川大学教育学部
「実習授業や試験対策が充実」明星大学
東京・多摩地区に位置する教育学部に定評のある総合大学です。
小学校の採用者数では、毎年のように全国トップ10に入っています。
教育インターンシップ等の授業で、学校現場をたくさん体験できます。
教育インターンシップとは、教員を目指す学生が学校現場で就労体験を積む制度です。
教育実習と似ていますが、次のような違いがあります。
教育インターンシップ | 教育実習 | |
---|---|---|
教育免許に必須か? | 必須ではない | 必須 |
実施している大学は? | (教職課程のある大学でも) 実施していないことが多い |
(教育課程のある大学なら) すべての大学で実施 |
単位認定されるか? | 単位認定されないことも多い | 単位認定される |
期間や頻度は どれくらいか? |
3カ月~1年間程度の長期 週1回程度 |
3,4週間程度の短期 月~金曜日まで連続 |
明星大学は、この制度に力を入れていて、教員志望者は2年生の1年間、週1回の教育インターンシップが必修となっています。
3か月や半年実施する大学や、単位認定されない(授業ではなくボランティア扱いになる)大学も多い中で、単位認定される授業として1年間じっくり学べるのはメリットです。
学校は、入学式から卒業式まで、1年間のサイクルの中で教育活動を進めるので、その期間を通して学校に通うことで、より教師の仕事のイメージをもちやすくなるでしょう。
「中部地方で実績光る私立大学」岐阜聖徳学園大学・教育学部
岐阜市の中心部に近く、中部圏からアクセスの良い私立大学です。
小学校・中学校の教員採用実績では全国トップクラスの実績をもちます。
また、1年生から「教職教育センター」で支援を受けられるのはメリットです。
ここには校長先生や教員採用試験の面接官を務めたことがある先生が常にいて、普段の授業内容から教員採用試験対策まで広く相談することができます。
3年生からは教員採用試験対策の学内講座が完備され、予備校に通う必要もありません。
このような手厚い支援もあり、教育学部卒業生の教員就職率は毎年、8割近くの高水準を記録しています。
(2023年3月卒業生:78.9%)
「在学中に複数の教員免許を狙える」佛教大学・教育学部など
佛教大学は京都市にある文系の総合大学です。
免許併修制度があり、複数の教員免許を取得することができます。
「免許併修」制度とは在籍する学部・学科では取得できない教員免許状を、併設する通信教育課程で履修することにより取得できる制度です。
※保健医療技術学部除く
参考:免許併修制度【佛教大学】
大学の「通信教育」とは、通学せずに、書籍やオンライン教材などを利用して遠隔で学ぶ方法です。
佛教大学では、普段通学している一般学生でも、並行して別の学部や学科の「通信教育課程」を受講することができるのです。
これにより、たとえば教育学部教育学科の学生は元々取れる小学校免許に加えて、中学校や高等学校の英語免許を取れる可能性があります。
文学部日本文学科の学生は元々取れる中学校や高等学校の国語免許に加えて、小学校免許にチャレンジできます。
学習量は倍になるので大変ではありますが、他の大学では難しい教員免許をダブル取得するチャンスです。
興味のある受験生は、どんな組み合わせの免許が取れるか確認してみましょう。
特に、教育学科以外でも小学校免許が取れる大学は珍しいですよ。
「栄養教諭など食のプロへ」聖徳大学・人間栄養学部
聖徳大学は千葉県松戸市にある、教育・心理系に強い女子大学です。
人間栄養学部では栄養教諭免許が取れ、一般企業の就職も強いです。
大学の2023年度卒業生の実就職率は、97.5%もあります。
「管理栄養士」国家試験への指導も充実しているので、両方の免許を取得することで、進路の幅も広がります。
「養護教諭など看護を学べる」北里大学看護学部
北里大学は神奈川県相模原市にメインキャンパスのある医療大学です。
看護学部では養護教諭や看護師、助産師などの免許を取得できます。
看護学部の看護師国家試験合格率は、実に99.2%を誇ります。
在学中に複数免許を取得することで、専門性を十分に高めてから社会に出ることができますね。
2024年1月完成の新校舎は北里大学病院に直結。
医療を現場から学べます。
参考:北里大学看護学部
参考:小・中学校の教員就職者数比較で分かる大学の教員養成力 | ユニヴプレス
教師以外の選択肢もある

「教師になりたい!でも、大学で気持ちが変わったらどうしよう?」
こんな風に思っている受験生もいるでしょう。
安心してください!
大学に入ってから、教師以外の道を選ぶ人はたくさんいます。
たとえば先に紹介した東京学芸大学でも、半分近くの学生が一般企業に就職します。
「人を教えること」は、一般企業でも必ず役立つスキルです。
後輩や新入社員に教える力のある人は、企業には必ず必要な人材ですよね。
教える力は「分かりやすく説明する」、「相手のやる気を引き出す」力でもあります。
こういった力があれば、企画職や営業職でも活躍することができるでしょう。
だから、教育学部生で教員の道を選ばなかったとしても、就活で不利になることはありません。
教育実習で向き・不向きが分かる

教員を目指す人が一般的な会社を目指す人よりも恵まれているのは、実際に社会に出る前に「教育実習」で適性が分かることです。
教育実習にて、実際に教師の仕事を約1か月、体験することができます。
さらに今は、1、2年生から教育インターンシップができる大学もあります。
それらの経験で、前もって自分が教員に向いているか、そうでないか分かります。
「なんか違うな…」と思ったら、一般就職に切り替えればよいのです。
たとえ学校の先生にならなくてもいろんな道がある
あなたが、学校の先生の仕事の「いいな!」と思ったところを考えてみると、必ずしも学校の先生として働かなくても、望ましい仕事があるかもしれません。
例えば、
「教えるのが好き」
「説明するのが好き」
「やる気を引き出すのが好き」など…。
そして、「その好きなことは、他の仕事だったら何でできる?」と考えてみるのです。
- 教えるのが好き→塾講師やスクール講師など
- 分かりやすい説明が好き→企業の企画職など
- やる気を引き出すのが好き→企業の営業職など
こういった仕事もできそうですよね。
視野を広げてみれば、いろいろな可能性が見えてきます。
まとめ
今回の記事では、学校の教師になることについて、大まかに見てきました!
教師という仕事に少しでも興味がある人は、ぜひ参考にしてみてください。
また、視野を広げてみれば、「教師に必要な素養」を活かすことで、別の仕事でも活躍することができます。
「教師になる!」という目標を一つに絞って突き進むこともよいですが、いろいろな可能性に対してアンテナを張っておくことも重要だと思います。
この記事で紹介したことも参考に、あなたの夢に向けて、コツコツ頑張っていきましょう♪
「Re受験バイブル」では、今回のような進路のことはもちろん、具体的な勉強やモチベーション管理など、Re受験生に必要な情報がギュッとつまった記事がたくさんあります。
また、勉強の合間に訪れてみてくださいね。
受験が上手くいき、明るい未来を切り拓いていけますよう応援しています!