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弁護士になるのは難しい?大学による違いは?

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弁護士になるのは難しい?大学による違いは?

法律の専門家として、日々顧客の抱える悩みを解決する弁護士。

ドラマでも弁護士がかっこよく裁判で活躍している姿が描かれているので、弁護士について興味を持っている人も多いはずです。

そんな弁護士に対して、

「弁護士ってどうやったらなれるの?」
「弁護士になるのに大学・学部って関係あるの?」

このような疑問を持っている人も多いのではないでしょうか?

そこでこの記事では、弁護士になる方法や、弁護士を目指す際の大学・学部との関連性、弁護士になるのにおすすめな大学を紹介します。

弁護士に興味を持っている全ての人にとって必見の内容なので、必ずチェックしましょう。

弁護士とは?

弁護士とは?

弁護士は、人々が法律上の問題を解決できるように支援する法律の専門家です。

例えば、誰かが犯罪で告訴されたときや、離婚、相続などの家族の問題、事故での損害賠償請求、企業間の契約トラブルなど、さまざまな場面で活躍します。

弁護士は、法律に基づいて顧客の権利を守り、最善の結果を得るために交渉や裁判を行います。
また、法律相談を提供し、顧客が直面する問題についてアドバイスをすることも、弁護士の仕事です。

弁護士と聞くと「法律のプロフェッショナル」というイメージがあるかもしれませんが、問題解決能力や交渉のプロフェッショナルでもあります。
顧客の問題を解決するためには、これらの能力が必要なのです。

現在、日本弁護士連合会に登録している弁護士の人数は45,874人です。
また、弁護士の平均給与は1,119万円といわれており、弁護士の人数と平均給与の高さからも、弁護士の人気の高さがうかがえます。

弁護士になるには?

弁護士になるには?

弁護士になるためには、以下で紹介する

1.司法試験の受験資格を獲得する
2.司法試験に合格する
3.司法修習を修了する

という3つのステップを乗り越える必要があります。

司法試験の受験資格を獲得する

1つ目のステップは「司法試験の受験資格を獲得する」ことです。

司法試験は、以下の3つの条件のうちどれかを満たしている人に受験資格が与えられます。

・法科大学院を修了する
・法科大学院在学中に「在学中受験資格」を獲得する
・司法試験予備試験に合格する

ちなみに「令和5年司法試験法科大学院等別合格者数等」によると、全体に占める合格者の割合は「法科大学院修了者」が約46%、「在学中受験資格取得者」が約36%、「司法試験予備試験合格者」が約18%でした。

以下では、それぞれの受験資格獲得方法について詳しく紹介します。

参考:【2023年最新】司法試験の結果は?合格率や合格者数・大学別ランキングも紹介 | 記事一覧

法科大学院を修了する

まず、法科大学院を修了することについてです。

法科大学院を修了する条件は「3年以上在学し93単位以上習得」すること。
ただし、これは法学未修者の場合であり、法学既修者は「2年以上在学し63単位以上習得」と条件を短縮可能です。

ここで言う「法学既修者」とは法律基本科目を修得していると法科大学院から認定されている人のことを指します。

法学既修者として法科大学院に認定してもらうためには、法科大学院の「法律基本科目試験」に合格する必要があります。

在学中受験資格を獲得する

次は法科大学院在学中に「在学中受験資格」を獲得することについてです。

令和5年の試験から、法曹資格取得までの時間的・経済的負担の軽減を図るために、法科大学院の学長から「在学中受験資格」を与えられた人は大学院在学中でも司法試験受験資格が与えられることとなりました。

在学中受験資格は以下の2つの条件を満たすことで与えられます(法務省HPより引用)。

・当該法科大学院において所定科目単位を修得していること ・司法試験が行われる日の属する年の4月1日から1年以内に当該法科大学院の課程を修了する見込みがあること

参考:法務省:在学中受験資格に関するQ&A

在学中受験資格を獲得する

次は司法試験予備試験に合格することについてです。

司法試験予備試験は、上記の2つの条件を満たしていない人が司法試験受験資格を手に入れる唯一の方法です。

司法試験予備試験では「法科大学院修了と同等程度の学力があるかどうか」が判断されます。

司法試験予備試験に合格するためには、法科大学院に通わず、法科大学院修了と同等の学力を得なければなりません。

そのため、司法試験予備試験の合格率はかなり低く、令和5年試験では合格率3.58%という結果になりました。

以上が、司法試験の受験資格を獲得する方法です。

参考:予備試験の合格率は?なぜ予備試験合格者は司法試験合格率が高い?

司法試験に合格する

弁護士になるための3つのステップ、2つ目は「司法試験に合格する」ことです。

司法試験の合格は狭き門といわれており、2023年の司法試験合格者数は受験者3,928人中1,782人であり、合格率は45.34%でした。

「45.34%って思ったより高い」と思った人も多いかもしれません。

上記の通り、司法試験の受験者は「司法試験予備試験合格者」、「法科大学院修了者」、「在学中受験資格取得者」しかいません。

いずれも法律に関する知識を十分に有していることは間違いなく、そのうちの半分も合格していないことを考えると、司法試験の合格が、かなり難しいことがわかります。

参考:最終合格者は1,781人、前年比378人増…司法試験2023 | リセマム

司法修習を修了する

弁護士になるための3つのステップ、3つ目は「1年間の司法修習を修了する」ことです。

司法修習とは、司法試験に合格した人が法曹資格(弁護士・裁判官・検察官)を取るために必要な研修制度のことです。

1年間の研修制度の最後に、二回試験と呼ばれている「司法修習生考試」を受験することになり、これに合格することで、弁護士資格を獲得できます。

二回試験は、令和3年・4年実施分の不合格者が0人、令和2年実施分も不合格率0.3%とかなり低いです。

しかし、これは「二回試験が簡単」であることを意味しているわけではありません。

二回試験の前に、修習生は弁護士・裁判官・検事のどれかになることを決め、既に就職先の内定をもらっています。

この状態で二回試験に落ちてしまうと、当然内定取り消しになってしまい、また来年の二回試験を受験しなければならなくなってしまうため、修習生はそれを必ず回避するために必死に勉強し、0%に近い不合格率を実現させているのです。

弁護士になるのに大学・学部は関係ある?

弁護士になるのに大学・学部は関係ある?

弁護士は学歴不問なので、どの大学・学部を卒業している場合でも、大学を卒業していない場合でも、司法試験の受験資格を獲得できます。

しかし、弁護士になるためには「法学部卒業→法科大学院修了→司法試験合格」という流れが一般的だといわれています。

その理由は、司法試験の受験科目である憲法・行政法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法の学習を法学部でできるからです。

大学4年間法学部で司法試験科目の学習をしている人とそうでない人では、前者の方が司法試験に合格しやすいことは言うまでもありません。

そのため「弁護士になるのに大学・学部が関係あるのか?」という質問については「法学部を卒業している方が司法試験の勉強をしやすい」が適切な回答になります。

弁護士を目指すのにおすすめの大学院

弁護士を目指すのにおすすめの大学院

「弁護士を目指すためにはどの大学や大学院がおすすめなの?」と気になっている人も多いでしょう。

ここでは弁護士を目指すのにおすすめの大学院を紹介します。

ここで大学を紹介していない理由は「司法試験対策の本格的な学習は法科大学院で実施されるから」です。

どの大学・学部に在籍していても、ほぼ全ての法科大学院の入学試験を受けられます。
しかし、法科大学院に進学するためには法学部で勉強している方が当然有利です。

法科大学院に進学するためのおすすめの学部は「法学部」ですが、どの大学の法学部で勉強しても、法科大学院に進学できるかどうかは、自分の努力次第です。

そのため、ここでは弁護士を目指すためのおすすめの大学院を紹介します。

参考:司法試験の合格者最多大学ランキング1位は京大 合格率では上位5校中4校が国立大学だった

京都大学法科大学院

京都大学は、東京大学に次いで、日本最難関の大学として知られています。

まず最初に京都大学法科大学院をおすすめしている理由は「令和5年司法試験の合格者数・合格率がトップ」だからです。

法務省が発表した『令和5年司法試験法科大学院等別合格者数』によると、京都大学法科大学院から司法試験を受験した275人のうち、68.4%にあたる188人が合格しています。

合格人数を比較してみると、第2位が東京大学法科大学院と慶應義塾大学法科大学院の186人。
合格率で比較してみると、第2位が一橋大学法科大学院の67.2%です。

いずれもわずかな差ではありますが、この結果を見てみると、京都大学法科大学院で行われている司法試験対策の学習が、日本の法科大学院ではトップであることを示していることは想像に難くありません。

そのため、現在高校生やRe受験生で「弁護士になりたい」と強く希望している人には、京都大学法学部への進学や、他の大学の法学部を卒業したのちに京都大学法科大学院へ進学することをおすすめできます。

参考:令和5年司法試験法科大学院等別合格者数等

東京大学法科大学院

日本最難関の大学である東京大学の法科大学院も、弁護士になりたい高校生やRe受験生におすすめです。

上記の司法試験合格者数を見てみると、東京大学法科大学院は186人で、京都大学に次いで第2位。
合格率は59.0%で第4位です。

また、東京大学法科大学院が弁護士になるのにおすすめである理由は「五大法律事務所所属弁護士の出身大学院」にあります。

日本では、所属している弁護士数の多さから「西村あさひ法律事務所」「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」「長島・大野・常松法律事務所」「森・濱田松本法律事務所」「TMI総合法律事務所」が五大法律事務所と呼ばれています。

司法試験対策を実施している大手予備校のアガルートアカデミーの調査によると、五大法律事務所所属の弁護士の多くが東京大学法科大学院出身であることがわかります。

特に「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は51.1%と、半数以上が東京大学法科大学院出身であり、当該大学院出身の弁護士の多くが、最前線で活躍していることがわかります。

この理由から、弁護士になりたい高校生やRe受験生には、東京大学法科大学院がおすすめであるといえます。

参考:弁護士白書.”事務所における弁護士の人数 “.2022/12/22.

参考:五大(四大)法律事務所とは?入るには出身大学が関係する?

一橋大学法科大学院

一橋大学法科大学院は、司法試験合格者割合が67.2%と、京都大学に次いで第2位の法科大学院です。

一橋大学法科大学院の特徴は「少数精鋭」であることです。
2024年度の募集人数は65人程度であり、京都大学法科大学院は160人、東京大学法科大学院が230人募集していることと比較すると、かなり少ないことがわかります。

一橋大学法科大学院では、人数が少ない分、学生一人ひとりに寄り添った司法試験対策の指導がなされており、それが高い合格率を導いているのです。

一橋大学は、東京大学・京都大学に次ぐ日本最難関の文系大学です。
入学難易度はかなり高いですが、弁護士になりたい高校生やRe受験生は、志望校の選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

参考:一橋大学法科大学院.”一橋大学大学院法学院研究科法務専攻専門職学位課程”.2023/06/09.

参考:概要 | 法科大学院について | 京都大学 大学院法学研究科 法曹養成専攻 法科大学院

参考:2023年度法科大学院入学者選抜試験合格者数

慶應義塾大学法科大学院

慶應義塾大学法科大学院は、上記で紹介した五大法律事務所に所属している弁護士の出身大学院の割合が、東京大学に次いで2番目に多く、最大手の弁護士事務所に入って活躍したいと考えている高校生やRe受験生におすすめです。

特に、TMI総合法律事務所には、慶應義塾大学法科大学院出身の弁護士が17.5%と、かなり高い割合で在籍しています。

司法試験の合格率は60%と十分に高く、私立大学の法科大学院では唯一合格率50%を上回っています。

その理由は、司法試験に合格するために必要な知識を身につけることを前提とした学習が行われていることにあります。

司法試験に合格するためのカリキュラムで着実に合格を目指したいと考えている人に、慶應義塾大学法科大学院はおすすめです。

参考:五大(四大)法律事務所とは?入るには出身大学が関係する?

参考:【2023年】司法試験の合格率が高い法科大学院は? 学歴と就職は関係あるか? | 管理部門(バックオフィス)と士業の求人・転職ならMS-Japan

参考:授業関連:カリキュラム(必修/選択/WP) – 慶應義塾大学 法務研究科

中央大学法科大学院

中央大学法科大学院の特徴は「他の法科大学院よりも比較的倍率が低く、入学しやすい」点にあります。

司法試験に合格するためには、法科大学院に入学してからも、もちろん努力しなければなりません。

そのため、司法試験に合格するために大切なのは「どの法科大学院に入学するか」よりも「入学後にどれだけ努力するか」なのです。

そのため、日本でもトップクラスの法学教育を実施しており、かつ他の法科大学院よりも比較的倍率が低い、中央大学法科大学院は弁護士を目指したい人にとっておすすめといえます。

予備校という選択肢も

予備校という選択肢も

司法試験に合格するためには、確かに「大学の法学部を卒業して法科大学院を修了する」という流れを辿ることが一般的です。

しかし、大学の法学部は第1志望ではない人や、すでに他の学部を卒業した人、法科大学院以外の大学院を修了した人、高卒で社会人をしている人などにとって、それは難しい選択肢でしょう。

そのような人は、司法試験対策を実施している予備校に通って弁護士を目指すのも1つの手です。

司法試験対策をしている予備校では、主に以下の3つの対策講義を実施しています。

・法科大学院入試対策
・司法試験予備試験対策
・司法試験対策

法科大学院に入ってから弁護士を目指したい人も、法科大学院に入らずに弁護士を目指したい人も、予備校で学べば弁護士になれる可能性が上がるということです。

「法学部卒業→法科大学院修了」という流れを辿らなくても弁護士になれることを覚えておくと、キャリアの可能性が広がります。

まとめ

この記事では、弁護士になる方法や大学・学部との関連性、弁護士になるためにおすすめの大学や大学院を紹介しました。

弁護士は、顧客が抱える法律に関する悩みの解決を支援する専門家です。

そんな弁護士になるためには「司法試験の受験資格獲得→司法試験合格→司法修習修了」というステップを辿る必要があります。

司法試験の受験資格を獲得する方法は「法科大学院を修了」することが一般的ですが「司法試験予備試験に合格する」という手もあることは、上記の通りです。

そのため、弁護士になるのに学歴は関係ありません。
しかし「法学部卒業→法科大学院修了」の流れを辿ることが、司法試験対策がしやすいです。

もちろん、弁護士になるための予備校に通って、法科大学院入試対策や司法試験対策を行い、弁護士になるという手もあります。

しかし、まだ大学に入っていない高校生やRe受験生が弁護士になりたいと思うのであれば、大学は法学部に進学することをおすすめします。

「自分は本当に弁護士になりたいのか?」をしっかりと考えて、納得のいく進路選択をしてくださいね。

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